鉄道模型 ドイツ連邦鉄道 DB 旅客用電気機関車 BR 110 004-5号機 (Lima HL2003)

 今回はドイツ連邦鉄道 DB の標準型電気機関車の嚆矢となったBR E 10の試作型 BR 110.0を紹介します。

 DB BR 110.0は、戦後ドイツを代表する旅客用標準型電気機関車 BR E 10の試作型であり、従来の電気機関車とは一線を画す、近代的な機関車でした。

<DB BR 110.004/005 主要諸元>

 バッファ間距離:15.9m、運転重量:80.0t、軸配置:Bo'Bo'、軸重:20.0t、連続定格出力:3,100kW、1時間定格:3,440kW、最高速度:130km/h

 004号機は、1952年12月にHenschel社によって製作されました。

 1945年5月8日、足掛け7年にも渡った欧州での第二次世界大戦が終結したとき、ドイツの鉄道はほぼ運行を停止しておりました。

 1942年以降、ドイツでは燃料不足が深刻な状況であり、軍隊や物資の移動は鉄道が主となっていたことから、徹底的な集中攻撃を受けました。

 更にはドイツ本土の戦闘により、鉄道車両や施設は甚大な被害を被りました。

 しかしそのような状況にあっても、ミュンヘン地区では5月末から電気運転が再開され、また、1945年6月15日には、ミュンヘンからシュトゥットガルト、コーンヴェストハイムを結ぶ路線も全線電化されました。

 電気鉄道は復旧に手間とコストを要すものですが、戦後の混乱の中、バイエルン州では石炭の供給が滞るとともに価格が上昇していたので、電気機関車を走らせる必要がありました。

 一方、1940年代初頭に「大ドイツ帝国」で運用されていた約1,000両の電気機関車のうち、ドイツの西側地域に残っていたのは僅か488両でした。

 これらのうち、損傷が大きく廃車せざるを得ない分、またフランス占領地区の車両、そして戦災により直ちには使えない機関車を除いた、使用可能な機関車は僅か231両しかありませんでした。

 最盛期の僅か1/4以下になってしまったのです。

 戦災を受けた機関車は、主にクラウス=マッファイ社で徐々に修理されましたが、新造車は戦前の車の継続生産であるE 44系 4両とE 94系2両にとどまり、それ以上の電気機関車の製造は中断されました。

 1948年の通過改革以降、鉄道においても復興が動き出しました。

 車両の生産が再開されるとともに、電化の伸長と新型機関車の調達も含まれていました。

 電化は精力的に進められ、1949年末に1500km、1961年末で4000km、1968年には8000kmへ増加しています。

 当初計画されていた電化幹線6,000kmへの拡張を考慮すると、約1,600両の電気機関車が必要とされ、これには最新技術を用いた新型機関車の製造が不可欠でした。

 新型機関車には、1940年代、当時世界をリードしていたスイスでの技術、すなわち個別の車軸駆動と車軸リンクで案内される車輪セットを備えた4軸ボギー機関車の設計、が取り入れられることになりました。

 これらの基準を考慮に入れ、ドイツ国鉄西は1948年末に、1940年に既に着手されていたBo'Bo'型機関車の製造作業を再開しました。BR E 44の後継として、この新しい機関車はE 46と命名され、改良された走行装置を備え、最高速度120 km/hが承認されました。

 何分にも未経験の車両ゆえ、徹底的な調査と運用試験のために、複数の試作機の製造が計画されました。

 早くも1949年には、ミュンヘンの中央鉄道局は、BR E 46の試作機関車の開発契約をヘンシェル、ユング、クルップ、クラウス・マッファイ、エスリンゲンの機関車メーカー5社と、電気会社のAEG、BBC、SSWに発注しました。

 試作機関車には以下の仕様が求められました。

 軸重:20t ± 0.5t、最高速度:125km/h、時間出力:3300~3500kW、動輪径: 1250mm、台車軸距:3000~3500mm、台車間距離:7400~8000mm

急行列車の積載量

 勾配10‰、時速90kmで700t

 勾配25‰、時速70kmで400t

貨物列車の積載量

 勾配5‰、時速70kmで1300t

 勾配10‰、時速60kmで900t

 勾配25‰、時速50kmで500t

 1950年11月19日、オッフェンバッハにあるドイツ連邦鉄道本部は、ミュンヘンの中央事務所に対し、4両の試作機関車を発注するよう指示しましたが、この際、最高速度が130km/hに増加されています。

 これにより、ドイツ連邦鉄道(DB)の型式分類には適合しなくなったので、BR E 46から新設のBR E 10として登録されることになりました。

 BR E 10は、更に試作機が1両追加され、合計5両が試作されています。 

 試作機は1952年8月末から1953年3月末までに納入されました。

 試作機5両のうち、004と005はほぼ同型ですが、その他は全て異なる仕様です。

 外見的には001は正面2枚窓で全く異なるスタイルに見えますね。 

 完成した試作機のうち、005は運用に投入されましたが、その他は広範な試験に用いられました。

 試験および計測走行の結果評価により、新型機関車は期待通りであることが示されましたが、当初計画された旅客・貨物両用の万能機関車という目標は、BR E 10では達成できないことが明らかになりました。

