鉄道模型 ドイツ連邦鉄道 DB 旅客用電気機関車 BR E 10 472号機 (ROCO 43791)
今回は、ドイツ連邦鉄道DBにおいて、長年に渡り主力機として活躍した急行旅客用電気機関車BR E 10.3について紹介します。
(For English/German speakers: Review of the ROCO 43791 HO scale DB BR E 10. Please use your browser's translation feature to read the full text!
ブログ内の詳細や全文は参照元のウェブ文書をご確認ください)
DB BR E 10.3は、軸配置Bo'-Bo'の急行旅客用電気機関車です。
| BR E 10 主要諸元(実車DATA) | |
|---|---|
| バッファ間距離 | 16.44 m |
| 運転重量 | 85.0 t |
| 軸配置 | Bo' Bo' |
| 軸重 | 21.3 t |
| 出力(連続 / 1時間) | 3,620 / 3,700 kW |
| 電動機数 / 駆動方式 | 4基 / ラバースプリング駆動 |
| 動輪径 | 1,250 mm |
| 最高速度 | 150 km/h (のちに 140 km/h) |
BR E 10は、1956年から1969年の間、シリーズ合計379両が世に送り出されました。
製造元は、機械部分:Krupp, Henschel, Krauss-Maffei 、電装品:Siemens, AEG, BBC となっています。
BR E 10は、戦後の標準型電機の一つであり、誕生の経緯は当方の過去記事で何度か紹介させていただいた通りですが、多くの形式に共通しますので再度書かせていただきます。
1950年、ドイツ連邦鉄道 DBの技術委員会は、これからDBに導入すべき電気機関車として、BR E 94を基礎とした6軸機及び、BR E 44のような客貨両用の4軸汎用機を計画しました。
客貨両用の4軸汎用機として、まずBR E 46が計画されましたが、急行用客車列車に最高速度を上げることになり、1952年、多目的機関車の試作機 BR E 10.0(E 10 001~005)が製作されました。
様々な項目を比較検討するために、それぞれ製作メーカー、制御方式、駆動方式、構造、スタイルが異なる5両が作られています。
文献証拠は見つけられませんでしたが、現代型電気機関車の始祖となったBLS Ae 4/4の設計を E 10.0が参考にした可能性は高いと思います。
5両の試作機を用いて広範な試験が繰り返されましたが、4軸機関車としての性能は十分だったものの、一つの車種で全ての目的を達成するのは、得策ではないとの結論が出され、それぞれの用途に合わせた標準型機関車を別個に設計することになりました。
具体的には、急行旅客用 E 10、汎用貨物用 E 40、近郊旅客用 E 41、重貨物用 E 50の4種類の制式電気機関車 (Einheitselektrolokomotive) が作られることになりました。
なお、E 40は、E 10から電気ブレーキを省略し、ギア比を変更して貨物・汎用向けにした形式であり、外観上はE 10.1そっくりですね。
このように標準型機関車は、それぞれ別設計となりましたが、随所に設計や部品の共用化が図られています。
そう言われてみると、これら標準機は、どこか似た形状をしていますね。
なお、標準型電気機関車の高速・高性能な特急用 BR E 01も計画されましたが、当時の電化の進展、および線路基盤整備の遅れから、時期尚早と判断され、BR E 10が使われることになりました。
本格的な特急用機関車は、BR E 03の登場を待つことになったわけです。
さて、BR E 10の量産は、1956年より開始されました。
形式はBR E 10.1となりました。車番E 10 101~となります。
量産型の設計には試作車の運用結果が反映されました。
基礎となった直接の号機はなく、それぞれの試作車から良い点が採用されたようです。
重要なのは、003号機のSSW(シーメンス・シュッカートヴェルケ)製ゴムリングばね駆動(SSW-Gummiringfederantrieb)を採用したことです。
この駆動方式はその後長らく、DB電気機関車の標準駆動方式になりました。
生産型には特に大きな問題もなかったようで、引き続き量産は継続され、1969年までの13年間に379両という大量生産が行われました。
DBの旅客用電気機関車の中では、もっとも数が多くなりました。
さて、総計379両製造されたBR E 10ですが、長期にわたり生産されたこともあり、途中いくつかの変更がありました。
まず当初、他の標準型電機と同様、尾灯と一体になった大型の前照灯が装備されておりましたが、216号機から、前照灯と尾灯が分離されて別個に配置されるようになりました。
公式な形式名ではありませんが、ファンや模型の世界では、このライト分離型をE 10.2と呼んで区別することがあります。
なお、下側が前照灯、上側が尾灯です。
また288号機からは、それまでの角形ボディ(Kasten)とは全く異なる流麗な流線型ボディ(Bügelfalte)を装備するようになりました。
このボディは、先に製造された特急ラインゴルト用にギア比を変更した高速型 E 10.12 流線形車体の設計を、量産型E 10.3にも採用したもので、角形ボディに比べ、前面により傾斜がつき、かつ流線形になりました。
