ドイツ連邦鉄道 DB 旅客用テンダ式蒸気機関車 BR 39.0-2 048号機(Märklin 39390)
今回は、主に勾配線区の急行用として活躍した1-D-1形蒸気機関車 BR 39を紹介いたします。
BR 39はプロイセン王国邦有鉄道 K. P. St. E. 最後の旅客用蒸気機関車 P 10です。
<BR39 主要諸元>
型式:1’D1’ h3、バッファ間距離 22.89m、運転重量:110.4t、軸配置:1D1、軸重:19.4t、動輪径:1,750mm、過熱式三気筒、出力:1,620馬力、ボイラー圧力:14bar、最高速度:110km/h
実車については以前の記事 を参照いただけましたら幸いです。
さて、Modellbau-Wiki Preußische P 10 によりますと、HOのBR 39ですが、古くはRivarossiとLimaが製品化しておりましたが、流石に古いもの故、満足できる出来ではありませんでした。
しかし1988年、Fleischmannから発売された新製品は、前回の記事の通り、大変出来の良いものでした。
ドイツ型の例に漏れず、FLMの完成度が高かったためでしょうか、ドイツ勢からはなかなか製品化されませんでしたが、2009年、Märklinが完全新規製品として、こちらの39390を発売しました。
同社のZでは、古くから製品化していた形式ですが、HOでは初となります。
この製品の後、DRG仕様等、各種の仕様が発売されました。
FLM製品は高度なプラ成形を駆使し、大変精密感の高い製品となっておりますが、一方のこちらはMärklinお得意のボイラーとテンダーの両方がダイカストなので、更に質感も良くなっており、なかなかの出来栄えと思います。
肝心な全体の感じも良いですね。
印刷もきれいです。
ところで、MärklinのBR 39はFLMに負けず劣らずの大変精密な仕上がりとなっております。
別付けの部品も多く、繊細ですし、また取れやすいので取扱いには注意が必要だそうです。
この点、従来の同社製品とは大分感じが異なりますので、古くからのファンの方は戸惑うかもしれませんね。
FLMとの大きな違いは、駆動方式で、BR 39はMärklin伝統の機関車駆動です。
これには賛否両論あると思います。
欧州では動力機構の簡素化や、走行のスムーズさが求められたのでしょうか、伝統的にテンダ駆動が多いのですが、日本型と同様、Märklinは一貫して機関車駆動を採用しております。
昔の日本型Jは、動力機構やロッド周りに問題があり、スムーズに走らないものもありましたが、さすが走りを鍛えられているMärklinは、機関車駆動ながら大変スムーズでパワフルな走りをします。
一方、昔の製品はロッド周りがごつい感じを受けましたが、こちらは最近の製品だけに、ロッド周りは繊細ながら、スムーズな走りを見せます。
ただし、Märklinの蒸機は揺れるのが多いのが欠点ですね。
私個人は、元々スムーズなテンダ駆動が好きでしたが、やはり機関車が押されて走るのは、やや実感を損なう点が無きにしもあらずで、機関車とテンダの両方を駆動するROCO方式が好きです。
Märklinも好きですが、あたりが悪いのかわかりません、うちのには結構揺れる車両があります。
これは何とも残念ですね。
公式側
P 10の特徴である第一動輪脇のステップは金属製です。
弁装置やロッド類は昔のMärklinとは異なり、大変繊細な出来となっています。
Märklinは以前よりダイカスト製動輪を採用していますが、こちらも安定した出来ですね。
ただしスポークのシャープさはGFNには劣るかもしれません。
形状もどこか違いますし。どちらが正しいのかわかりませんが。
ロッドが実にかっこいいです。
キャブ前面、脇や後方の手すりは非常によくできていますが、破損が心配です。
他方、テンダー手すりは同社製品によくあるように、変形してしまっています。
非公式側
ドーム脇のハンドルやシリンダー等非常に細かいです。
デフは金属製なので薄くてシャープなのが好感を持てますね。
前照灯も良い出来と思います。
ボイラー脇のハンドレールはいつの間にか金属製が常識となりました。
