安価な12mm動力!! 鉄コレ動力の改軌工事 TOMYTEC TM-TR-07

 このたび思い立って、鉄コレ動力を12mmへ改軌してみました。

 オリジナルです。


 以下の記事は、ど素人の改造です。あやふやな点が多く、保証の限りではありません。

 お約束ですが、当方の記事を見てやってみようと思う方がいらっしゃいましたら、どうか自己責任でお願いします。 

 優れたスケールモデル、そして欧米型と正確な比較が行えるという大きなメリットのあるHOj  (1/87 G=12mm)の優位性については、こちらでも何度か述べてまいりました。

 ところでそんなに優れているのなら、あっという間に既存の規格を駆逐しそうなものですが、さもあらん。

 やはりというか伝統の重みは想像を絶するものがあり、またHOjを強く推進されている方々が、HOjをこだわりの極致としてのスペシャルな規格として捉えられていることもあり、非常に優れたモデルの数々は、大変残念ながら一般人には全く手が出ない価格帯になっています。

 HOjに対するスタンス自体は、ある意味、当然の帰結とも言え、私ごときがとかく言うことはありません。

 しかし、HOjと言う極めて優れた模型規格を、私も楽しみたいと思っています。

 幸いなことにプラ製の貨車キットもありますし、こちらでも何度か紹介したデアゴの模型もあります。

 となると現状、最大の課題は動力です。

 今のところ12mmに使えそうな動力は、下記の通りです。

IMONギア

 いわゆるMPギア類似のものです。こちらは、ワッシャが装備されており、MPギアの欠点が改良されているそうです。

 問題点として、高額なこと、そして高価な金属製の台車が必須であり、かつ、モーターを床下へ装備する必要があります。

 ギア比を大きく取れないのも問題で、機関車には使えないことが多いですね。

FMギア

 いわゆるパワトラ的なもの。

 上よりも簡単に動力化出来そうです。

 問題としては、上と同様、やはり高額なこと、金属製の高額な台車が必須なこと、モーターが6Vの小型のため、非力なことが挙げられます。

 また、部品調達の問題があって、現在、品薄になっていますね。

  いずれも、簡単に入手できるものではないのが残念です。

 私もどちらかを使って、デアゴを走行化しようと思いつつ、主としてコスト面の問題があり、実現できておりません。

 ところで欧州のBemo製品ですが、今は異なるものの同社の初期の製品は9mm仕様と12mm仕様の両方が発売されておりました。

 これらは基本的に全く同じ構造で、単に車軸への車輪の取り付け位置が異なるだけです。

 その構造は欧州型HOに準ずるものであり、今日の日本型Nゲージと類似しています。

 私の場合、高級志向のIMON製品ではHOjを簡単に実現できそうもありません。

 そこでBemoに習って、世界一安価でコストパフォーマンスに優れるNゲージの改軌を考えました。

 ところで日本型Nゲージの動力ですが、私にとって一番馴染みのあるKATO製品は、ほとんどが軸端支持、軸受からの集電になっています。

 これは台車必須の構造であり、改軌は困難であると思われます。

 一方、昔の同社のEF65やTOMIX製品のように、軸端支持でなく、車軸支持の製品なら、改軌は不可能ではないと思われました。

 そこで調べたところ、ナロー用として指定されているTOMYTECの鉄コレ用動力 TM-TR-07は、軸端支持ではなく、車軸支持になっていることが確認でき、理論的には12mmへの改軌が可能であると思われました。