更に前面のバッファー基部がカバーで覆われ、その下にスカートも取り付けられています。
それまでのE 10.1は側面に独立した四角いエアフィルターが並んでいましたが、流線型のE 10.3では、縦に細長いルーバーが中央の窓を挟んで隙間なくズラリと連続して並ぶスタイリッシュな形状になり、大きく印象が変わりました。
話を戻して、Bügelfalteはもはや別機種に見えますが、性能自体には変化はなく、特に新形式は設定されておりません。
流線形ボディは288号機からですが、BR E 10.3と呼ばれています。
この名称は公式ではないものの、幅広く通用するようですね。
なお、この流麗なスタイルですが、実際には速度に対する効果(空力効果)は少なく、見た目重視だったことがこちらに記されていました。
同情報先では、「1960 年代に着用されていた折り目のついたズボンに触発されて、E10.3 シリーズの機関車はすぐに「折り目のついたズボン」というニックネームを獲得しました。」とのことです。
これ以外にも、BR E 10には前面手すりの有無、そして、雨樋の有無があります。
BR E 10.1同様、長年の使用に伴い、スタイルが変化しています。
まず前面下のスカートですが、上記の通り、140km/h程度では効果が少なかったのか、あるいは検車時の問題からか、1970年代半ばには撤去されています。
さらに老朽化に伴う、更新工事が実施されました。
他の標準型電機と同様に、雨水による車体腐食防止対策のため、雨樋が撤去され、張上屋根になりました。
雨樋の撤去でやや野暮ったかった外見が、とてもスマートになったように思います。
これは以前も書きましたが、最初張上屋根で出場し、のちの更新修繕で雨樋を装備した、日本の旧国とは全く逆です。面白いですね。
それから、BR E 10.3を特徴づけていた側面の一体型フィルタが、E 10.1と同様の6個の独立したフィルタに加え、真ん中に窓が取り付けられました。
また前面に全周手すりを配置した機種については、大型の手すりが撤去されて、小型のものに変わっています。
これらの改造時期について、Wikiには記載がありませんが、おそらく1980年代半ばに実施されたと思われます。
ただしドイツだけあって、これらの改造が施されないまま、使われた続けた機種もいるようです。
また車体側面の更新車でも、コバルトブルーに塗られた機種(406-6号機等)があるのはいかにも統一されないドイツらしいですね。
そうそう、E 10を語る上で欠かせないのが、130km/hを超える高速走行時に発生した台車の振動問題です。
この問題に関しては種々対策が講じられたものの、決定的な解決には至りませんでした。
また、1990年代半ば、輸送形態の変更により、Wendezug(プッシュ・プルトレイン)対応改造がなされた機種があります。
これらの推進運転用の装備は、廃車になったBR 140.8やBR 141から転用されたものもあるそうです。
BR E 10の塗装ですが、年代で変化しており、概ね下記の通りとなります。
登場当時:スティールブルー
1960年代後半:コバルトブルー
1970年代:トルコブルー / ベージュ塗り分け
1980年代後半:オリエントレッド
1990年代後半:交通レッド
ただし、ドイツですから、上記の通り、例外が非常に多く、2000年代まで残存した機種でも、コバルトブルーやトルコブルー / ベージュ塗分のままだった機種も存在しました。
これ以外にも特殊な塗装や広告機もありますね。
このように長い間広汎に使用されたBR 110ですが、寄る年波には勝てず、2016年に引退しました。
現在でも、動態保存されている機種があります。
以上、Wikipedia 独語版 DB-Baureihe E 10 より、引用、参照いたしました
それで模型の方ですが、E 10.3は実車の登場がHO勃興期に当たり、E 10.1同様、各社から製品化されております。
ほぼ同型のラインゴルト用花形機関車 BR E 10.12 (112) の塗替えで作れたこともありますし。
ということで、Modellbau-Wiki DB-Baureihe E 10によりますと、BR E 10.3のHO量産模型で一番古いのは、GFNの1965年の製品です。
この模型は見たことがないので詳しいことはわかりませんが、Webで見る限りでは、1971年製品と同じように見えました。
1985年まで作られた444-7号機はかつて保有していました。
時代的にスカート付きの原型車ですが、後に同仕様でトルコブルー/ベージュも作られています。これはあり得ない仕様と思います。
次に古いのは、1969年初回発売のTRIXです。
こちらも見たことがありませんのでよくわかりませんが、Web写真では、BR 112と同じモデルで、スカート付きの原型車です。
同様に窓ガラスは透明ではありません。
その次は1975年のTRIXで、時代的に前面スカートが外された姿であり、雨樋、手すり、窓ガラスなど1969年の製品とは違う製品に見えます。
その次は1976年の初回発売のROCOの初代製品で、前面スカートが撤去された姿になっています。
Modellbau-Wikiの記載では、この製品は製品寿命が長いことになっていますが、BR 112とは異なり、私は見たことがありません。
ROCOの旧製品は見た感じ角ばっていて細身で、実物とはあまり似ていないように感じます。
その次は1983年のLimaです。
