鉄道模型ドイツ連邦鉄道 DB 無蓋車 Omm 53 806 405(Märklin 46021)
Omm 53、このどう見てもUIC 571-1 TYPE 2にしか見えないありふれた無蓋車は、実は謎だらけの車両です。
今回は、いつにもましてわからない話なのですが、現時点での調査結果として公表することにいたしました。
(For English/German speakers: Review of the Märklin 46021 HO scale DB Gattung Omm 53. Please use your browser's translation feature to read the full text!)
こちらで紹介するDB Gattung Omm 53ですが、調べるのにはほんと難儀しました。
まず私は、DBの貨車を調べる際に、最初にWikipedia 独語版 Güterwagen der Deutschen Bundesbahnを参照します。
しかし、Omm 53という車種はどこにも出ておりません。
次にStep's Waggon-Archivを調べましたが、こちらにはE 039のEp. 3の名称がOmm 53で10,539両が作られたとの記載があり、元の型式がOmm 54であるとされていました。
しかし、このE 039という型式、また、約10,000両という生産数は上記Wikipediaでは、Omm 54のものとされています。
もしかしたらOmm 53は実在しないかと思い、さらに検索を進めました。
しかし、出てくるのは模型店と模型の記事ばかりで、実車の情報は得られません。
そんな中、ようやく興味深い資料を見つけました。
こちらは貨車の車番をまとめたものですが、これを見ますとOmm 53は間違いなく存在していることが確認できました。
これ以外にも、今となっては歴史的大イベントだったドイツ国鉄150周年記念の大パレードにOmm 53が参加していたという情報もありました。
ただし、権利関係が非常に厳しい欧州では、鉄道フォーラムの掲載写真が次々削除されています。
本件も煽りを食って、写真は削除されていました。ああ残念。
そこでさらに調べたところ、昨今最新の資料を元に大変精度の高い高級模型を発売しているBRAWAがOmm 53を発売していることがわかりました。
BRAWAのHPには、模型だけでなく実車の解説があることが多いので、早速参照してみますと、Omm 53のページの実車解説は、Omm 54/55についてであり、大変残念ながらOmm 53については何も記されておりませんでした。
それにしても、BRAWAのOmm 53は、Omm 54/55と全く同じ形状に見えます。
MärklinのOmm 53は、BRAWAと同様、Omm 55と全く同じ、側面に積載ドア1箇所、両妻に積載フラップ装備というUIC TYPE 2の形状です。
百聞は一見にしかず、実際に両者を比較してみましょう。
こちらTRIXのOmm 55です。
MärklinとTRIXが合併した後の製品ですので、元はMärklin製品です。
そして、こちらがMärklinのOmm 53です。
どう見てもこの2つは全く同じに見えますね。
ここまでの調査でOmm 53とOmm 54は同じであると確信しましたので、最近よく使っているGoogle AIに上記の写真を添えて、聞いてみたところ、下記の回答を得ました。
「Omm 53(改造貨車):戦前の古い貨車(Om Königsberg)の残骸から再建された客車である。上部の側壁は木製の板でできており、下部と扉は板金でできていた。
このH0ゲージモデル(写真に写っているもの)では、コスト削減のため、メルクリンはOmm 55の筐体(滑らかな板金壁)にOmm 53の文字を印刷しただけです。これは歴史的に不正確なモデルバリエーションです。
2. Omm 53はOmm 54と呼ばれていましたか?
いいえ、それは間違いです。Omm 53とOmm 54は、ドイツ連邦鉄道に存在した全く異なる2種類の貨車であり、並行して運行されていました。 」
しかし、AIの回答とは異なり、世の中に出回っているOmm 53の模型は、Nも含めてすべからくOmm 54/55と同じ形状です。
ましてや従来の製品とは一線を画す、最新の高級製品を発売しているBRAWAのOmm 53は、Omm 54/55と全く同じになっています。
その点を指摘したところ、AIはあっさりと間違いを認めました(笑)。
「おっしゃる通りです。この間違いをお詫び申し上げます。歴史的建築方法を完全に誤解していました。
BRAWAモデル50056は、実際にはUICタイプ2に準拠した、完全に滑らかな壁面を持つ鋼鉄製上部構造の貨車を表現している。 」
と。
正直な話、えっ、何??て感じですよ。けど開き直らなくてよかった。
Omm 55の記事でも書きましたが、Google AIは、まだまだ発展途上にあり、今後に期待と言ったところですね。
なお、あくまで私の推測ですが、AIの回答を分析するに、どうやらOmm 53と、戦後に古いOm 12/21の残骸から再生された木製車体の『Om 31(DB版)』を完全にゴチャ混ぜにして学習していたようです。
資料が極めて少ないOm 31の存在を突いてくるとはAIも隅に置けませんが、形式数字のトラップに見事にはまっていた可能性がありますね。
Wikipedia Güterwagen der Deutschen Bundesbahnより引用しますと、「Om 12 貨車と Om 21 貨車は分解され、摩耗した部品が取り外され、 Om 31 の 設計に従って再溶接された。当初は、木製の貨車本体とばね式リンクサスペンションが残された。後に、 UIC ダブルリンクサスペンションが設置され、貨車本体は板金で覆われた。これらの約 1,500 両の貨車はOm 31 と命名された。」
(当方にて翻訳・一部専門用語を補正)以上引用終了。
付言しますと、このOm 31(DB版)に関しては、Wikiの記載以外、全く情報を得ることが出来ませせんでした。
このあたり、世界的にも著名な貨車研究者であるCarstens氏の著作には、詳細が書かれているのでしょうね。
大変残念ですが、私が今回調べた限りでは、Omm 53について触れている資料について、Web上では殆ど見つけることは出来ませんでした。
しかし、ドイツのHPやフォーラムにおいても、Omm 53と54を混同または、同一としている例が多かったです。
実際、辛口で知られるModellbahnfroklerのOm貨車の評価では、Omm 46、Omm 53、Omm 54、Omm 55は同じ車両として評価しており、この点からもOmm 53、54、55は、同じ形態であったとして良いのではないでしょうか?
