ドイツ連邦鉄道 DB 急行用蒸気機関車 BR 01 150号機 (ROCO 43238)

 今回は、ドイツを代表する急行用蒸気機関車 ドイツ連邦鉄道 DB BR 01 150を紹介いたします。

  BR 01の実車については、当方の過去記事を参照お願いします。

 それで模型の方ですが、BR 01 ”Null Eins" は、ドイツ国鉄の蒸気機関車としてもっとも有名な存在であり、各社がこぞって模型化してきました。

 Modellbau-Wiki によりますと、HOスケール量産製品では、

<原型機>

Märklin 1935年
 B軸機だが、BR 01に見える。1985年に復刻製品発売

Märklin 1952年
 機関車駆動 2012年復刻製品発売

Märklin 2006年 
 機関車駆動 上記から約半世紀後に発売された完全新規製品。バリエーション多数。個人的には原型機としてはもっとも似ているように思います。

TRIX 1967年
 ?

Rivarossi 1970年代?
 機関車駆動 Märklinの完全新規製品発売前にはもっとも似ていると言われたとのこと。(この世界の大先輩による) 当時の同社製品の常でオーバースケール

ROCO 原型機 1980年
 炭水車駆動 初代製品、今回紹介する150号機です。 

ROCO 原型機 2007年
 完全新規製品 機関車+炭水車両駆動 Umbau機の部品を転用

<DB更新機>

 BR 01.10と性能を合わせるため、新型大径ボイラーへ更新した。前面ステップ、ライト周りも形状変更のため、別機に見える。

Fleischmann 1969年
 炭水車駆動 DB Umbau機としては、長らく唯一の存在であった。オーバースケール。個人的な感想だが、あまり似ていない。

ROCO 2002年
 完全新規製品、機関車+炭水車両駆動、金属動輪の精細な製品

<DR Reko 01 500>

 新型大径ボイラーへ更新、前照灯の場所変更、一部カバー付きのためもはや全くの別機。機種によっては、ボックス動輪付。

Piko 1977年
 炭水車駆動 本形式としては、長らく唯一の存在であった。バリエーション多数、現在でも改良品が生産されている。

ROCO 2003年
 機関車+炭水車両駆動、DB Umbauの直後に発売されたもの。DB Umbauと部品は一部共用

Märklin 2015年
 機関車駆動 新01の部品転用。実見したことはないが、写真を見る限りでは、よく出来ていると思う。

 以上、年号は初回発売年を記載しました。

 それで今回、こちらで紹介するのは、ROCOの初代製品となります。

 このROCOのBR 01ですが、上記の通り、1980年の初回発売で、その年のDas Models Yahresを受賞しました。

 爾来、少改良を経て、様々な種類が何度も生産されたROCO社を代表する製品ですが、発売から約30年が経過した2008年頃、完全新規の後継製品にバトンタッチしました。

 割と古い時代(ツクダホビー扱い時代)から日本に入っておりましたので、欧州型を嗜んだことのある方ならば、一度は見たり、保有したことがあるポピュラーな製品だと思います。

  かく言う私も今まで3輌保有しましたが、現在残っているのは、1991年にDB150周年記念モデルとして発売された木箱入り、記念本付の150号機だけです。

 

 

 こんな本がついています。ハードカバーの立派な本です。

 BR 01 150号機についてはご存知の方も多いと思いますが、1935年の誕生から1974年の引退まで、ドイツ国鉄DRG及び西ドイツ国鉄DBで活躍した後、DBの動態保存機として指定され、全面的な補修がなされました。

 この際、前面ステップが原型に復されています。

同書より

 そして、ドイツ全土で保存運転を実施する縦横無尽の活躍を行ってまいりましたが、2005年秋に発生したニュルンベルク交通博物館機関区の大火災により、惜しくも炎上してしまいました。

 この火災ではドイツ鉄道の大変貴重な動態及び静態保存機 合計24輌が炎上し、大きな被害を受けてしまいました。

 V80 008、V200 002等、あまりにもひどい状態でそのままスクラップになってしまったものもあります。

 ドイツの1号機関車Der Adler編成(1935年のレプリカ)は、完全に焼失してしまったので、新製されたようですね。

 動態機BR 01 150、BR 23 105、BR 50 622、BR 86 457、静態機BR 45 010もそれぞれひどい状態でしたが、スクラップはなんとか免れることが出来、これらのうちBR 01 150、BR 50 622は奇跡的に動態に復帰したようです。