プラ製ですと真円が出ていなかったり、歪んだりしますので、金属製が良いです。
ただし、ROCO製品など、鉄線(ピアノ線?)を使っているのは経年で錆びてしまいます。
キャブ下のステップもいい感じです。
レタリングはきれいになりましたね。
キャブの運転台側。
邦有鉄道機ですので、制式機とは形状が異なります。
バタフライスクリーンは窓ガラス一体ですが、薄くてまた前後で形状が異なる点も再現されていますね。
キャブのバックビュー。
この写真ではわかりませんが、BR 39は火室のメラメラも再現されています。
こちらはDB時代ですので、Witteデフ装備ですし、テンダーはBR 01やBR 03と同じ、Einheitstender 2’2’ T 34です。
DBにより交換されました。
原型の邦有鉄道テンダー、pr 2’2’ T 31.5もいいですが、こちらもなかなか似合っています。
テンダー台車は大変良く出来ていますが、プラっぽくて、機関車の下回りとは感じが異なるので、塗ってやると良くなるかも。
こちらには、発煙装置も取り付けてありましたが、部屋が汚れるので使ったことはありません。
さて、こちらのモーターはCサインです。
従来のものに比べるとずっとコンパクトなCサインは、一時、同社製品の全てに採用されるような勢いでしたが、数年前に使用が完全に廃止されてしまいました。
私は実見しませんでしたが、その頃、ドイツの模型店でバーゲンになっていたと聞きます。
何か問題があったのでしょうか?
うちには本機を初め、Cサインモーター装備機が何輌かあるのですが、もし問題があるようなら、私にとっては大変高額なものですので、とても心配です。
何かアフターが充実しているように(勘違い)されているメルクリンですが、廃止されたCサインは修理対応が難しいという話も聞いております。
詳しいことはわかりませんが、Cサインはコアレスでしょうか?
そうなるとデジタルでの扱いが独特なので、モーターがいかれると、基板も使えないかもしれず、廃車になってしまいそうです。
本機は三気筒機ですので、サウンドは他の転用ではなく、BR 39用のオリジナルと思われますが、何かちょっと気が抜けたような音がします。
BR 39の動態保存機はないと思いますので、合成音でしょうか?
デジタルサウンド機には一時ハマりまくりましたが、何と言っても私にとっては高額すぎること、デコーダー炎上の重大トラブルやCサインの問題、そして、サウンド自体に違和感が芽生えてしまい、今では完全に撤退を決めました。
最初、蒸気機関車のドラフト音はすごくいいと感じたのですが、欧州型のサウンド機は、蒸気機関車も電気機関車もディーゼル機も、みんな力行時の音しか入っていないのです。
私は実物の知識はないに等しいのですが、鉄道車両って、まず力行で加速しますが、速度が乗ってきたところで、惰性走行に切り替えますよね。
蒸気機関車なら絶気走行になります。
でも、欧州型のサウンド機でこの惰性走行や絶気走行時の音を再現したものはありません。
メルクリンの蒸機は減速すると一瞬ドラフト音が消えますが、その状態は短い時間でしかなく、速度が安定するとすぐにドラフト音になってしまいます。
先日真岡のC12列車に乗りましたが、常時ドラフト音はしなかったように記憶しています。
少なくとも電車の音は常時モーター加速音ではありません。
逆に言うと、メルクリンの新BR 103は、モーター音が常時一定のサウンドですが、これも何か変な気がします。
日本型のように、加速時にモーターは唸らないのでしょうか?
何れにしても、電機や電車は惰性走行音が欲しいですよね。
でも、私の拙い知識では、天賞堂カンタムの一部に惰性走行音が収録されているくらいです。
いずれにしてもスケールモデルとしての完成度は非常に高いものの、使用に際し不安の残る車両なので、今後どうするか思案中です。
2018/8/7 記
2020/8/2 Blogger用に再録
2025/8/26 写真配置変更、一部加筆
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