鉄道模型 ザール鉄道 SAAR 無蓋車 Ommpu 49 84 157(Märklin 46021)

 今回はザール鉄道 SAAR の無蓋車 Ommpu 49を紹介します。

 Ommpu 49は、ザール鉄道が1949年に製造した無蓋車です。

 炭田で有名なザール地方ですので、主に石炭の輸送に使用されたと思われます。

<主要諸元>

 バッファ間距離(以下、全長と記す): 8.89m、ホイルベース: 5.0m、積載量: 23.5t

 1949年から1950年にかけて、約1,050輌が製造されました。

 それでOmmpu 49ですが、側面に積載ドアが2個所あります。

 このスタイルはフランス、ベルギー、オランダの無蓋車の標準的なスタイルであり、積載ドアが中央に一箇所のドイツ、オーストリア、東欧型とは大きく違っています。

 詳しい原因はわかりませんが、ザール地方は、第二次世界大戦後フランスの管理下に置かれていたので、フランスの設計が導入されたのだと思われます。

 それはともかく、住民投票の結果、1957年にザール地方がドイツ連邦共和国に帰属することになり、同時にSAAR鉄道は、DBに編入されることになりました。

 このときにSAAR鉄道 Ommpu 49は、DB Ommp 50に型式変更されています。

 Ommp 50は、DBでは1967年まで使われたようです。

 なお、本稿では以下、Ommp 50と記載します。

 それでこちらによると、残念ながらこの車はOmmp 50 ではなく、Märklinのドイツ型Ommのシャーシーを転用した空想モデルだそうです。

 一番の問題は、全長の違いです。

 今回素人採寸ですが、実測してみました。

 実車: 8.89mなので、1/87長さ: 102.2mm に対して、メルクリン: 115.4mmで、なんと13.2mm!も長くなっています。

 これ実車に換算すると、1.15mも長いのです。

 このため、MärklinのOmmp 50は、実物に比べると、なんとも間延びした感じになってしまっています。

 それから、掲載写真からもわかるように、MärklinのOmmp 50は、ドア以外の側面と妻面は平板で構成されています。

 ところが実車は、フランスの無蓋車……戦前型のOCEM 29や戦後型のStandard AやC……によく見られるように側板及び妻板にはピラミッド状の膨らみがあります。

 この膨らみは外見上の特徴でもあるため、さらに実物とは似ても似つかないスタイルになってしまっています。

 加えて、本製品には上写真のように両妻面に積載ドア(Kopfklappen)がありますが、実物のOmmp 50にはこのドアはありません。

 

 この機会に調べてみたのですが、上記の通り、このピラミッド状の膨らみはSNCFの戦前製のOCEM 19/29や戦後のStandard A及びCには、側面及び妻面の全体につけられています。

 ピラミッドの形状も先端が尖ったものと、先端が平らになった台形状のものがありました。

 残念ながら実車のOmmp 50の写真は、1枚しか見つけられませんでした。

 この車両は痛みが酷く、側板がボコボコになっており、わかりにくいですが、膨らみは側面のドア以外にもあるようであり、さらにピラミッドの先端は平らになっているように見えました。

 他方、メルクリンが模型化したドア以外に膨らみがなく、平板になっているのは、12,000両が作られたStandard Dと、その改良型でもあるUIC標準規格 TYPE Iです。

 なお、Standard Dには妻面のドアはありませんが、UIC TYPE 1にはドアはあります。

 もしかすると、メルクリンはUIC TYPE 1をイメージしてこの製品を作り、単純にOmmp 50に転用したのかもしれませんね。

 とは言うものの、Standard D及び、UIC TYPE 1の全長は、それぞれ8.89m、9.0m、軸距は5.0m、4.85mだそうですので、いずれにしても、この車両は当てはまりませんが。

 こちらは、Ommp 50の裏側です。

 そしてこちらが同じMärklinのOmm 37です。

 見ての通り、大変よく似ているシャーシーであることがわかります。

 ただし、Omm 37はシャーシー下に補強トラスが設置されているので、全く同じ金型ではありません。

 Omm 37は、全長: 10.0m、軸距: 6.0mであり、Ommp 50の全長: 8.89m、軸距: 5.0mとは全然違います。

 これでこの製品が完全にシャーシー設計転用のファンタジー製品だということが、証明されました。 

 こちらの写真のように、全長: 8.89 m、荷室長さ: 7.7m、WB 5.00mなんて書いてあります。

 上記の素人実測において、MärklinのOmmpu 49は、全長: 115.4mm、荷室長さ: 100mm、WB: 69mmであり、縮尺はそれぞれ1/77、1/77、1/72.5となりました。

