鉄道模型 フランス国鉄 家畜車・無蓋車 T 820137 (Hornby-ACHO 701)

 今回はSNCFの無蓋車 T を紹介します。

 本車については、不明点ばかりと言っても過言ではありませんが、現時点で判明したことを記したいと思います。

(For English/German speakers: Review of the Hornby-ACHO 701 HO scale SNCF Tombereaux T 820137. Please use your browser's translation feature to read the full text!

Bienvenue aux ferrovipathes francophones !
Aujourd'hui, nous analysons le wagon tombereau à claires-voies SNCF T 820137 (ancien moule SMCF), un modèle vintage produit par Hornby-ACHO (Réf. 701). Cet article lève le voile sur l'histoire réelle de ce wagon et démonte les fausses informations générées par l'IA. Bonne lecture !

 まずこの車ですが、単なる無蓋車ではなく、側壁の上部に穴が空いている特徴的な外形をしています。

 このような形はドイツでは見たことがありません。

 次にバッファ間距離(以下全長)を調べますと、117mm(HO換算で10.17m)でした。

 種別の記号「T」= Tombereauから無蓋車であることが想定されました。

 他方、Hornby-ACHOは、既に1960年代で製品開発を終了しておりますので、Epoche 3以前なのは確実です。

 しかし、その時点で存在したフランス型無蓋車の全長を調べると、Standard A/C/D: 8.89m、UIC TYPE 1 : 9.0mです。

 そして何より、これらの貨車はいわゆるフランス型無蓋車、すなわち側面が金属板で、積載ドアが2箇所です。

 積載ドアが中央に1箇所で、木造車体のこの車とは全く違います。

 並行してWeb検索を行いましたが、相変わらず販売ページと、こちらの模型そのものを紹介したページしかありません。

 日本ですと、個人ブログやHPで、模型やその実車について説明してくれることが多いですが、欧州ではそういうページは見たことがありません。

 僅かに改造作品の紹介を行っているページがあるだけです。

 ドイツにはModellbahnfrocklerのような超こだわりマニアのHPがあり、実車との違いにはとても厳しいですが、反面実車の説明はほとんどありません。

 趣味文化の差異と言ってしまえば、それまでですが、私のように模型を楽しむために実車を知りたい場合、非常に困ります。

 そこで、Google AIに聞いたのですが、この経緯がとても面白く、かつ、現時点での見解につながったので以下、書きたいと思います。

 Google AIに対し、この話を最初に切り出したのは、2026年の7月中から下旬でした。

 2026年8月末の時点ではだいぶん変わりましたが、7月時点ではドイツの貨車について聞いた場合、日本語よりドイツ語で聞いた方が正解に近づけたので、まず、ドイツ語と日本語で聞いてみました。

 回答は、「これは外国由来の貨車で、ドイツの戦時型貨車 Omm Klagenfurt」だと言うのです。

 しかし、いわゆるフランス型無蓋車の4.5~5mとは異なるロングホイールベースこそ、Klagenfurtと同じですが、側壁の高さがずっと低く、また中央の積載ドア形状も全然違います。

 それに、シャーシー下部の補強構造はOmm Klagenfurtとは明らかに異なり、戦後型のOmm 54/55に似ています。

 そもそも、側壁上部がこのような構造になっている Omm Klagenfurt、いやドイツ型の貨車は見たことがありません。

 私は単純な無蓋車と言うよりは、家畜車を想像しました。 

 そこで日を改めてAIに質問したところ、何度も質問を繰り返した上で、「標準図(いわゆるNormalieのMusterblatt)の枠外にある戦時急造の10m級プロイセン車」との結論に達していました。

 しかし、フランス車に比べて、ドイツの貨車の資料はそれなりの揃っています。

 上記の通り、少なくとも私が今まで見てきた中で、こんな形状の貨車は見たことがありません。

 そもそも、AIがこの結論を下すまでに、最初はVerbandsbauart A8などの家畜車(これは有蓋車タイプで全長8.25m!!)と言ったり、次はMusterblatt IId6(これは4軸のボギーレール貨車です!!)と言ったりで、私でもわかるような明らかな間違いばかりなのです。

 そして、当方が指摘するたびに「大変失礼いたしました。ご指摘の通り。」の繰り返しでした。

 これには正直、がっかりしましたね。

 しかし、AIは今まで有為な情報を教えてくれたのも事実です。

 もしかしたら、聞き方の問題かもしれないと思い、自動翻訳を使ってフランス語で聞いてみました。

 すると、

「これは、SNCFに登録され、主に家畜や換気を必要とする貨物の輸送を目的としていたCompagnie du Midiのオリジナルの2軸貨車を再現した縮尺模型です。 」

 との回答を得ました。

 こちらの方がしっくりしましたので、続けて聞いてみました。

「以前、他のGoogle AIは、「これはプロイセン製の10メートル級貨車で、戦時中の急造規格に基づいて製造されたもので、標準的な設計とはかけ離れた車両」だと示唆しました。しかし、私はあなたの分析、つまりこれはミディ型家畜運搬車であるという見解が正しいと思います。」

 すると、

「それは素晴らしい直感ですね!プロイセンの貨車という仮説は、典型的なAIの錯覚です。おそらく、一部のKPEV (プロイセン鉄道)の軍需物資に共通する垂直の木製板構造に惑わされたのでしょう。

しかし、フランスの鉄道模型金型の歴史は、疑いの余地を一切残さない。

SMCFの起源:メカノは、Hornby-ACHOシリーズを発売するために、SMCF社から金型を購入しました。SMCFは、かつてのフランス国鉄(東フランス、北フランス、PLM、南フランス)の鉄道車両を忠実に再現することに特化していました。」

