鉄道模型 ドイツ鉄道の時代区分と貨車の型式標記について

 ドイツ(欧州)の車両を楽しむには、時代区分がとても大切です。

 というのもドイツの場合、国境を超えての運用はよくありますが、時代区分を超えての運用は僅かな経過期間を除き、まず見ることがありません。

 ですので、編成を組む際には時代区分がとても重要になってきます。

 

 それで欧州型の時代区分ですが、はっきり決まっているわけではなく、模型メーカーのカタログ等でもばらつきが見られます。

 ここでは欧州では最も一般的な模型鉄道規格を定めているMOROP(欧州鉄道模型連盟)が決めているNEM 800で区分しました。

 本稿の主体である貨車の型式標記については、Ep. 1~4の4期で鉄道組織、そしてそれに伴う標記方法が大きく変化しています。

 ここを理解しておくといろいろと楽しいと思い、本稿をまとめることにいたしました。

 なお、いつも通りですが、本稿の記載内容には間違いや誤認が多々あると思います。

 その節は深くお詫びいたします。

 

<Epoche I Ep. 1>

 年代:1835年~1925年

 概要:ドイツの鉄道が統一される前、各王国が独自の鉄道網を有していた時代です。

 模型鉄道の特色: 蒸気機関車の塗装が緑などカラフルな時代でした。

<貨車の標記> 

 模型は、プロイセン王国邦有鉄道 K. P. St. E. Gml 8 155(GFN 4895 K)

「Erfurt」は所属区、その上はプロイセン王国邦有鉄道 K. P. St. E. のマーク。

 8 155が車番、その下の「Gml」がこの貨車(大容量有蓋車)の形式文字(Gattungszeichen)。日本流ではGml 8 155となるか。

 左上に積載量等の情報が記載されている点も注目して下さい。

 

 

<Epoche II Ep. 2>

 年代:1920年~1950年

 概要:1920年、各王国の邦有鉄道を統合して、ドイツ国鉄 Deutsche Reichsbahn Geselschaft=DRGが発足した。

 これにより鉄道の標準化が図られるとともに、大きな発展を遂げました。

 1933年の国民社会主義政権発足により、1937年に再び国有化されDeutsche Reichsbahnとなりました。

 これに伴い、1937年以降をEpoche IIbとする場合もあります。

 なお、DRGをドイツ帝国鉄道とすることもありますが、私の学生時代の独語教師は、Reichと帝国は全くの別物と言っておりました。

<貨車の標記>

 模型はDRG Gl 8 007(GFN 5309 K)。

 Deutsche Reichsbahnの下の「Dresden」は所属区ではなく、この貨車の分類都市名(Gattungsbezirk)です。

 8 007は車番、「Gl」はこの貨車(大容量有蓋車、上と全く同じ形式です)の形式文字(Gattungszeichen)。

 G: Gedeckter Güterwagen、l: 24m2以上の積載面積

 型式文字はEp. 2だけでなく、一部変更されながら現在でも使用されています。


 話は戻りますが、Ep. 2では、貨車の形式文字に加え、分類都市名が識別用に使用されました。

 有名なところでは最も多い20万両が作られたVerbandsbauart A 10 無蓋車のOm Breslau、Om Essen、12万両のA 2 有蓋車 G München、G Kassel、ティーガー戦車輸送車SSyms Köln、柵柱貨車 Stuttgartなどがあります。

 ただし、このGattungsbezirkは、固有の車両を示しているものではありません。

 例えばKölnですが、SSymsだけでなく、全く形状の異なる大物車やいわゆるレール貨車にも使われています。

 日本で言えばワム 東京、ワラ 福岡なんて感じになりますね。

 採用された都市名はバラバラであり、貨車の種別による関連性はないようです。

 ただし、戦時型以降に使用された都市名には、1933年以降に新たにドイツに加わった地域(オーストリアのLinz、Klagenfurt、Villach)などが採用されています。

 分類都市名は、戦後も使用が継続されましたが、1951年には廃止されました。

 また敗戦の結果、ドイツではなくなってしまった都市(Breslau、Opplen、Königsbergなど)は変更されたそうです。詳しくはこちら

 分類都市名の詳細については、いずれ書いてみたいと思います。

 