 そこで、今後の開発においては、特定の用途に応じた機関車、具体的には急行旅客用 BR E 10、近郊軽旅客用 BR E 41、中貨物用 BR E 40、重貨物用 BR E 50が開発されることになりました。

 なお、BR E 10の量産機は資金難等の事情もあり、1957年まで完成しませんでした。

 各種の試験が終了した1955年5月までに、BR E 10試作機(以下E 10.0)はニュルンベルクに配置され、定期運用に投入されました。

 当初特急列車を牽き、使用範囲も拡大して行きましたが、1950年代の終わり頃になると、それぞれ故障が頻発し、長期休車となることが増えていきました。

 こちらの004号機についても、大きな損傷のため2度にわたり長期間運行停止となり、直近では1972年11月から1974年10月まで使用できませんでした。

 それでもE 10.0の5両の試作機からは貴重な知見が得られ、後に続く量産型機関車の開発に多大な影響を与えました。

 故障の頻発、また試作車ゆえ標準化されていない部品の調達の困難もあり、1974年、DBはE 10.0の廃止を決定しました。 

 001が1975年に最初に廃止され、003が1976年、1977年に002、004と005も廃車になりました。

 2026年現在、002と005が静態保存されています。 

 以上、Die E 10 Eisenbahn Journal sonderausgabe III/96 より、参照、引用いたしました。

 同書は大変詳細な説明と美しい写真の数々で、BR E 10ファンの方には是非お勧めいたします。

 ドイツ語は読めなくても、写真を見ているだけでも楽しいですよ。

 なお当方、機械工学には全く無知なもので、上記の記載には多々誤りがあると思います。

 どうかご容赦願います。

 それで模型の方ですが、ドイツを代表する電気機関車BR E 10の量産機は数多く発売されておりますが、僅か5両しか作られず、またそれぞれ形態の異なる試作機となりますと話は変わってきます。

 Modellbau-Wiki DB-Baureihe E 10 によりますと、004、005号機がLimaから1995年に、全く形態の異なる001号機がLiliputから2011年に発売されただけです。

 その他、ブラスの少量生産品としてAPCから002号機が発売されておりました。

 通常、ブラス製品は当方守備範囲ではないので触れませんが、こちらについては思い出があります。

 実は1992年のスワップミートでこの製品が出品されておりました。

 興味があったので出品されている方に話をしたところ、後日直接見せていただくことができました。

 結局、購入には至りませんでしたが、この出会いで私はある欧州型HOのクラブに入れていただけることになりました。 

 クラブに入会したことで、さらにこの世界の諸先輩の知己を受け、模型趣味が信じられないくらい幅広く、かつ奥深いものになりました。

 この出会いなくしては、当方の欧州型趣味は全く成立しなかったでしょう。

 本当に感謝しきりです。

 大変残念ながら、諸事情によりクラブは数年後に休会してしまいましたが、当方にとってとても大切な思い出ですので、こちらに記させていただきました。

 それはともかく、LimaのBR E 10.0ですが、90年代の製品なので、昔の玩具っぽいものとは全く別になっています。

 特にこちらの004号機は、Hornbyブランドになってからの製品なので、塗装やレタリングなどは更にグレードアップしていますし、1990年代製品と比べると、LEDライト化され、モーターも変更されているように感じます。

 実際、走りが改善されていますし。 

 後付部品が貧弱なのがLimaでしたが、こちらはそういうこともないようです。

 レタリングもきれいですね。

 板状の台車がBR E 10量産型とは、全く異なります。 

 側面の形状も量産機とは全く異なりますね。

 Ep. IVですが、DBマークもありません。

 屋上配線はプラですが、結構シャープです。

 パンタグラフもLimaとは思えないですね。

 上記参考文献によると、004と005は当初戦前設計のSBS 39を搭載していましたが、後に戦後の標準型であるDBS 54へ変更されているようです。

 こちらはシューの形からSBS 39でしょうか? 

 前面の形状は1950年代の旧式機ですね。

 大型のヘッドライトも戦前のBR E 18によく似ています。

 BR E10.0は002号機を除き、当初、2個ヘッドライトだったそうですが、後に3個になりました。 

 手すりも良い感じです。

 ROCOの2000年代以降の製品はよく曲がってしまうんですよね。 

 発売時期からライトは白色です。

 これには違和感がありますね。

 ほんとLimaとは思えませんね。

 走りの方は現在では普通ですが、1995年製品に比べて静かになっているように感じます。

 残念ながら発泡スチロールで一部塗装がやられてしまいました。

 独特な形状のBR E 10.0、量産機であるBR E 10.1や流線型 BR E 10.3と比較するのも面白いと思います。

2026/4/21 記

 

 

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