残念ながら出典を忘れてしまったのですが、Omm 53は本格生産開始が1954年となったため、生産途中でOmm 53からOmm 54に改称されたというのが、私としては一番正しいように思います。
同様な例は、UIC-X Verwendungsgruppe 53でもあり、近年発売された、Hobbytrain/LSM 43030では、2等座席車(当時)のことをAB4ümg-53と称していますが、この形式も他では見つけることができません。
Wikipedia UIC-X-Wagen (DB)等では、AB4ümg-54(後のAm 202)となっていました。
これらは誤記ではないと思います。
実際、AB4ümg-53でもAB4ümg-54でも、その下の6桁車番11 8**は合致しておりましたので。
ただし、Omm 53については、Am 202とは異なり、Ep. 3時代ではOmm 54にはならず、Omm 53のままだったようですが。
長々とOmm 53について述べてきましたが、Omm 54と同一とすると、以前のOmm 55の記事のように、1950年代初頭に定められたUIC 571-1の2軸無蓋車となります。
UIC 571-12軸無蓋車には、フランス型起源のTYPE 1と、ドイツ型起源のTYPE 2が存在しますが、もちろんTYPE 2に該当します。
ドイツ連邦鉄道は資金不足により、新車の製造だけでなく、旧車の部品やシャーシー、足回りを転用する改造、再生産(Umbau)を積極的に行いました。
Omm 55は新規製造、そしてOmm 54は、表向き戦前型Om 12/21のUmbauとされていますが、実際にはブレーキ部品以外は新造だったようです。出典:BRAWA
その後得られた情報では厳しい経営を続けていたDBが議会対策のため、そのような表現を取ったのだとか。
なんとなく頷けますね。
<Omm 53/54主要諸元>
バッファ間距離: 10.0/10.5m(ブレーキ操作台の有無)、軸距: 5.4m、積載量: 20t
Omm 54は1954年から1956年の間、10,589両が製造されました。
DBでは1993年に引退しています。
型式はEp. 3 Omm 54 → Ep. 4 E 039となりました。
1970年以降、ブレーキを変更し、100km/h対応のEs 049になった車体もあります。
上記 Modellbahnfroklerの評価では、「役に立つ」。
その詳細は、「走行装置はまだ少々粗削りな印象ですが、上回りの出来栄えは非常に素晴らしいものです。」とのことでした。
ちなみに、今回ご紹介したメルクリン(46021)の車体番号『806 405』は、現地インレタ専門店のリストにある『806 xxx』代の番号枠と完全に一致しています。
DBが再生車として新しく整理した公式の番号枠を、メルクリンが忠実に再現していたことが分かり、手元のモデルへの愛着がさらに深まりました。
<追伸・決定的証拠>
BRAWAの公式ページには解説がありませんでしたが、本日、Web検索を行ったところ、海外ショップ(Modellbahnshop.de)の最新データに、ついに決定的なOmm 53の実車写真と情報を見つけました!
写真引用は禁止されておりますので、詳しくは以下の通りですが、見てのとおり、Omm 53はOmm 54と全く同じでした。
【海外ショップの公式解説より抜粋】「Omm 54の製造において、古いブレーキ(Kkg)を流用した初期ロットが、のちにOmm 53として区別されました」—— 引用元:Modellbahnshop.de(商品ページ)
また、なぜOmm 53なのかという点においても、当方の推定は当たっていたようです。
AIから「実は、形式名についている「53」や「54」「55」という数字は、「その貨車の設計や製造が始まった年(または計画された年)」を表しています。つまり、UIC規格をもとにした金属製無蓋車のプロジェクト自体がスタートしたのが1953年だったため、その最初期の生産分(または試作・先行量産的な位置づけの車両)に対して「Omm 53」という形式名が与えられた、というのが歴史の真実です。」の回答もありました。
ということで、現時点ではOmm 53はOmm 54と同じUmbauwagenであり、製造時期が早まったため初期の車両はOmm 53を名乗ったという結論にしておきます。
以上、今回の記事は従来にも増して不確実なことが多いものになってしまったことをお詫びするとともに、本件に関し、当時の公式資料や本国ドイツの文献など、確かな情報やソースをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひコメント等でご教授いただけますと幸いです。
2026/8/12 記
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