鉄道模型 ドイツ連邦鉄道 DB 重貨物用電気機関車 BR 194 035-2(ROCO 43483)
今回はドイツ連邦鉄道 Deutsche Bundesbahn = DBの重貨物用電気機関車 BR 194を紹介いたします。
(For English/German speakers: Review of the ROCO 43483 HO scale DB BR 194. Please use your browser's translation feature to read the full text!)
ブログ内の詳細や全文は参照元のウェブ文書をご確認ください)
DB BR E 94は、戦時中の1940年から製造され、戦後のDBの貨物輸送を支えた代表的な重貨物用電気機関車です。
| DB BR E 94 主要諸元 | |
|---|---|
| バッファ間距離 | 18.6 m |
| 運転重量 | 118.7 t |
| 軸配置 | Co'Co' |
| 軸重 | 19.8 t |
| 出力 | 3,300 kW |
| 駆動方式 | 吊り掛け駆動方式 |
| 電動機数 | 6 |
| 最高速度 | 90 km/h |
| 動輪径 | 1,250 mm |
1930年代後半、ドイツ国鉄の旅客及び貨物輸送需要は増大の一途をたどり、輸送力の増強が喫緊の課題となっておりました。
この解決の一つとして、運転速度の向上が求められました。
貨物列車においても、高速貨物蒸気機関車BR 41などが開発されてます。
他方、1914年から始まった電化の推進も同時に進められ、主要幹線の電化も計画されました。
| 線路の状態(勾配) | 目標速度 | 牽引定数(引っぱれる重さ) |
|---|---|---|
| 25 ‰(急な坂道) | 50 km/h | 600 t |
| 16 ‰(坂道) | 50 km/h | 1,000 t |
| 10 ‰(ゆるやかな坂道) | 40 km/h | 1,600 t |
| 平地(まっすぐな道) | 85 km/h | 2,000 t |
BR E 94には、急行貨物列車と旅客列車での使用を行うため、最高速度が90 km/hに設定されました。
この90 km/hという数字ですが、DRGの貨物機で見ると、約5,000両が作られたG 8.1(BR 55.25–56、55.58)が55 km/h、G 10(DR-Baureihe 57.10–35)が55 km/h、3気筒の強力機 BR 44、汎用機 BR 50が共に80 km/h、高速貨物機関車 BR 41が90 km/hであり、一番速いことになりますね。
基礎となったBR E 93と比較すると、最高速度が65(70)km/h → 90 km/hへ増加し、それに伴い出力も、2,215kWから3,000kWへ増強されています。
ちなみに同時代の日本の貨物用電気機関車 EF 13は1,600 kWであり、約2倍の出力となる強力な機関車だったことがわかりますね。
速度もBR E 94の90 km/hに比べ、65 km/hと控えめな数字でした。
同時にBR E 94には、後補機の助けを借りることなく、長大勾配区間で重量列車を牽引できる能力も求められました。
また、1938年のアンシュルス(オーストリア併合)に伴い、有名な鉄道難所である急峻で長い山岳鉄道、アールベルク、タウエルン、ブレンナー各路線に対応するため、追加の電気式抵抗ブレーキ(発電ブレーキ)が設置されることになりました。
DRGは、上記四カ年計画において、急行列車用BR E 18、旅客及び軽貨物列車用のBR E 44、そして急勾配線区の重貨物列車と急行列車用のBR E 94という三種類の標準型電気機関車の調達を構想していました。
しかしこの計画は第二次世界大戦の勃発により、変更を余儀なくされました。
すなわち戦時下での優先順位が低い急行用 BR E 18は、当初計画された92両が53両で終わり、その分が、より重要度の高い戦時の貨物輸送に欠かせない存在となったBR E 94 に振り向けられました。
その結果、BR E 94は、285両が計画されたものの、戦局の悪化により、完成した車両は計画を大きく下回る145両に留まりました。
また同盟国のスロバキア・ルーマニア向け機種も実現しませんでした。
最初の機関車BR E 94 001は、発注から3年が経過した1940年に納入されました。
その後の量産車を含め、BR E 94は主に南ドイツとオーストリアで運用されましたが、中にはチューリンゲンやシュレージェンに配属された仲間もいました。
時は第二次世界大戦の真っ只中であり、BR E 94は、貨物列車、そして軍用列車の牽引に従事しました。
