ドイツ連邦鉄道 DB 急行用蒸気機関車 BR 01 133号機 (Märklin 39016)
今回は日本で最もよく知られるドイツ型蒸気機関車である BR 01について紹介します。
BR 01(ヌルアインス)は、ドイツ型ではBR 103電機と並ぶもっとも有名な機関車と言えましょう。
<BR 01 主要諸元>
型式:2'C1'h2、バッファ間距離:23.94m、運転重量:132t、軸配置:2C1、軸重:20.2t、過熱式二気筒、出力:1,648kW、ボイラー圧力:16bar、動輪径:2,000mm、最高速度:前進:120/130km/h、後退:50km/h
ドイツは1871年、宰相ビスマルクの手により、それぞれの王国からなる統一国家となりました。
ときあたかも鉄道勃興期にあたり、鉄道は国力(軍事力)そのものでもあったことから、ドイツは国を上げて鉄道の建設にいそしみました。
ただし、ドイツの鉄道は、主要軌間こそ1,435mmだったものの、それぞれの王国が独自に建設していました。
この分立状態が解消され、DRG(DeutscheReichsbahnGeselschaft)として統一されたのは、第一次世界大戦の敗戦後の1920年のこととなります。
それまでは、各王国邦有鉄道が独自に開発を行っていましたので、同じ目的の機種が多数存在しました。
例えば、その頃の花形機関車急行用多気筒パシフィック機はBR 18を割り当てられたのですが、BR 18.0(ザクセンXVIIIH)、BR 18.1(ヴュルテンベルクC)、BR 18.2(バーデンIVf)、BR 18.3(バーデンIVh)、BR 18.4-5(バイエルンS3/6)と多くの形式が存在することとなりました。
(なお、18.6はDB Umbau、18.201、18.314はDRの改造試験機)
このように多くの機種を有することは、鉄道趣味的には興味深いところですが、現実の整備、運転管理、保守からは決して好ましいことではなく、機種の統合が求められました。
そして、ドイツ国鉄(DRG)としての統一された制式機(Einheitsdampflokomotive)が製造されることになり、その急行型として、1926年に開発されたのが、こちらで紹介する最高速度 120/130km/h、動輪径2.0mの高性能機関車BR 01です。
なお、上記のように、当時の高性能を発揮するために多気筒機が好まれたこともあり、BR 01とほぼ同一形状の四気筒機BR 02が10両製造され、大規模な試験と測定が行われました。
長い論議の結果、保守管理上、二気筒機が有利とみなされ、BR 01が採用されました。
なおBR 02は後年、二気筒に改造され、BR 01に編入されました。
BR 01は、採用当時、軸重20.2tに耐えうる規格の路線が少なかったこともあり、生産は遅れましたが、1926年~1938年まで231輌が製造されました。
更に上記の通り、1938~42年、BR 02からの改造機10両が加わりました。BR 01 011、233~241
上記のように軸重が大きいことから、使用線区は限定されましたが、その優れた性能を持って、誕生から、戦中戦後を通じ幹線で大活躍し、DBでは1973年、DR(東ドイツ国鉄)では、1980年代まで活躍しました。
DBは早い時期にWitteデフ(門デフのような形)になりましたが、DR機はかなり後年まで原型のWagnerデフのままでした。
現在でも動態機を含めた保存機が複数存在します。
なお戦後、DB及びDRはBR 01の性能向上を図り、それぞれ独自に大改造を行いました。(DB Umbau/DR Reko)
DB Umbau機(50輌)は元番号のままで高性能な太いボイラーに換装され、DR Reko機(35輌)は、ボイラーを更新し、流線型カバーが取り付けられ、500番代を名乗りました。
それぞれ、原型とは全く異なる姿になりました。
この改造は全機に施されたわけではなく、例えば008号機、150号機や202号機のように、終焉まで原型に近いスタイルで残った仲間も多く居ます。
なお、BR 01.10は同じ01を名乗っておりますが、後年、BR 01の後継機として開発された三気筒機であり、全くの別機です。
以上、Wikipedia 日本語版 ドイツ国鉄01形蒸気機関車 より、引用、参照いたしました。
さて、このようにあまりにも有名な機関車故、BR 01は古くから模型化されてきました。
原型機の量産製品につき Modelbau-Wiki を参照しますと、
Märklin 発売初年1952年
70年近く前の製品ですので、それなりです。最近、mfxフルサウンドの再生産バージョンが作られました。
同じものかどうかわかりません。
TRIX 発売初年1967年
よく見たことがないので詳細は不明です。メルクリンに似た感じでした。
Rivarossi DRG原型機 発売初年1970年代?
