東ドイツ国鉄 DR 高速試験用機関車 BR 18 201号機 (ROCO 69218)
今回は東ドイツ国鉄DR の有名な高速試験機 BR 18 201を紹介します。
BR 18.201は東ドイツ国鉄が試験用に製作した高速旅客用蒸気機関車です。
<BR 18.201主要諸元>
型式:2'C1' h3、バッファ間距離:24.145m、軸配置:2C1、運転重量:113.6t、炭水車込み運転重量:186.8t、軸重:20.8t、過熱式三気筒、出力:1,581kW、ボイラー圧力:16.3bar、動輪径:2,300mm、最高速度180km/h
東独国鉄 (Deutsche Reichsbahn) は高速試験機をいくつか製作しましたが、一番有名なのが、世界最高速で知られるこのBR 18.201だと思います。
BR 18.201は、戦前の高速列車として有名なHenschel-Wegmannを牽引した流線形タンク機BR 61 002の動輪、高圧試験機H45 010のシリンダー、BR 44 468のテンダー等を利用して作られた高速試験機であり、ボイラーは新造されました。
直径2.3mの大径動輪を装備し、試験では最高速度182.5km/hを記録しました。
1両だけが1961年に製作されました。
その後、各種の試験や運用にも入ったようですが、1980年代以降は保存蒸機として活躍しました。
DBAGの発足後も、同様に運転されておりましたが、脱線事故の影響もあり、1997年に廃車となりました。
2002年に民間団体により復旧工事が行われ、各地で保存運転を実施しました。
一時、ROCOがスポンサーになって赤く塗られていたこともあります。
しかし、その後売却され、現在、全検切れになって、保管されているそうです。
ドイツは、保存機先進国と言われておりますが、やはりこのような大型で特殊な機関車を動態保存するのは、大変難しいのでしょうね。
なお、BR 18と言う型番は、多気筒パシフィック機だからかもしれませんが、他のものとは全く性格を異にする存在です。
以上、Wikipedia 独語版 DR Baureihe 18.201より、引用、参照いたしました。
さて模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、BR 18.201は有名機ながら、DR でかつ1台しか作られなかったためか、長らくブラスモデルしか存在しませんでした。
最初に作られた量産模型は、1998年のArnoldのNで、HOでは1999年にROCOが発売されました。(63194)
ちょうど同社の蒸機が、金属動輪、テンダー/機関車両駆動という現在に通じる形になった頃の製品で、エッチングナンバープレート入りの別格の存在でした。
その分価格は高いですが、出来もよいですし、テンダー/エンジン両駆動で静粛にかつ力強く走ります。
私感では、それまでのROCOの蒸気機関車がべたのつや消しで、いまいちプラっぽいと言うか、質感が乏しかったのに対し、こちらはMärklinと同様な半光沢の塗装で、質感が非常に良くなったように思います。
余談ですが、この製品が発売された頃、日本の某有名外国型専門店が本製品を評して、「プラの質感そのもの」と模型誌等で酷評しておりました。
写真を見ればわかりますように、これは明らかに事実と異なります。
ですが、当時は今のように情報がなく、特に外国型の模型鉄道に関しては、模型誌の乏しい(そしてフィルターのかかった、偏向した)情報が全てと言えるような状態だったのです。
従って、マイナスイメージは計り知れないものがあったでしょう。
その点、現代はWebの普及により、もっと多面的に情報を集められるようになりました。
特に海外の情報を直接得られるようになり、何よりも自分で情報を選択できるのは実によいことだと思います。
反面、情報を取り扱う側がいかに情報を取捨選択するかが大切になりますね。
話を戻しまして、そのようないわれのない中傷とは裏腹に、ROCOのBR 18.201は人気製品でした。
ある時期、中古を結構見ましたが、最近はとんと見なくなりましたね。
私も欲しくて仕方なかったですが、実際に入手できたのは、初回発売から4年後の2003年4月であり、かつ中古ながら27,040円とかなり高い物でした。品番:63201
ただし、極めて満足の行く、お気に入りの一台となっておりました。
しかし……、この頃のROCO 製品には、模型として致命的な欠陥があります。
それは、経年で塗装が箱の発泡スチロールに侵されてしまうことです。
特にひどかったのがSBBのDe4/4、Re6/6、そしてこのBR 18.201でした。
現に中古店やネットオークション等では、発泡スチロールにやられて塗装がやられてしまったBR 18.201を何台も見たことがあります。
私も、このような情報は当然知っておりましたので、紙とポリシートに包んでおいたのですが、ドームに付着してしまいました。
それからポリシートを三重にしたのですが、それから何年も経って、炭水車側面に成型時に出来る発泡スチロールの丸い成形模様がうっすらとついてしまいました。
この製品は大好きだっただけにほんとショックでした。
幸いなことに、発泡スチロールが付着するようなものではなく、光を反射させないとわからない程度でしたが。
そんなこともあり、実はこちらの69218は私にとって、三台目のBR 18.201となります。
一台目は上記の通りですが、デジタルに傾倒していたときに、デジタルサウンド改造機を買いました。
しかし……、当方の取り扱いミスもあり、あっという間にサウンドが壊れてしまい手放すことになってしまいました。
入手時から発泡スチロールで塗装がやられていたこともありますが。
これは大損でしたね。
それで2014年に入手したのが、こちらの三線式デジタルフルサウンド機63918となります。
ドイツの模型店の特売品でした。
そうでなければこのような高額商品は買えません。
なお本機の導入により、63201は手放しました。
よって、現在の在籍機は本機1台のみです。
10年以上前の製品とは言え、大変よく出来ていると思います。
何よりも一番大事なことですが、全体の感じが非常によく出ているような気がしますが、いかがでしょうか?