という返事が帰ってきました。

 フランスメーカーの動向まで配慮したこの回答は信じられると当時に、Google AIさんが仲間を批判したのには、正直驚いてしまいました。

 ということで現時点では、SNCFに統一される前のPO Midi鉄道由来の無蓋車・家畜車ということにしておきます。

 なお、無蓋車で上部にこの貨車のような柵のある形状の実車の写真は、1枚しか見つけられませんでした。

 確かに似ていますが、車両の由来が違いますし、この模型に比べると全長は短いように見えます。

 あと標記について、以下の通りの回答がありました。

 以下引用しますと、

文字「T」:これはSNCFの時代区分記号で、無蓋車のカテゴリーを示すものです。 

数字の「8」(数字の最初の位置):これはSNCFの南西地域(旧POおよびMIDIネットワークを含む)のコードでした。

残りの番号(20137): SNCFがこの車両にシリーズ内で割り当てた固有の注文番号。

E 35:荷重およびゲージインデックス(操作表示)

このコードは、多くの場合、メインの数字の横にある小さな枠内または小さな文字で表示され、積載特性に対応しています。

文字「E」は、その貨車が標準型/一般型の無蓋車、または透かし彫りの壁を持つ特定のサブカテゴリーの基準を満たしていることを示します。

数字「35」は、使用可能な床面積(おおよそ平方メートルまたは容量スケールで表す)を表すか、ネットワーク間での商品の交換時に積載ゲージ税を計算するためのコードとして機能しました。

要約すると、T 820137はネットワーク上で貨車を正確に識別することを可能にし、E 35は操車場の鉄道作業員に貨物積載の技術的な制限を知らせた。

以上引用終わり。

 あとこれはWeb情報ですが、この製品はHornby-ACHOのオリジナルではありません。

 上にもある通り、SMCF社の製品となります。

 同社は主に1950年代に活躍したフランスの鉄道模型メーカーで、ダイカストやプラスチック製の(当時としては精密な)車両を製造していました。

 しかし、1960年代初頭に倒産し、金型の一部がHornby-ACHOに継承されたそうです。

 この製品もその一つであり、1961年~1973年まで製造されました。

 SMCFの金型は今から70年も前になるわけですが、この出来ですから、当時としては驚異的だったのでしょう。

 なお、SMCF製は、シャーシーがダイカストで、上回りがプラだったようですが、Hornby-ACHOは全てプラ製です。

 同社らしく、軸受けに金属を使うなど、しっかりとした構造になっています。

 写真の連結器はHornby-ACHO特有のものですが、不便なのでその後、ビューゲルタイプを自作し取り替えました。


<追記>

 フランス無蓋車 CMt 20tの記事の通り、この車の全長117mmのシャーシーは、私が知る限り、家畜用無蓋車701、冷凍車 STEF705、牛乳運搬車712、柵柱平貨車717、平貨車718の全てで共通です。

 これら全てはHornby-ACHOオリジナルではなく、SMCFからの継承製品だそうです。

 もしそうならば、全長自体、最初から誤差含みなのかもしれませんね。


<追記2>

 2026年8月時点、本件に関するAIの最新回答は以下の通りです。

 真偽の程は明らかではありません。

 ですが、内容が大変興味深いので、特に手を入れずそのまま転記します。

① AIの大嘘を暴く!フランス語「claires-voies」が解き明かす正体

この模型の最大の特徴は、側面の壁がまるで「すかし彫り」のように格子状の隙間だらけになっている点です。フランス語の製品名にある「Wagon tombereau à claires-voies」とは、直訳すると「すかし彫り壁を持つ無蓋車(むがいしゃ)」という意味になります。

実車のルーツは、フランス南部の旧PO-Midi(パリ・オルレアン・ミディ鉄道)にありました。南仏の温暖な気候のなか、収穫されたブドウや柑橘類、野菜などの農産物を輸送する際、車内に熱や湿気がこもって腐ってしまうのを防ぐために開発された、いわば「果物・野菜兼用の通風無蓋車」なのです。時には家畜輸送にも使われました。

日本の車両で例えるなら、側面がスリットだらけの通風車「ツム1000」の屋根をスパッと切り落とし、無蓋車にしてしまったような、欧州南国特有のなんともユニークで合理的な設計ですね。

② 全長117mmの謎:SMCFから受け継いだ「模型的な大人の事情」

実車のMidi規格通風無蓋車は、本来なら全長9m級の小柄な2軸貨車です。しかし、この模型の全長を測ると117mm(実車換算で約10.17m)もあり、実車よりも明らかに前後に引き伸ばされた「ストレッチ仕様」になっています。

この謎の鍵を握るのが、Hornby-ACHOが引き継いだ「SMCF」の古い金型です。1950年代当時、高級真鍮・ダイキャストモデルを手がけていたSMCFは、模型化のコストを下げるために「冷凍車(STEF)」などの大型10m級貨車と、この無蓋車のシャーシ(足回りパーツ)を強引に共通化(使い回し)して製品化してしまいました。

Hornby-ACHOにブランドが移ってからもその設計がそのまま受け継がれたため、実車より少し大柄でスマートな「117mmの通風無蓋車」が誕生したというわけです。現地の当時の子どもたちやFerrovipatheたちも、「ちょっと長いな?」と思いながらも、その繊細なプラスチック成形の美しさに魅了されてレイアウトを走らせていたのでしょう。当時の運転士たちも、南仏の強い日差しの中、傷みやすい果物を急いで運ぶためにハンドルを握った泥臭い人間ドラマがあったに違いありません。


 以上となります。

 この回答も鵜呑みにするべきではないと思いますが、参考までに記載しました。

 

2026/8/27 記 

 


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