<私有貨車>

 上記は、国鉄貨車に適用されるルールであり、一般的に私有貨車には型式文字はなく、分類都市名は使われておりません。

 上写真のドイツ国鉄 DRG 運用 私有ビール貨車 Cassel 535 414 P  (GFN 83 5807 K)の「Cassel」は分類都市名ではなく、私有貨車の籍が置かれている、国鉄の地方鉄道管理局(Reichsbahndirektion)を表します。

 また、地方鉄道管理局ごとに振り分けられている通し番号 535 414、そして番号の後ろに私有貨車を表す「P」の文字が追加されています。

 余談ですが、地方鉄道管理局毎の番号リストを含む、Epoche IIの鉄道に関する膨大な情報を網羅したHPが存在したのですが、今では閉鎖されてしまいました。

 ごく一部は他の方が復元しているようですが、以前のようには行かないです。

 最近、ドイツでも鉄道関係のHPの閉鎖が相次いでおり、とても寂しい限りですね。

 

 

<Epoche III Ep. 3>

 年代:1945年~1970年

 概要:第二次世界大戦の敗北により、ドイツは連合国に分割占領されることになったが、西側地区がドイツ連邦共和国として独立し、1949年、その鉄道がDeutsch Bundesbahn(ドイツ連邦鉄道)=DBとなった。

 鉄道は戦争でとてつもない大被害を受けたが、戦後復興には鉄道が必須であり、また動力革新期にもあたり、大発展を遂げた。

 趣味的には、蒸気機関車の全盛期から電化、ディーゼル化が推進された時期である一方、ローカル線や専用線、狭軌鉄道も活躍を続けており、実に多様な車両が存在したことから、彼の地では最も人気の高い時代区分です。

 これには彼の地の模型趣味人口の平均年齢が高いことも挙げられそうですね。

 なお、3等が廃止された1956年までをEpoche IIIa、それ以降をEpoche IIIbとする場合もあります。

<貨車の標記>

 模型はDB Glmms 61(Märklin 48786)。

 「DB」は、Deutsche Bundesbahnの略で、後にDBシンボルマーク「DB Kek」となりました。

 189 274 は車番です。ランダムではなく、この形式「大容量貨車 Glmms 61」に割り当てられた6桁数字です。

 Google AIでは150 000 〜 156 999が割り当てられたとありましたが、こちらとは違います。

 再度尋ねたところ、Glmms 61のうち、旧車の再生によって作られたUmbau車には、188 000 〜 189 999が割り当てられたとの回答がありました。

 こちらで何度も記載した通り、Google AIは信用できない場合もあるので、これが正しいかわかりません。

 「Glmms」はこの貨車(大容量有蓋車)の型式名(Gattungszeichen)で、

G: Gedeckter Güterwagen、l: 26m2以上の積載面積(1937年以降)、mm: 積載量20t以上(1937年以降)、s: 時速100kmまで認可

 「61」は形式番号です。

 上記の通り、Epoche IIIでは、Gattungsbezirkは廃止され、貨車へは記載されていません。

 その他、左側には積載量、積載面積等が記載されておりますね。

 

私有貨車

 DB 544 043 P (ROCO 47321)

  Epoche 2とほぼ同様ですが、DB Epoche 3の私有貨車は、車番として「500 000」番台、または「001 000 〜 009 999」番台の6桁の数字+私有貨車を表す「P」が付番されています。

 また、私有貨車の籍が置かれている、国鉄の地方鉄道管理局(Reichsbahndirektion)の名前の代わりに、常備駅名「Bhf:Düsseldorf-Reisholz」が記されています。

 DB Glmhs 50 515 490 P "GOLDPFEIL" (TRIX 23886)

 こちらもほぼ同様で、Google AIによると、Offenbach/M HgbrはOffenbach am  Main Hauptgüterbahnhof=オッフェンバッハ中央貨物駅常備とのことでした。

 私有貨車にも関わらず、DBの型式文字 Glmhs 50が使われているのは、当時の新鋭貨車だったDBのGlmhs 50を、私有貨車の持ち主であるGoldPfeil社(高級革製品や旅行鞄で有名)が、自社製品の輸送用にそのまま導入したのではないかとのことでした。

 

 