特筆すべきは、同盟関係にあるイタリア向けの輸送です。
戦時中、資源に乏しいイタリアへの交通量は激増し、BR E 94は、アールベルク峠、ブレンナー峠、そしてタウエルン越えの輸送において、重要な役割を果たしていました。
1943年の同国降伏以降は、C軍集団やF軍集団への部隊や補給品の輸送にも日夜活躍を続けたことが想像されます。
手持ちの文献で確認できたところでも、ティーガーIを装備した第504/508重戦車大隊はブレンナー峠を通って、イタリアに入ったことが確認できました。
第504は峠を通過したブレンネロ駅でのショットが残されておりますし、第508は1944年2月10日、峠を通過した際?戦車兵が誤って架線に触れたため、部隊最初の戦死者となった旨記載がありました。(大日本絵画 ティーガー(下巻)P.314)
重戦車大隊記録集1に掲載されている第504の写真には、三相交流の特徴的なパンタグラフを装備したイタリアの電気機関車が写っていますが、残念ながらこれらの重戦車大隊の輸送にBR E 94が使われたのか、写真や文献による確たる証拠は得られませんでした。
よって、現時点では使用された可能性が高いとの記述に留めておきます。
また、ドイツ週間ニュース Deutsche Wochenschauで見た記憶もあるのですが、今回探した範囲では見つかりませんでした。
また貨物輸送だけでなく、勾配線区における後補機として使われていた蒸気機関車に取って代わることもありました。
ドイツの有名な鉄道難所でも蒸気機関車と交代し、合理化と速度アップを図りました。
| 鉄道難所(急勾配区間) | 交代した蒸気機関車(形式) | 備考 |
|---|---|---|
| フランケンヴァルト ランプ (Frankenwaldrampe) |
BR 96、BR 95、BR 94 | - |
| ガイスリンガーシュタイゲ (Geislinger Steige) |
BR 59 | - |
| シュペッサルト ランプ (Spessartrampe) |
BR 96、BR 95、BR 94 | 電化は戦後になってから完成 |
また上述のオーストリアの勾配線区でも旧型の蒸気機関車と交代しています。
このように戦争における重要な存在であったBR E 94は、戦争による被害とは無縁ではいられませんでした。
実際、2両が爆撃の被害で戦災廃車、3両は完成前に破壊されています。
なお、Eisenbahnjounal Sonderausgabe I/90 Die Baureihen E 93 und E 94では、戦災廃車を4両としています。
| 存在していた地域(1945年5月時点) | 配置車両数 |
|---|---|
| 西側占領地域(のちの西ドイツ側) | 65 両 |
| ソ連占領地域(のちの東ドイツ側) | 22 両 |
| シュレージェン地域 | 8 両 |
| 西ベルリン(のちに対象となる地域) | 1 両 |
| オーストリア | 47 両 |
ただし、多くは損傷を受けており、中には深刻な損傷を受け使用不能となっていたものもありました。
第二次世界大戦後、当初の連合国の思惑とは異なり、ドイツの無力化は棚上げとなり、東西対立を背景とした西ドイツの戦後復興が急務となりました。
このため、戦争で徹底的な破壊された鉄道の復旧は最優先事項となりました。
貨物輸送には欠かせない存在のBR E 94も修理や整備が行われ、1948年までに西側地区に残存したBR E 94のほぼすべてが現役に復帰しています。
それと同時に、1946年から1953年の間に、西ドイツの鉄道(後のDB)向けに、部分的なキットと個々の部品を使用して合計9両の機関車(E 94 137-142、145、160-161)が製造されました。(出典:Lokportrait: Die Baureihe E 94 der DB)
今回参照させていただいている文献"Interessengemeinschaft Deutsches Krokodil"では、これらの機関車を"Fertigbau"と称していました。
DBにとって、貨物用機関車の増備は喫緊の課題でした。
1950年当時、発足したばかりのドイツ連邦鉄道 DBは、すべての用途を網羅する「標準型電気機関車」を計画中であり、これに応じたBR E 46の計画から、さらに高速化を目指したBR E 10.0の設計を行っておりました。
BR E 10.0が目指した「標準型電気機関車」は失敗に終わり、一般貨物用として、BR E 10.1のギア比変更、電気ブレーキ撤去型であるBR E 40、そして6軸の重貨物用電気機関車BR E 50が設計段階にありましたが、その完成を待っている余裕はなく、DBは実績のあるBR E 94の追加生産を行いました。
