鉄道模型 HOの軍用列車で遊びたいんだけど……無理

 今日は私の長年の夢、そしてそれを諦めた話について書いてみたいと思います。

 ROCOのVW166とPralineのMB 170V
 VW 166はよく見えないと思いますが、これでも結構手を入れてあります。

 今でこそ、ドイツ形HOを中心とする模型鉄道が私の趣味の中心になっておりますが、この世界にはミニカーから入りました。

 そして、プラモデルはある時期まで本当に熱中しました。

 小学校の低学年の頃は、50円や100円の飛行機を作っていましたが、1970年にウォーターラインシリーズが発売されてからハマりまくりました。

 そして、小学校の6年生のときに転校して、初めてAFVモデルを組みました。

 それまでも父親と一緒に作ったりした記憶はありますが、自分の小遣いで買って、きちんと組み立てたのは、1972年の当時発売されたタミヤのII号戦車でした。

 当時300円のこのキットですが、実に楽しいキットでしたね。

 何よりも組み立てやすかったですし、戦車だけでなく、戦車兵やアフリカ軍団歩兵までついていました。

 それでAFVのプラモデルについては、1970年代の半ば頃、第一次AFVブームというのがありました。

 今から信じられませんが、ともかく各社がすごい勢いで新製品を発売したのです。

 タミヤなど1年間で50作くらい発売していたように記憶しています。

 当時、1/35はタミヤの独壇場でしたが、1/48のバンダイ、1/72の長谷川、1/76のフジミ、ニットー、エーダイ、Airfix、Matchboxと今のガンプラと違って版権物ではない分、健全な競争がありました。

 とは言え、タミヤの圧倒的品質の前に他社は姿を消したのですが。

 で、私ですが、1974年頃、1/35から1/76や1/72の小スケールが主体になって行きました。

 もともと天邪鬼だったこともありますが、一つには小スケールのアイテムには好きな装輪車が多かったこと、そして、昔から致命的に場所がなかったこともあります。

 1960年代初期製品のSd.Kfz.234/1。今日の目で見れば玩具以外の何物でもありませんが、長さで1/90、幅で1/86でした。

 しかしブームというのはいつまでも続くものではなく、第一次AFVブームの直後に、日本スケールモデルにとって最悪の時代「AFV真冬の時代」が到来します。

 結果だけを言いますと、タミヤ以外のメーカーは全てAFVから撤退しました。

 そして既存製品すら店頭から姿を消したのです。

2003年に突如発売されたHenschel 33G TS 2,5 A消防車。これは貨車とセット売りです。
Henschel 33は1万両以上作られた初期の軍用トラックです。ROCOからは軍用トラックタイプも発売されていました。

 私にとって人生で一番、模型を作る時間が取れてかつ、目がよく見えて集中できる時間に発生したこの大事件。

 好きな模型がすべて消えてしまったのです。

 この衝撃と教訓は死ぬまで忘れないでしょう。

 この後、ROCOのAFVに傾倒した時期もありますが、それより前の1975年頃からNゲージ、そして、1984年から欧州型HOを始めました。

 これにより、趣味は模型鉄道が主体となって行きました。


 しかしAFVモデラーで鉄道模型を嗜むからには、軍用列車をやりたいですよね。

 ご多分に漏れず私もその一人でしたが、しかし、ここからは苦難の道でした。

 SSymsはティーガー用なので、この2両(約50t)を積んでも荷重は問題無し。
 3突:1963年頃 1/87、4号H:恐らく1960年頃? ROCOの最初期製品。1/90 
 3突はザウコプフを自作するなど、これでも相当手を入れてあります。IV号は何をやっても無駄なのでそのまま。