<Epoche IV Ep. 4>

 年代:1965年~1990年

 概要:コンピューターNo.が導入され、型式番号体系が根本的に変更された。

 DBでは1977年に蒸気機関車が引退し、完全に電化・ディーゼル化を達成した。また、全国を網羅するICを整備し、高速化が図られた。

 他方、いわゆる混合貨物列車はブロックトレイン(専貨)に取って代わられ、ローカル線は近代化されたものの廃線が相次いだ。

 鉄道は技術的には発展を遂げたものの、交通の主力の座から滑り落ちた時期。

 なお、DBの客車において緑/青が中心の1970年代をEpoche IVa、タルキスブルー/ベージュの1980年代をEpoche IVbとする場合もあります。

 

<貨車の標記> DB Gbs 254 (Märklin 4732)

 貨車においては、Epoche 4のコンピューターナンバーとして、欧州統一の12桁数字が導入された。

 DBマーク(DB Kek)の下

 12桁のコンピューターNo。そしてその下に形式文字 Gbs 254がある。

01: 運用コード(Austauschverfahren)この車両が「国際間の乗り入れが可能(RIV規格適合)な、2軸の一般貨車」

80: 国・所属鉄道会社コード(Eigentumsmerkmal)「ドイツ(西ドイツ)」および「DB(ドイツ連邦鉄道)」に割り当てられた世界共通の識別番号です。

150 8: 形式特性コード(Gattungskennzahl)UICの定義において、この4桁の並びは「Gbs(大容量・100km/h対応の有蓋車)」という構造特性そのものを数字として表しています。

798: 通し番号

-6: チェックデジット

 型式文字:Gbs 254

 Gedeckter Güterwagen、b:「長さ(床面積・容積)が非常に大きい有蓋車」(有効長12m以上)、s:時速100kmまで認可

RIV: 国際車両規則。1922年に発足した国際的な「客車・貨車相互乗り入れ協定」です。このマークがある車両は、「国際線の厳しい技術・安全基準をクリアしており、国境を越えて他国へ乗り入れる資格がある」

EUROP: 1953年に発足した西欧9カ国の国鉄が結成した「貨車の共同利用(プール)協定」に該当する車両。この車両は車両の保有国への返送が不要で域内での使用が自由となっている。これにより国境を超えての空車返送が不要となり、大幅な効率化が図られた。

 

私有貨車

 DB 33 80 791 7 503-4 P SKW(Märklin 48484)

 こちらも同様に12桁数字ですが、末尾に私有貨車のPが付与されています。

 33: 運用コード(Austauschverfahren)

 前2桁の「33」は、「国際乗り入れ可能(RIV規格適合)な、民間企業が所有する『私有貨車(P車)』」であることを明確に表すコードです。先述の国鉄所有車(01や11など)と異なり、民間所有のタンク車や特殊車にはこの「33」や「23」などが指定されます。

  常備駅はFrankfurt am Mail 貨物駅

 

 

 以下、貨車標記は省略します。

<Epoche V Ep. 5>

 1985年~2010年

 DBAG発足まで。ICEの登場により、本格高速時代を迎えた。

 またそれまでとは塗装が抜本的に変更され、白を基調とした明るいものに変更された。

 番号体系: ドイツ統合により、旧DR車を中心に動力車の型式名(Baureihe)が変更された。

 例: DR 電機 BR 1** → BR 2**、ディーゼル機 BR 2** → BR 1**

 

<Epoch VI Ep. 6>

 2005年~

 DBAG発足。他の欧州鉄道も次々に民営化された。

 民営企業の鉄道参入が相次ぎ、車両のカラーバリエーションが激増した。

 反面、機関車はBombardierの独壇場へ。

 EU統合もあり国をまたいだ貨物列車が主力となり、今や欧州の鉄道は貨物が主役。

 他方、環境規制から寝台列車の復権も見られる。

 発展の中心が旧西欧から東欧へ。

 ただし鉄道全体で見れば地盤沈下は著しく、特にDBAGは遅延が常態化するなど、凋落が際立っている。

 動力車の番号体系: 2007 年初頭から、ドイツで新たに登録されたすべての機関車は、車両番号の規則に従って12 桁の運行番号を取得している。

  

 以上です。

 本稿をまとめるに当たり、改めて自分でも知らなかったことばかりであり、勉強になりました。

参考文献:上記リンク及びGoogle AI

2026/7/20 記

 

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