なお、「標準型電気機関車」の経緯については、当方過去記事 ドイツ連邦鉄道 DB 旅客用電気機関車 BR 110 004-5号機 (Lima HL2003) も参照いただけますとありがたいです。
都合43両が製造されたこの戦後型 BR E 94(上記文献ではNachbau)は、以下の2シリーズに区分されます。
第一シリーズ(E 94 178~196)
近代化されたAEGモーターを搭載。電気的には戦前の設計とほぼ同じだが、絶縁材の改良により信頼性が向上した。
第2シリーズ(E 94 262~285)
これらの機関車には、シーメンス社製の全く新しい高性能牽引モーター(SSW WBM 487)が搭載され、出力が約40%向上し、4,680 kW(1時間当たりの出力)、最高時速も100 km/hとなっています。
この第2シリーズは、戦前製のBR E 94(1時間出力3,300kW)よりも遥かに性能が向上したことから、後にBR 194.5として別に区分されることになりました。
BR 194.5は、新世代6軸機のBR E 50の4,500kWと同等以上の出力を発揮したのですね。
なお、この項、Wikipedia DR Baureihe E 94及び、素晴らしい写真と貴重な資料の数々で常に我々愛好者の憧れであり続ける有名な Die Bundesbahnzeit の Bauartunterschiede Baureihe 194 から得られるところが大きかったです。
この場を借りて、深く御礼申し上げます。
さて、こうしてDBにおけるBR E 94は、総計124両になりました。
そして、1968年のコンピューターナンバー化により、BR 194に改番されています。
"Interessengemeinschaft Deutsches Krokodil"の記載によりますと、新世代のBR E 40、BR E 50やBR 151は主に北ドイツに配備され、BR E 94は南部を主に活躍したそうです。
またオーストリアへの直通運転も再開し、かつての僚友ÖBB Rh 1020と共に、ブレンナーまで進出したそうですね。
とは言っても新世代機貨物機の増備、また鉄道貨物輸送量の減少のダブルパンチで、BR E 94は活躍の場を狭めていきました。
廃車は1976年の140号機の事故廃車から始まり、1985年以降、その数が増大しました。
DBにおける最後の一台は1988年に引退しています。
以上、Interessengemeinschaft Deutsches Krokodil及び、Wikipedia 独語版 DR Bauheihe E 94、Eisenbahn Jounal Sonderausgabe I/90 Die Baureihen E 93 und E 94を参照いたしました。
なお、BR E 94のDBAG線上における奇跡の復活劇や、東ドイツ国鉄DR、そして最後まで大活躍したÖBBでの物語はそれぞれ興味深いものですが、きりがありませんので、またの機会に紹介したいと思います。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki DR Bauheihe E 94によりますと、一番古いのが1964年のTRIX及びMärklinとありますが、実際には発売年不詳とあるLiliputが、もっとも古く、1953年だそうです。(Web情報)
Liliput製品は様々な仕様が1982年まで作られたようですが、実見したことはありません。
ただし、Web写真を見ると、当然のことながら、古さは否めないように感じます。
TRIXも見たことがありませんが、Märklinはこの後、実に長い間、生産されたモデルです。
当方の過去記事にても紹介しましたが、オールダイカスト製のいかにもメルクリンと言ったなかなか優れたモデルであり、ライトが異常に大きい以外、大きな欠点はないように感じます。
この機関車は、牽引力でギネスブックに載ったHO模型機関車でもあります。
さて、一度製品が確定してしまうと後継製品がなかなか出ないのはドイツも日本も同じですが、BR E 94の次の量産製品は、こちらで紹介するROCOの初代製品となります。
1984年にDB仕様4168A(43483)、ÖBB緑4169A(43484)、ÖBBオレンジ4169B(43485)が発売されました。
基本的にこの型で長い間再生産を行いました。
ただし、途中でグレードアップが行われ、黒染め車輪、パンタの更新、そして手すりの別体化、ボンネット上のライトの別体化(非点灯)も行われています。
それからまた新たな製品化はなく、2014年頃のROCOの現行、同じ頃のESU(Modellbau-Wikiには2015年とあるが、記憶ではもう少し前だったようにも思える)、そして2022年のPiko、2025年?のMärklinに続くと思います。
