鉄道模型 東ドイツ国鉄 DR 戦時型貨物用テンダー式蒸気機関車 BR 52 006号機 (Gützold 32100)
今回は東ドイツ国鉄 DR のテンダ式貨物用蒸気機関車 BR 52を紹介します。
BR 52は、ドイツ国鉄DRGが開発した戦時型貨物用蒸気機関車です。
<BR 52 主要諸元>
型式:1'E-h2、バッファ間距離:22,975mm、運転重量:84.0t、軸配置:1E、軸重:15.4t、過熱式二気筒、出力:1,192kW、ボイラー圧力:16bar、最高速度:80km/h、動輪径:1,400mm
BR 52には、軸重15tで1200tの列車を65km/hで牽引できる性能、そして、戦時損失と増大する輸送需要に対応する短時間での大量生産、さらに戦地におけるハードな取扱いに耐える堅牢で簡素な構造という、互いに相反する特性が要求されました。
要求にこたえるために、徹底した簡素化(給水加熱器なし、エゼクターのみで、給水ポンプもない)が図られると共に、コストダウンのため、使用材料も出来るだけ低廉なものが使われました。
台枠は板材の貼り合わせで、軽量化のための穴抜き加工は、バーナーで開けただけで、仕上げもなかったんだとか。
極端な言い方をすると、「戦争が終わるまで持てばよい」というような機関車だったのです。
その一方、北のノルウェーでの使用のための密閉型運転台の採用や、初のWitteデフの装備などと言う、新機軸も取り入れられています。
その努力が功を奏したのか、15,000輌と言うとてつもない生産計画に対し、1942年から1945年までに、ドイツおよびその同盟国、また占領した各地で合計6,300輌以上が製造されました。
なお、製造数は確定されておらず、さらに増える可能性があります。
まさしく戦時急造型と言え、これを特徴づけているのが、有名なこちらのニュース映像ですね。
ドイツ週間ニュースです。
11分35秒頃からですが、全編通じても見どころ多数あり。
今見てもすごくインパクトがありますね。
よく見ると、炭水車などそれぞれの仕様や番号には少なからず差異があることから、全てが合成とは言い切れないと思います。
さらに戦後、残存した部品を用いて300輌以上が追加製造されました。
加えて、ソ連、ポーランド、トルコでコピーが生産され、これらを合わせた総合計は10,000輌以上となるという資料もあります。
いずれにせよ、これは西欧で作られた蒸気機関車としては、第1位の数字です。
このように大量に作られたBR 52は、ドイツの占領した全欧州で幅広く使用され、戦災で多数が失われたものの、DB約700輌(戦後生産分含む)、DR 1,150輌、ソ連 2,000輌以上、ポーランド 1,200輌、オーストリア 700輌等、北はノルウェーから南はトルコまで、ヨーロッパ各国に多数が引き継がれました。
戦時型機関車だけあって、ドイツ本国よりも他国へ渡った方が多いのですね。
このうち、DBでは1962年までの使用にとどまりましたが、その他の国では長い間使用され、更新を受けたDRでは1980年代まで、そして営業線上の最後の1台は、現在もボスニア・ヘルツェゴビナで使用されているそうです。
この項、カゲノさんから情報をいただきました。ありがとうございました。
戦時急造型と言いながら、基本設計の優秀さを表すものと言えましょう。
現在でも多数の動態及び静態機が存在します。
ところで、BR 52を特徴づけているのが炭水車です。
理由はよくわかりませんが、従来型は使用されず、新規に開発された炭水車が使用されました。
初期には、こちらで紹介するBR 52 006号機が装備している Steinframentender 4T30が使われました。
しかし中心となったのは、Wannentender(バスタブテンダー)2'2' T 30でした。
日本でも戦時型のC59やC57が採用した船底テンダーですが、より徹底した構造で、まるでフレームレスのタンク車のようです。
このテンダーは形態に似合わず優秀だったようで、BR 50等でも装備した他、BR 52が廃車された後にBR 38(P 8)に転用されました。
あと、水の少ない地方(ロシア南部)での使用のため、空冷塔を装備した復水型機関車138輌が、ヘンシェルで製造されました。
このテンダーは、5軸ないし4軸であり、そのうち5軸型3'2' T34は、長さが13.695mもあり、連結時の全長は通常型の23.185mに対し、27.535mと大きなものとなり、標準機とは変わった威容を示しています。
以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe 52 より、参照、引用しました。
さて、飾り気の全くないBR 52ですが、模型の方は各社から発売されております。
HOでは、正確な発売年がわかりませんでしたが、恐らくKleinbahnが一番古く、1969年のPiko(復水テンダー)、1980年代にLiliput、90年代にGützold、そしてMärklinから発売されました。
ドイツ統一の頃、旧Pikoがいくつかの会社に分かれましたが、Gützoldもその中の一つです。
最初は旧Piko製品のビューラーモーター更新品を作っていました。
90年代の初め、天賞堂が試験的に扱っておりましたので、私もBR 64と86を買い求めましたが、他と比べると安価な分、車体は旧Pikoそのものなので、いまいちだったように思いました。
そんな中、こちらのBR 52は1992年に発売されたもので、確か完全新規製品だったように記憶しております。
GützoldのBR 52は、バリエーションが多数発売されておりましたね。
車体はオールプラ製で、当時の東独系製品の常でロッドもプラです。
あっさりとした出来ですが、BR 52は装飾品が何もありませんので、感じは出ているように思います。
変わったところでは、前照灯が単体のLEDになっています。
これは他ではほとんど見ませんね。(Märklinの蒸機に一部ありますが)
ただ、接触が悪いと点灯しないのと、外れやすいので、紛失する可能性が高いのが欠点です。
プラのロッドやバルブギアーは、茶色にモールドしてあるのは悪くないと思います。
Piko製品はいかにも安っぽい銀色のプラでしたから。
動輪もシャープですし、感じも良いですね。
レタリングは旧東独製品にしては悪くないと思います。
窓の省略された戦時型キャブ。
バタフライスクリーンが一体成型なので、透明になっていませんね。
BR 52のキャブは寒冷地帯での使用を鑑み、ドア付きでかつ後方も円形になっています。
これは他のドイツ機では見かけないですね。
しかし、暑い地域では大変だったでしょう。
GützoldのBR 52は、Steinframentender 4T30を装備しています。
私が知る限り、この炭水車は他社からは出ていなかったと思いますので、そういう意味では貴重な存在かもしれません。
それにしても変わった形状のテンダーですね。
見た感じ、容積効率が悪いように思いますが、問題はなかったのでしょうか?
動力は、東独時代のPikoの標準であるテンダードライブです。
ROCO製品とは異なり、機関車は駆動しません。
走りの方は静かでよいと思います。
ところでGützoldですが、現在でも存続しており、出来の良いマイヤータンク機Sä I TV(BR 98.0)やDR改造機種を発売しているようですが、非常に高価な上、ドイツでも扱っている模型店は少なく、日本に入ってくることは極めて稀だと思います。
出来の方は繊細ながら、経年でギアが割れてしまうなど問題も多いです。
当方のBR 52は奇跡的に大丈夫でしたが、今後どうなるのか、予断を許さないですね。
2025/7/24 記
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