 Webで調べた限りでは、鉄コレ動力は中空プラ軸構造で、車輪が抜けることもわかりましたので。

 なお、ナローゲージ80の車体自体、12mmへ回帰することにより、HOjとして使えそうです。

 こちらは8%大きいのが却って1067mmに対応するには良いかもしれません。

 早速ですが買ってみました。

 右側のギアカバーを外してみました。

 構造自体はKATO類似の中空プラギアに車輪を挿入する構造です。

 KATOとの違いは、KATOが車軸端支持、車軸端ピボット集電なのに対し、TOMIXは車輪裏側のスリーブ部分に集電板を当てる方式です。 

 このような構造です。

 まず、ギアに挿入されている車輪を少し抜いて間隔を広げることができれば、それで終わりなのでやってみました。

 しかし、車軸の挿入深さが短いので、バックゲージ10.5mmまで広げると、抜けてしまいました。

 この方法では改軌できませんでした。

 なお、12mmはだめでしたが、10.5mmなら可能性があるかもです。

 車軸を延長すれば対応できそうですが、TOMIXの最近の車輪は、車軸が一体成型となっており、抜けないのです。

 従って、この方法は取れません。

 幸い、写真の通り、鉄コレのギアは穴が貫通しているので、新たに車軸を作り、ギアに取り付けることにより対応することにしました。

 まず車軸を作ることにします。

 うちに昔のTOMIXの機関車用の車輪が二軸ありました。

 この時代は車輪に車軸を圧入する方式です。

 バイスで押したところ車軸を抜くことができました。 

 そうなれば車軸の自作です。

 うちにある1.2mm真鍮棒をあてがいましたが、残念ながらやや太く、そのままでは入りません。

 しかし、1.1mmではスカスカなのでまったくだめ。

 本当に僅かな差異なのです。

 TOMIXの穴には1.2mmドリルが入ります。

 よく調べたところ、1.2mmの真鍮棒は、1.2mmより少し大きいことがわかりました。

 そのためTOMIXの車輪には入らなかったのです。

 真鍮棒なので無理したらすぐに曲がってしまいます。

 そこで棒を少し削りました。

 苦労しましたが、写真のように車輪ができました。

 ところで今回調べてわかったのですが、みんな車軸の太さが違うんですね。

 鉄コレの一体車輪は1.0mm、昔の機関車は1.2mm弱。

 現行の一体車輪(EF81?)は1.2mm強?

 写真ではわかりにくいですが、みんな微妙に太さが違います。

 スリーブの長さも違うんですね。

 TOMIXは車輪と軸が一体ですし、KATOは車軸と車輪が別体ですが、まず抜けません。

 こうして作った車輪にギアを取り付けて組み付けてみました。

 なお、TM-TR-07のギア径は1.0mmくらいですので、1.1、1.2mmで段階的に拡径しました。

 この状態で走らせたところ、集電もあまり問題なく、走りました。

 1輪がゴム装備ですが、この動力は優れた3点支持になっているので、思いの外、集電は良かったです。

 ただし車体が揺れる傾向がありました。

 調べたところ、車輪がうまく固定されておりません。

 それもそのはず、この動力はギアの軸及び車輪のスリーブで、軸受と固定されています。

 しかしこの軸受部分に細い真鍮の車軸が当たっていて、スカスカだったからです。

 そこで真鍮軸がむき出しになっている延長部に、パイプを入れることにしました。

 ところで模型をやっていると非常に困るのは、日本では細くて精度の高いプラ製のパイプが全く入手できないことです。

 これには本当に困ります。

 今回も最初、エバーグリーンのパイプを使いましたが、上写真の様に芯が出ていないので却って揺れてしまいました。

 仕方ないので、精度が高いKATOのN車輪の中空軸を転用しました。

 幅1mmくらいに切る必要があるのですが、POMは実に切りにくいので難儀しました。

 アップですと凸凹ですが、私にはこれが限界でしたね。

 書いてしまえばこれだけですが、本当に大変でした。

 苦労の甲斐あって、揺れは相当収まりました。

 なお、集電板は写真のように曲げるだけで対応できました。

 あと集電に寄与するため、軸可動側に集電車輪を、固定側に片側ゴム車輪をセットしました。

 原型(左)との比較です。

 今回、Nの機関車用車輪を転用したため、径が大きくなりましたが、HOjとしてはこちらの方がふさわしいと思います。

 もっともただでさえギア比が低いので、更に減速比が小さくなってしまいますが。

 まだ試していませんが、牽引力は期待できないでしょうね。

  裏側です。

 短距離の試運転では、特に問題はありませんでした。

 なお本改造ですが、今回、TOMIXの旧機関車用車輪を持っていたので出来ましたが、これは現在、入手困難だと思います。

 上記のように現行は車軸が抜けないので、使えませんし。

 1.0~1.2mm穴径の車輪が入手できれば、改造できるかもしれませんね。  

 この改軌ですが、鉄コレのギアにKATOの中空ギアが使えれば、KATOの方がギア軸の幅があるので、そのまま12mmとして使えそうですが、TOMIXが14歯、KATOが12歯と歯数(直径)が異なるので残念ながら使えません。

 第一、KATOの車軸は1.0mmよりさらに細いですし。

 ただし、もしKATOの電車用中空ギアが使えれば、車輪だけを機関車用にすれば車輪径のサイズアップを図れます。

 この改造は12mm用の軸長の長い中空プラギアさえあれば、オリジナルの車輪や現行機関車用車輪が使えるので、改造はいとも簡単にできますね。

 IMONが発売してくれれば助かりますが、他社製品の互換ゆえ、難しいでしょう。

 3Dプリンタでも作れますかね? 強度的に難しそうです。

 あとはスリーブの長い車輪ですが、これは高くなりそうですね。

 結果として、実質3,500円以下で12mmの動力が出来たのでよかったです。

 なお、改軌した動力は、ナローゲージ80の凸型電機へ使う予定です。

 まだ入手しておりません。

 上記のように、ドイツの狭軌用ディーゼル機関車BR V 51とV 52は、ほぼ同型で750mmと1000mmですし、日本でも、栗原電鉄や上信などで762mmを1,067mmへ改軌して使用した例がありますので、ナローゲージ80の1,067mm化は、なんとなくですが行けそうな気がしています。

 なんとなれば両方とも立派なナローですしね。

 2024/12/5 記



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