残念ながらこれらの製品は見たことがないので、全くわかりません。
第一高くて私にはとても手が出せません。
それから、オーストリアKLEINBAHNからもBR E 94/ÖBB Rh 1020も出ていたようですね。
発売年は1965年との情報もありましたが、もっと古いとの記載もあり、判然としません。
Web写真で見ただけなので詳細情報がありませんが、オレンジや後年の私鉄仕様の1020と言いながら前面が三枚窓だったことはわかりました。
こちらで紹介するROCO製品は、上記の通り、ROCOのE 94としては一番最初に発売されたもの(箱には品番 4168A / 43483が併記されている)で、私にとって最初に入手したBR E 94となります。
私が欧州型HOを始めた1985年頃は、今からしてもドイツ型は低調な時期でした。
2000年代に入った頃、Nゲージがブームがありましたが、どこへ行っても品薄で欲しいものが売っていないので、「どうしてカタログに載っている製品が売っていないんだ」と、大騒ぎになりましたが、欧州型は基本的に生産するものだけのカタログです。
今、その頃のカタログを見てもほんと、何もないですし、カタログに出ていても売っていないものもたくさんありました。
第一、欧州型は今以上にマイナーの極致で、お店もほとんどなく、また、取扱いも僅かでしたから、欲しい車種は殆ど入手できなかったものです。
値段も下手すれば、今と同じくらいしたように記憶しています。
現在のような中古屋、オークションやメルカリなんかありませんでしたし、専門店に僅かに並んでいる委託品は、新品とそれほど変わらない価格でした。
ROCOのE 94も欲しかったですが、売っているのを見たことがありません。
それに確か当時でも2万円以上でとても高かったですし。
そんな中、趣味界の大先輩からお譲りいただいて、晴れて入手できたのは10年後の1995年のことになります。
私は当時のROCOの機関車に多用されていた85009というモーターが嫌いだったので、Canon EN22(一般型)にモーターを換装してあります。
85009は電圧の割に回転数が低く、またトルクも弱いので、当時、私が使用していた在来型のパワーパック(巻線式)では上手く走らないのです。
別項のように、モーター軸の切断以外は簡単にできましたし、低速を中心に、走行性能は大幅に改善されたように記憶しています。
出来の方は、当時のスタンダードで、今見るとあっさり目な感じがしますが、これくらいがいいような気もします。
機関室上の手摺が別パーツなので映えますが、プラの材質があまり良くないためもあり、曲がったり、折れてしまうものがあるのは困りますね。
一方、運転室横の手すりが一体なのは実感に欠けてしまいます。
車体の色は比較的明るめのChromoxidgrün緑ですが、個人的には暗いFlaschengrünよりも、こちらの方が似合う気がします。
Märklinもそうですが、架線集電のため、通常ではパンタが上がり過ぎてしまうのは欠点ですね。
あとは輪芯の赤と、車輪を黒染めないし、側面を黒く塗ってやるだけでかなりよくなりそうです。
ROCOの電機やDLは台車の裏蓋を外すと、動輪が簡単に外れるのが好きです。
ゴムタイヤの交換など、整備性が格段に上がるので、この点は現在のPiko製品よりも優れますね。
力は十分ですが、こちらは上述のモーター交換の効果も出ているかも。
構造上注意すべきなのは、ライト用のダイオードです。
案の定、私のも最初、点灯しませんでした。
80~90年代の欧州製品(ROCO、FLM、Bemo等)にはライトの切り替え用に円盤状のダイオードが使われていることが多いのですが、これは電球の後ろに当ててあるだけなので、接触不良や動作不良を起こしやすいです。
実際、「ライト不灯」という例で、ここを少しいじって回復したことは何度もありました。
ただし、これがパンクしてしまいますと、少なくとも私が知る限りでは入手できません。
この部品が使われているのはひとえにスペースを省略するためなので、普通のダイオードが入らない例が殆どなので。
上記の通り、BR E 94はその後、部分リニューアルされました。
これらも保有しておりますので、またの機会に紹介したいと思います。
2014年にROCOから、改訂版が発売されたため一世代前の製品になってしまいましたが、個人的にはまだ行けると思っています。
2015/12/22 記
2026/8/30 写真全更新、文章書き換えの上、再録
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