Modellbau-Wikiには再生産版の記載しかありませんが、間違いなくありました。
こちらもかなりオーバースケールですが、シルエットは当時の製品では一番正確と聞いたことがあります。機関車駆動ですが、Rivarossiのこの頃のモーターは良くないです。ちなみに昔、持っていました。発売期間は短かったようです。
ROCO 原型機 発売初年 1980年
Des Modell Jahres受賞初の1/87スケールモデル。
感じは悪くないと思いますし、1980年の模型としてはとても水準が高いと言えるでしょう。テンダー駆動です。
ただし、1980年代製品なので、テンダーがダイカスト、機関車がプラですので、見た感じ、質感が異なってしまうのは残念かも。あと、足回りがプラなので未塗装の赤い部分が安っぽく見えてしまいます。(特に初期の製品)ここは塗ってやるといいかもしれません。
Wgner/Witteデフなど、各種のバリエーションが発売されておりました。製品寿命が大変長かったので、初期製品と後期製品では、ナンバー、レタリングや塗装の感じが全く違います。
ROCOの旧BR 01は中古で1万円しないことが多いので、いじってみても面白いかも。
ROCO原型機 発売初年 2007年
実車とは逆にDB Umbauの部品を使って作られた新規製品。
繊細な出来と思います。
こちらで紹介するのは、メルクリンが満を持して2006年に発売した製品です。
ちなみに最初に出たのは39010/39015で、私のは2012年製品ですね。
この間、特別製品(150号機39017)など、各種の製品が出ているのは最近の標準ですね。
私は実車に関する知識がないに等しいのですが、写真を見る限りでは大変よく似ているように感じます。
特筆すべきは質感です。
こちらはボイラーとテンダーが共にダイカストですし、塗装が良いので、重量感があります。
また細部もよく出来ていると思います。
<各部のディテール>
最近のMärklinは本当に繊細になりましたね。
バルブギア周りの再現度はかなり高いのでは?
同社は昔から他社がプラ輪芯を採用する中、ダイカスト動輪を用いていました。
昔の製品はごつい感じがありましたが、最近はとても繊細です。細すぎて怖いくらいです。
標記類。
とても細かいです。
Märklinはボイラーがダイカストで、キャブがプラのはずですが、塗装が良いので、あまり質感の差異を感じませんね。
ボイラーの少し艶のある黒が最高ですね。
反面ライトのハンドルがプラなのはすぐに壊れてしまいそう。
ここは金属製にして欲しかった。
ボイラーのハンドルも金属線でバッチリ決まっています。
ランボードは少し曲がっているかも。
ここまで質感が良いと、赤部分のプラが気になってしまいますね。
キャブもかっこいいですね!
ウインドデフレクターも、ROCOのような後付ではないのですが、透明になっています。
埃が目立ってしまいますね。
赤いステップにバリがあるのが目立ってしまうくらい、他が良いということですね。
2’ 2' T 34炭水車です。
BR 03、BR 41等にも使われました。
テンダー台車もすごくいい感じですが、やはり、無塗装の赤は気になってしまいます。
39016は、mfxフルサウンド仕様ですが、同社の標準的なサウンドで、音量も音質も満足すべきものと思います。
また、LEDによる火室のメラメラもいい感じです。
メルクリン伝統の機関車駆動です。
なお、39***ですが、例のC-Sineモーターではないようです。
小型モーターを採用しているためでしょう、キャブ内にモーターがないのはすごいですし、静かにかつスムーズに走ります。
ただし私のはやや揺れるのが残念です。これはゴムタイヤのせいではないような気がします。
私の保有機を見る限りでは、メルクリンの新世代蒸機は概して揺れやすいのが残念です。
また、私自身はそのような運用を試したことはないのですが、BR 01は牽引力がやや不足気味という記事を見ました。
これも最近の製品に共通する問題のようです。
確かに昔の同社製品は力がありましたね。
いかにも繊細な感じがするROCOの新規製品も好きですが、私的にはメルクリンの新 BR 01は文句なくベストモデルと思います。
皆様はいかがお感じになられますか?
2013/1/18入線
2014/5/20記
2019/11/29再録
2020/9/1 写真全面更新、Blogger用に再構成
↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。
↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。
是非ご覧になってください。