TRIXやROCOと同じ仕様ですが、同社の精度が上る前のものなので、トイライクな佇まいで、形状も角張り過ぎで似てません。
BR 112同様、ここまでの製品群は、全体形もイマイチで、細部も大雑把、走りもあまり良くないので、現代ではあまり価値を見出されないと思います。
ようやくスケールモデルらしくなってきたのは、次のLiliputで、BR E 10.3はBR E 10.1やBR E 10.12よりも少し後の1989年に発売されたようです。
私はかつて持っていましたが、正直な話、あまり似ていないと思いましたし、走りもいまいちだったように思います。
反面、スプリングバッファー装備など、妙なこだわりがあり、いかにもオーストリア・Liliputらしい製品だと思いました。
というわけで、BR 112同様、BR E 10.3についても、数多く製品化されている割には、正直なところ満足のできる製品がありませんでした。
私はBR 103と並びこのBR 110.3が一番好きでしたので、欲しい製品だったのですが、上記のように新品は売っていないものが多い時期であり、なおかつ中古の流通も少なく、入手するまでには時間がかかりました。
待望の一両が入手できたのは、ようやく1980年代の終わりになった頃で、珍しい存在のTRIX(スカート撤去・トルコブルー/ベージュ塗装)でした。
とは言うものの、TRIXは塗色がいまいち(ブルーが青緑)、前面手すりに難あり、おまけに揺れるので不満がありましたね。
そんな中、1996年に発売されたROCOのBR 110.3(367-0号機 品番 43790)は、それまでの製品とは全然違う出来に見えました。
しかし、情報を得てすぐにドイツに発注したものの既に現地では品切れで、大変悔しい思いをしました。
ROCOのBR E 10.3をようやく入手したのは2002年のことで、E 10 340号機でした。
全体の感じ、そして細部、さらには軽やかな走りという良いことづくめの素晴らしい製品と個人的には思いましたが、この340号機は下回りが灰色の試験塗装機なんですよね。
私のイメージとはどこか違いました。
とは言うものの、あれだけ入手が難しかったROCOの新 BR 110.3は、その頃から急に入手できるようになり、更新車2色、そして本命の青/黒塗装原型車 367-0号機が2005年に入線しました。
残念ながら発泡スチロールのせいでDB Kekに難ありでしたが。
それで、こちらの472号機は2010年の入手です。
BR E 10.3はその後、Märklin/TRIXから2006年に、そしてPikoから2017年に発売されています。
Pikoの原型車は見たことがありませんが、 ダイカストボディのMärklin/TRIXはROCOとは少々感じが異なるものの良い製品と思います。
TRIXを持っているので、そのうち紹介したいと思います。
上記のように、個人的にはROCOはよく似ていると思います。
青塗装も美しく、表記類も1980年代製品とは異なり、とても鮮明でシャープです。
また低電圧で軽く走り、牽引力もあります。
ROCOは当初、原型仕様を出しましたが、後にスカートを撤去し、側面エアフィルターを、単独にした更新車も発売しました。
こちらも3両持っていますが、同様に大のお気に入りですので、またの機会に紹介したいです。
全面スカート/雨樋付の姿は1976年頃までのようですので、牽引するのは緑/青のUIC-Xが似合いますね。
実際にはTEE客車も牽いたようですし、もちろん普通列車あるいは間合いで貨物も牽いていたはずです。
それにしても、ほんとE 10.3はかっこいいと思いますね。
こちらのEp. 3仕様は、1960年代末の僅か数年間の短い間だけでしたが、BR E 10.3を代表する仕様と思います。
ところで、1960年代後半の落成時、E 10 466号機や、こちらのE 10 472号機は、ヘンシェル社の工場出荷時の公式写真において「屋根が(アルミ色ではなく)グレー(Umbragrau:暗灰色)で塗装されていた」という記録がDSOにありました。
この論議が正しければ、ROCOの屋根はご覧の通り、明るい銀色なので、残念ながら間違いということになってしまいますね。
その後塗り替えられたにしても、その時はEp .4になっていたと思われますし。
発売から約30年が経過しましたが、今でも十二分に通用する出来と思います。
上記のように、ROCOのE 10.3は好製品と思いますが、他方、極めて重大な欠点もあります。
それは模型本体の話ではありません。箱に関する極めて重大な欠点です。
上記の通り、1990年代後半~2000年代に発売されたROCO製品は、発泡スチロールで塗装がやられてしまうことが多々あります。
BR E 10.3ですと、110 367-0(43790)、E 10 472 (43791)、E 10 340 (63697)などが該当しますし、これ以降の製品でも発生することもあります。
これらROCOの塗装被害は、相当な確率で発生しており、極めて重大な問題と思いますし、第一、現在に至るまで根本的な解決はなされておりません。
今では私は購入と同時にIMONの箱に入れ替えていますが、2005年当時、この方法はありませんでした。
いずれにしてもROCOをはじめ、欧州型の箱には致命的なトラブルを起こすものが多いので、大切なコレクションを守るために、早急に箱を入れ替えることをお勧めいたします。
2026/8/27 記
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