ドイツ国鉄 DRG 旅客用テンダ式蒸気機関車 BR 39.0-2 204号機 (Fleischmann 4139)

 今回は、ドイツ国鉄 DRG の勾配線用急行旅客用テンダ式蒸気機関車 BR 39について紹介したいと思います。

 BR 39は旧プロイセン王国邦有鉄道が開発した、旅客用のテンダ式蒸気機関車P 10です。

 そしてP 10型とはプロイセン王国邦有鉄道が開発した最後の旅客用蒸気機関車となります。

<BR39.0-2 主要諸元>

 型式:1’D1’ h3、バッファ間距離 22.89m、運転重量 110.4t、軸配置 1D1、軸重:19.4t、動輪径 1,750mm、過熱式三気筒、出力 1,620馬力、ボイラー圧力:14bar、最高速 110km/h

 平地で780tの列車を95km/hで、10パーミル勾配で825tの列車を30km/hで牽くことが出来ます。

 P 10は1919年、勾配線用の急行客車列車用に設計されましたが、第一次世界大戦敗戦の混乱の影響か、資材不足のため、実際の製作は1922年までずれ込みました。

 一方、1920年、ドイツの各王国が独自に運営していた鉄道が統一され、ドイツ国鉄DRGが発足しました。

 それまで機関車は、各王国邦有鉄道が独自に開発していた(一部標準設計あり)のですが、運用や整備に問題があり、統一された規格の標準的な機関車、すなわち制式機(Einheits)が開発されることになりました。

 この一番最初の機種が、あまりにも有名なBR 01ですが、機関車の開発には時間を要するため、DRG発足後、邦有鉄道形式の機関車がいくつか継続して製造されることになりました。

 P 10はDRG発足当時の最強力機であり、性能が高かったことからか、そのうちの一つに選ばれ、DRG BR 39.0-2として、1922~27年の間、260両が製造されました。

 BR 39.0-2は軸重が19.4tと大きかったことから、使用線区は限られましたが、それでも幹線の整備が進むと、主に中央山岳線区の急行列車等に投入され、後年V 200.1と交代するまでの長きに渡り、縦横の活躍を見せました。

 また、Baden IVh(BR 18.3)と交代し、一部区間の豪華特急ラインゴルトも牽いたようです。

 BR 39.0-2は、第二次世界大戦後、DBには155両が引き継がれました。

 Witteデフ化、炭水車を2’2’ T 31.5から2'2' T 34へ交換した機種もあります。

 そして、1967年に最後の三輌が引退しました。

 一方、DRでは勾配用の強力機が他になかったことから、85輌に対し、ボイラー新造、全長延長、運転装置更新等の大更新がなされBR 22となりました。

 しかし、電化の進展や、三気筒機のため、整備にコストが掛かったこともあり、1971年に引退しました。

 なお、本機のために新造されたボイラーは、BR 03のReko機に振り分けられました。(50両分)

 現在、230号機(DB Museum所属、Neuenmarkt-Wirsberg Deutschen Dampflokomotiv-Museumに展示)及び184号機の2輌が保存されています。

 以上、Wikipedia DR-Baureihe 39 より引用、参照しました。

 さて、Modellbau-Wikiによりますと、HOではRivarossiが1977年に発売したのが最初ですが、有名なのは、こちらで紹介するFleischmannが発売した製品です。

 今から約30年前の1987年に発売されたこの製品は、それまでのFLM製品とは完全に一線を画すものであり、オーバースケール、一体成型を脱した大変精密な出来となっています。

 モーターも缶モーターに変わりましたし、車輪も黒染めにこそなっていませんが、タイヤの厚みが減じられた実感の高いものになっています。

 ROCOをはじめ、当時の他社製品にはプラ製の輪芯を採用しているものが多かったので、余計にこちらがよく見えました。

 私も確か1988年頃に日本の模型店で購入しましたが、大変繊細な出来には驚かされたものです。

 確か、39,800円ではなかったでしょうか?

 今の目で見ても十分見られると思います。

 機関車もテンダーもプラ製ですが、いわゆるプラっぽさはあまりないように感じます。

 金属製の挽き物部品やボイラーのハンドレールが、いいアクセントになっていると思いますね。

 上記のようにBR 39には後年、炭水車を2'2' T 34に交換したものがありますが、こちらはエポックII(DRG時代)ですので、邦有鉄道設計の原型テンダー Pr 2'2 'T 31.5を装備しています。

 上述のように、こちらは缶モーターを使用しております。Bürler?

 走りの方は今となっては普通ですね。

 BR 03以降のような軽い感じはありません。

 なお、FLM伝統のテンダー駆動で、機関車はダミーとなっています。

  金属製のステップが素敵ですね。

 FLMは炭水車駆動ですが、動輪は昔から金属製のシャープなもので、大変好感が持てます。

  レタリングもきれいですが、30年が経過し、金文字の方は流石にくたびれてきた感じがします。

 真鍮製のハンドレールがいいですね!

 デフも薄くていい感じです。

 こうしてみると、ランボードの赤と、動輪の赤にはやや差異が見られますね。

 ロッド周りも近年の製品のような黒染めにはなっていません。

 でも大変シャープですね。

 真鍮挽物の汽笛はプラ製よりもずっといい感じです。

 ウインドディフレクターは成形品です。

 ランボード下の配管もシャープですね。 

 ところでこの大変優れた製品の最大の問題点は、箱だと思います。

 いわゆる「いちごパック」方式なのですが、メルクリンのように紙箱へブリスターを縦に入れるわけではなく、寝かせて入れます。

 更にブリスターには外側のケースがありません。

 したがって、紙箱から出すのも、そしてブリスターから機関車を取り出すのも実にやりにくいのです。

 特にメルクリンと異なり、ブリスターの幅が狭いため、ブリスターから機関車を取り出す際、ブリスター立てて、上側をを外すのですが、倒れそうになるのは致命的欠陥と思います。

 そうでなくても、本製品は重量がある割には大変繊細なため、持つ場所によっては破損の危険があります。

 私も慣れない頃故、シリンダ下の安全弁を折ってしまいました。

 さらにそうなってしまった場合、私の知る限り、FLMのプラは接着が効きません。

 これは大問題です。

 いずれにしてもFLMの蒸機のオリジナルの箱は、ブリスターを寝かせて入れるので、ブリスターとの接触点が少ないことから、集中荷重がかかってしまうため、車体に傷がついてしまいます。

 この点、特にひどいのはBR 56でテンダーのナンバーに傷がついてしまいます。

 もちろんポリシートで養生しておりますが、それだけではだめなようです。

 そこで、もしFLMの蒸機を購入されたら、直ちにIMONの車両箱など他の箱に入れ替えることをお勧めすると同時に、特に中古をお買い求めになる場合は、FLMの蒸機は大変繊細で破損しやすいので、ステップやライト取っ手、ボイラー周りの手すりや配管、ランボードとランボード下の配管等に破損がないか、よく確認されることをお勧めします。

 いずれにしても大変高額なFLMの蒸機なので、もうすこしまともな箱にして欲しいと思うのは私だけでしょうか?

 なんて思っていましたが、FLM社はROCOに買収され、HOの蒸機は全て絶版になってしまうようですね。

 一部の製品はROCOブランドで発売になるのでしょうか?

1988年入線

2018/6/23 記 

2020/1/5 写真全面入れ替え、文章修正の上、再録

20205/24 Blogger用に再構成


 

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