 その他の機種もなんとか外形だけは復旧されたとの記事を見ました。

 他方、E 75 02はあれから13年経過したにもかかわらず、まだ被災時のまま、保管されているようです。

 修復された機種も、相当長い年数がかかっておりますし、やはり修復には多大なるコストが掛かり、簡単には行かないのですね。

 ところで日本とは異なり、このあたりの記事は存外Web上には少なく、また古い写真しか見ることが出来ないものも多く、わからないことだらけです。

 上記記事にも間違いがあるかもしれません。

 よろしくお願いします。

 いかにもROCOの蒸機と言った感じです。

 全体の感じは悪くないですし、1980年当時の他社と比べると細密で、またオーバースケールのFLMやRivarossiに比べると縮尺も正確です。

 ただし、今から約40年も前の製品ですので、下記の欠点がありました。

 ・テンダー駆動のため、テンダーがダイカスト製になっており、質感が異なる。

 ・車輪や下回りの赤は無塗装のためプラっぽく、質感がいまいち。

 ・赤の色調もくすんでいて今一つ映えない。

 ・85009モーターの性能が悪いため、走りが悪い。

 ・銀メッキの車輪

 ・選択ナンバーがいまいち

 こちらの43238は、初回から11年後の再生産品だけに、上記について、各種の改良が図られています。

<ディテール>

 当時のROCOのスタンダードのプラ輪芯の車輪。

 とは言うもののこちらの製品はシャープですし、発売当時の何か茶色っぽいと言うかくすんだ色ではなく、明るい赤に色調も良くなっていますね。

 改良された動輪なので、輪芯表現がなされ、芯の穴まで空いています。

 下回りの赤はこうして見ると他社とそれほど大きな差異はなくなっているようですね。

 こちらは黒染め車輪ですので、初期の銀メッキ車輪よりはずっと質感が上がりました。

 ブラス製の高級機は別とすると、銀メッキ車輪は何か玩具っぽく見えますね。

 イマイチ感が強かったはめ込み選択式のキャブのナンバーは、金型が改良され、印刷済となりました。

 ナンバー自体も印刷がきれいになり、また書体も見直されているように感じます。

 レタリング自体は現在の製品とさほどの差は感じません。

 こちらはシリンダブロックのメーカーズプレートが印刷されています。

 初期にはなかったはず。

 弁装置の色も初期に比べると実感が増しました。

 ブレーキシューは金型の痛みが出始めており、バリがありますね。

 ランボードも現在のもののようなシャープさはありません。なにか曲がっているように見えますし。

 このあたりのディテールは悪くないですよね。

 それ故にパーティングラインや突き出しピンのあとを消したくなるのは、プラモデラーの性でしょうか?

 Einheitsキャブ。

 やや後方に傾いて見えますね。これは最近の製品でもありますが。

 バタフライスクリーンは装甲ガラスみたいです。

 薄手のものに変えたくなりますが、普通に見る分にはそれほど気にならないかも。

 本機はテンダー駆動です。その当時のスタンダードで、重量を稼ぐためにダイカスト製になっています。

 その分、どうしてもプラの機関車と質感の差が出てしまいますし、表面がざらついているのも気になりますね。

 もっともこちらは塗装が改善されているので、いい方だとは思いますが。

 ROCOの旧BR 01は正直なところ、走行性能がよくありませんでした。

 これは当時の同社の標準モーターの一つであった85009の性能が悪いことに起因しますが、本製品は85060系のモーターに変更され、随分と改善されたように感じます。

 とは言うものの、テンダードライブはどうしても癖がありますので、メルクリンのDCM系の走りが好きな人には、不満があるかもしれませんね。

 流石にもう40年も前の古い製品だけに、現在の製品と比べると見劣りする部分はありますが、それでも繊細なところもありますし、また、後継製品が発売されたこともあり、価格はかなり安めになっておりますので、そういう意味ではお薦めかもしれません。

 かくいう私もEGSで安いのを買って、一度分解してから下回りのパーティグラインを消して、整形してから赤塗装しようと企んでおりました。

 何しろ1万円以下で出ておりましたし。

 でも、それも2019年のEGS閉店で儚い夢と消え去りました。

1992/2/2 入線

2018/9/17 記

2019/12/2 再録

2020/10/17 写真全面更新、文章修正の上、Blogger用に再構成


 

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