 軍用列車に搭載するには絶対条件が存在します。

 それは縮尺が正確に1/87であることです。

 これよりも小さい場合、みっともないだけですが、少しでも大きい場合、車両限界に抵触してしまうからです。

 一方、AFVモデルですが、世界の圧倒的主流はタミヤが選択した1/35であり、その他はほとんどありません。

 上記の通り、私が嗜んでいた小スケール1/72、1/76は日本スケールモデル史上最悪の記憶である「AFV真冬の時代」に全滅しました。

 そして、模型鉄道に必須であるHOサイズは、第一次AFVブームよりも10年以上前から存在しているROCOのミリタリーシリーズがあります。

 このシリーズは1/87とは思えない驚異的な精度の製品群で知られています。

 しかしこのテーマにとって、とてつもなく大きな問題があります。

 すなわちROCOは日本では極端な入手難の上、素晴らしい精度のドイツ連邦軍の車両に比べ、第二次世界大戦のドイツものは殆ど発売されていないのです。

 僅かに存在する製品は、ROCOが発足した1960年頃のいわば骨董品ばかり。

 資料など全く無い時代のものであり、今日の細密化した鉄道模型にはとても使えない「ゴミ」ばかりでした。

ROCOのWW2ドイツ物では僅かに使えるOpel-Blitz Aです。
他とは異なり、1970年代後半の発売でROCOの精度が上がってきた時代なので、出来は良いと思います。

 それでも1990年頃、それまで冷淡極まりなかったROCOが新規の4号戦車H型や88mm Flak、RSOやオペルマウルティール、MB L4500トラックを手掛けました。

 そしてPreiserやTridentからもパンターGやSd.kfz.251など、ほんの少しだけですが、大戦ものの車両を手掛けたのです。

 しかしながら、これらはROCO以上の極端な入手難で、日本ではまず手に入りません。

 その上、TridentのパンターGなど、その頃、ようやくAFV真冬の時代から完全に復活を遂げていた1/35よりも価格が高い始末です。

 もちろん出来など比べるべくもありません。

 今の言葉で言えばコスパが悪すぎたのです。

 Sd. Kfz. 7:1967年製、長さは1/86ですが、幅が異様に広く1/81。側面から見た場合、全体に寸詰まり。
これものライトの別体化、テックライトやポール、リアの荷物バケットまで自作したが、車体をいじっていないので、苦労が報われませんでした。

 さらに悪いことは続きました。

 どういうわけか私にはさっぱり理解しかねるのですが、EU諸国では2000年代以降になって、極端な歴史判断が大勢を占めるようになりました。

 この当然の動きとして、第二次世界大戦のドイツものに対する風当たり(特にAFV)がとても強くなったように感じられます。

 そしてHOと言えば、ドイツが中心ですので、この影響をもろに受けてしまいました。

 上記のようなROCO、Trident、Preiserなどに加え、1990年代の終りに、中国資本になったLiliputが各種発売したドイツ軍用列車の類やGFNの取り組みは、結局、長続きすることなく全て姿を消しました。

 ごく短い間の徒花に終わってしまったのです。

 という事でいかな鈍感な私も、HOのドイツ軍の軍用列車を諦めることを決意しました。

 苦労して集めたBR 44戦時形灰色やSSym、そして未塗装の独軍車両を手放すことにしたのが、今から約20年前の2007年のことになります。


 でも、AFVプラモの世界は全く逆です。

 2010年代までは第二次世界大戦のドイツものが一番力を持っていたように思います。

 流石に最近は風当たりと言うよりも、製品が出尽くして、現代ものに変わってきているようですが。

 ただしこれには明確な理由があり、AFVプラモはドイツレベル以外、EU圏外の国が発売しています。

 なので、極端な思想からの回避が可能なのでしょう。

 ラインナップの充実ぶりは目を見張るもので、特に今まで無視され続けていた装輪車のたぐいの大変な充実ぶりには驚かされるばかりです。

 欲しくて仕方ありませんが、きりがありません。

 かろうじて購入するのを我慢しています。

 そして、鉄道と軍事は切っても切り離せない関係にあるので、1/35でSSymsやSSym、そして有蓋車G MünchenやOm、はたまたDonnerbuchsenまで出ています。

 それどころか巨大な機関車でさえ、BR 52やBR 86、WR 360 C12までが製品化され、HOで走ったら最高な装甲列車BP42やBP44でさえ、1/35、1/72で模型化されているのです。