 いくらなんでもこれではHOとは呼べないですね。

 Märklinは実車が存在しない模型を作ることがよくあるようですが、46021は2002年のMHI製品です。

 21世紀に入っても、このような「なんちゃって製品」が大メーカーから供給されていたのには正直、驚かされました。 

 ところで面白いのは、こちらによると、この模型はベルギー国鉄 SNCB 1215 A4にサイズが似ているとのこと。

 SNCB 1215 A4: 全長10.5m、WB 6m

 もちろん全くの偶然であり、細部は異なるようですけど。 

 さらにModellbahnfroklerには、以下の記載がありました。

「1956 年以降、SNCB は UIC TYPE I の図面に基づいて製造された無蓋車を合計 4,025 両調達した。すべての貨車は Cuesmes-ABR 社で製造された。最初のシリーズ (1956/57 年製造) は貨物列車用のウェスティングハウス ブレーキ (WG) を備えた貨車で構成されていた。これに続いて 1958 年にエリコン ブレーキを備えた貨車が、1958/59 年に OG ブレーキとハンドブレーキ プラットフォームを備えた貨車が製造された。1956 年の初期納入分は、図 7の SNCF 貨車に見られるように、まだ四角い車軸箱カバーを備えていたが、モデルにも見られるように、設計は比較的すぐに半球形のカバーに変更された。ハンドブレーキ プラットフォームを備えた貨車は、プラットフォームの反対側に 1 つの端フラップのみを備えていた。当初、このシリーズにはそれ以上の細分化がなかったため、貨車は単に「TYPE  1215 A」と指定されていました。1971年に長尺の 1215 A4 が製造されるまで、「我々の」貨車の指定は 1215 A0 に変更されませんでした。「タイプ」指定の説明:最初の数字は貨車の設計(1 = 開放型貨車)、2 番目の数字は積載量(2 = 20 トン)、3 番目の数字は原産国(1 = ベルギー)、4 番目の数字はクラスに応じた設計固有の特徴を示します。」

以上、引用終わり。

 なお同社からは、品番4638のSNCB 1215Aが発売されています。

 1965-1970年の古い製品ですので、こちらと同じ型かはわかりません。

 こちらと同じショートカプラー仕様のSNCB 1215 A4が発売されているのかどうか、全くわかりませんでしたが、偶然ヒットした2013年のセット46024に含まれる1214Bは、こちらによく似ていることがわかりました。

 とは言うものの、1214Bは1215Aよりも一世代前の車ということこそわかりましたが、それ以上の詳細、特に実車のDATAを得ることは出来ませんでした。

 ドイツ連邦鉄道 DB Ommp 50の模型は、他にROCOとPikoから発売されています。

 ROCOのOmmp 50は、いわゆるシンプルシリーズであり、側面に実車同様、頂部が平らになっているピラミッド状の膨らみがあります。

 ただし、全長が短過ぎ(換算値で0.8mも短い)でかつ、妻面に積載ドアがあるという、DB Ommp 50はもちろんのこと、SNCFのStandard A/C、D、そしてUIC TYPE Iのいずれにも該当しない形状のモデルです。

 この製品がどの車両を模型化したのか、さっぱりわかりませんでしたが、今回派生製品である私の手持ちのNS仕様の無蓋車 E 222(ROCO 46045)で検索したところ、類似の形状の車両があることがわかりました。

  この車NS GTOWは、側面にピラミッド状の膨らみを持ち、さらにはROCOと同様、妻面に積載ドアがあります。

  しかしながらGTOWの全長は9mであり、また外見上、ピラミッドの頂部がOmmp 50やROCO製品が平らなのに対し、尖っている点が異なります。

 Webで検索した限りでは、GTOWで頂部が平らな膨らみを持つ車を見つけることは出来ませんでした。

 ということで、ROCOのOmmp 50の正体は、NSのE 222(GTOW)である可能性はあるものの、少なくともOmmp 50としては満足の行くものではありません。


 一方、Pikoは実見したことがありませんが、先述のModellbahnfroklerの写真を見る限りでは、側面及び妻面に頂部が平らなピラミッド状の膨らみがつけられており、また妻面には積載ドアは無いなど、ROCOよりはずっと似ているように見えます。

 ただし、古い製品でもあり、シャーシーが粗悪品で軸距が間違っているとのことです。

 そういう意味で、新しいMärklinには期待したのですが、なんとも残念な結果でした。

2026/7/22 記

 


↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。

db103rheingold.web.fc2.com

 

↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。

是非ご覧になってください。

コメント

人気の投稿