上述のように、本製品は、Fleischmannの2000年代製品と同様、プラとしては非常に優れた質感を持つと思います。
緑も赤も白線もとてもきれいですね。
もっともこれもメルクリンもそうですが、テンダー台車は無塗装のプラの成形品なので、塗りたい気もしないでもありません。
そうそう、以前の63201とは色が違います。
69218
63201
こちらの方が明るいですよね。
69218は63201に比べると緑が濃くなりました。
実車は69218に似ているような気がします。
なお、Lemkeのブラスモデルは63201のような明るい緑なので、以前のが間違というわけではないのかもしれません。
実際、BR 18.201は赤塗装を含め、何度か色替えになっているようですので。
BR 18.201は東独機です。
正直なところ、東独機にはあまりいい印象を持っていないのですが、本機は大変スマートで、バランスが良く、実にかっこいいと思います。
細部はとてもよく出来ています。
直線の出たパイピング類、きれいに抜けたダイカスト車輪……なかんずく2.3m動輪……がすごくいい感じです。
ただし、高額商品なので、テンダーの転落防止板が固定なのは、BR 18.4などに比べると劣りますし、機炭間のリード線が目立つので、何とかして欲しかったかも。
持った感じは軽いですね。
ただし、上述のようにテンダー4軸と、動輪3軸を駆動しますので、力は十分でしょう。
連結器が昔のビューゲルなのは、メルクリン対応なのでしょうが、ちょっとびっくりでした。
ほんと美しい動輪と思います。
Wikiによるとマイニンゲンの2.3m動輪を補修できる旋盤が廃棄されてしまったとかで、本機の修理は難しくなったそうです。
標記類も相変わらず美しいです。
ところで、ROCOの高級品の常で、本品には金属製のナンバープレートが別添されています。
たたし、ナンバーはきれいに印刷されておりますので、変える必要はないかもしれません。
Einheitsのキャブのようですが、下部にスカートがつくのと、のぞき窓に日除け?がつくのが変わっていますね。
このあたりの文字も美しいです。
炭水車。
重油専焼です。
本機は長距離走行を可能とすべくダブルテンダー化できます。
この状態を再現した製品も発売されていました。
ROCO
DR 18.201 時代の追加テンダーのみ 63193/69193 1999年
DR 02 0201-0 追加テンダー付 63197/63198/69198 2003年
DR 02 時代の追加テンダーのみ 63204/69204 2003年
本機は三線式デジタルサウンド機です。
サウンドは音量も十分で、大迫力です!!
特に汽笛がいい感じなのと、発車時にドレンカット音?がするのがいいですね。
いずれにせよ、同じ蒸機サウンドでもmSDとはずいぶん違う感じに思えました。
モーターは静かですし、滑らかに走るのも好感を持てました。
ROCO の静音型シューはいいですね。
メルクリンのはこすれる音が結構します。
実際、ROCO のシューに取り換えられている方も多いようですよ。
なお、63201と違い、ライトは黄色LEDです。
そうそう、写真を撮っていて気がついたのですが、この製品、下部につくブレーキシューのロッドが欠品なのです。
トラブル続きなので「またか」と思いました。
それで、Webを調べてみたのですが……、どうも三線仕様にはロッドは付属しないようですね。
集電シューと干渉するからでしょうか?
実物は現在動いていないようですが、模型の世界ではまだまだ現役で頑張ってもらいたいと思います。
2014/6/13 入線
2014/6/17 記
2019/12/5 再録
2020/9/19 写真及び文章全面更新、Blogger用に再構成
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