 装甲列車こそ鉄道模型のアイテムなのでHOでやって欲しいところですが、やはりアレルギーが強いのか、鉄道模型メーカーは完全無視状態であり、未だに消滅したMicrometakitsの超高級ブラス製品しか存在しません。

 しかし、ウクライナにしても中国にしても鉄道模型はあまり普及していないので、HOサイズが顧みられることはありません。

 またAFVと鉄道模型は全く別みたいで、上記のG MünchenがG 10として売られていたり、量産型WR 360 C14(DB BR V 36)ではなく、僅かな10両しか作られなかったWR 360 C12を模型化されるなど、鉄道模型のファンからするとなんとも解せない状況にあるのも事実です。

 前にも書きましたが、BP 42用装甲機関車のロッドの位相が左右で同じなどというのも、鉄道を全く知らないという一例でしょう。

完成品を購入しました。なんで1/72なんだろう。詳しくはこちら。

 AFVプラモメーカーには、鉄道の知識のある方が居ないのでしょうね。

 2026年の状況はこんな感じです。


 それで欧州の極端な歴史解釈は、今後も変わることはないと思いますので、EU諸国には大きな期待は出来ないと思います。

 唯一の解はウクライナ勢に頑張ってもらうことですが、これも難しいのでしょうね。

 ただし、あまりにも高額になりすぎた1/35に対する解決策の一つとしてミニアートなどが大変出来の良い1/72モデルを新規開発しています。

 なので、ぜひ1/87で供給してもらえればなと勝手に思っています。

 WW2への忌避感が強いと言いながら、鉄道模型メーカーは、DRGのR stuttgartやSSyms、SSym、X Wagenなどそのまま使える貨車を多数出していますし、こんなモデルも実際に存在するのですから。

ROCOの製品です。

 実際に使えそうな貨車です。ただし当方所有はDB時代ですが。

 DRGのも出ていますしね。

 以下は私の夢ですが、数の少ない特殊なものでなく、一般的な車両が供給されると嬉しいです。

・4号戦車
・3号戦車
・マーダーIII(M)
・ヘッツァー
・パンターG
・Sd.kfz.251D
・Sd.kfz. 7
・RSO
・スタイヤー1500A
・7.5cm Pak 40
・10.5cm LeFH18

 軍用トラックの類は、結構、HOミニカーで揃うので、あえて再度製品化する必要はありませんね。

 ところで絶対にやって欲しくないのは、ティーガー系です。

 人気があるからか、マイナーなHOでもティーガー系の模型は複数存在しました。

 しかし、従来製品化された全てのHOのティーガー系は、鉄道輸送を考慮していないので全く使い物になりません。

 ティーガーを鉄道輸送するには、鉄道輸送用履帯に履き替えることが必須なだけでなく、取り外した戦闘用履帯とサイドスカート、外側の転輪を用意しないと様にならないのです。

この静画は戦闘用履帯で搭載していますが、模型鉄道では絶対にやめた方が良いです。

 実際、こんな対応をしたHOの模型メーカーははただの一社もありません。

 第一、こんなのコストアップ要因でしかありませんから。

 それにしてもティーガー系列をそのまま乗せたら、実物と同様、レイアウトで駅や施設とぶつかります。

 なお、これらの車両は、超精密でなくても構いません。

 数が必要なので、あまり高額でないこと、実物に似ていること、スケールが完全な1/87であること、履帯が薄い一体成型ならそれだけで十分でしょう。

 Miniartのように工場や時期まで特定しなくても良いと思います。

 まあ実現されることはないと思いますが、夢を見るのは自由ですしね。

<注>

 あえて言うことではないのかもしれませんが、私はいわゆる歴史修正主義者ではありません。
 神話や伝説、誰かに都合の良い事実歪曲を徹底的に排し、誇張のない歴史的事実を積み上げ、論理的かつ定量的に物事を評価することこそが、戦争という最大の悲劇の回避につながると信じています。

2026/10/4 記

 


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