バイエルン王国邦有鉄道 K. Bay. Sts. B. 勾配線区用重マレータンク式蒸気機関車 Gt 2x4/4 5755号機(Märklin 31806)
今回は、王立バイエルン邦有鉄道 Königlich Bayerische Staatseisenbahnen(以下 K. Bay. Sts. B.)の勾配線用重マレータンク式機関車 Gt 2×4/4 について、Märklin製品を紹介します。
K. Bay. Sts. B. の勾配線用重マレータンク式機関車 Gt 2×4/4は、同邦有鉄道の交通の難所であった勾配線区の補機として作られたドイツ最大のタンク式機関車です。
<Gt 2×4/4(1次車)主要諸元>
型式:D'D' h4vt、バッファ間距離:17.5m、運転重量:123.2t、軸重:15.4t、過熱式四気筒、ボイラー圧力:15bar、動輪径:1,216mm、出力:1,080kW、最高速度:50km/h、40km/h(25パーミル勾配)
K. Bay. Sts. B. Gt 4/4×2型は、同鉄道の有名な四気筒急行用蒸機 S 3/6型を設計したJA マッファイ社のアントン・ハンメルにより設計され、1913~14年にかけて1次車が15輌、1923~24年にかけて2次車が10輌の合計25輌が製造されました。
20世紀の最初の10年間、旅客列車と貨物列車の重量が増えていき、バイエルンの山越えがますます困難になりました。
特に障害となったのは、下記の3箇所でした。
1)ノイエンマルクトとマルクトショルガストの間のSchiefeEbene
路線延長:6.8km、高低差:157.7m、勾配は25‰
2)ラウファッハとハイゲンブリュッケン間のSpessartrampe
路線延長:6.9km、高低差:100m、勾配は20‰
3)ローテンキルヒェンとプロブシュツェラの間のフランケンヴァルト鉄道
a)ローテンキルヒェンからシュタインバッハ・アム・ヴァルト
路線延長:12.2km、高低差:217m、主な勾配は25‰
b)プロブシュツェラからシュタインバッハ
路線延長:11.5km、高低差:218m、主な勾配は25‰
K. Bay. Sts. B. は、これら急勾配線区に対し、重連や三重連の補機を連結して使用して来ましたが、輸送力や速度のネックとなっていただけでなく、乗務員が多数必要になるなど経済合理性にも乏しいものでした。
これら急勾配線区の輸送力増強は必須であり、新たな機関車の開発が求められました。
この新しい機関車の目標は、「利益を上げるために、急勾配線区を大幅に短い時間で克服すること」でした。
また許容軸重を低く抑える必要もありました。
上記の要求を受け、JA Maffeiの設計主任であったアントン・ハンメルは、勾配線区のきついカーブでも優れた牽引力及びコーナリングを得られることを期待して、当時北米で使われていたマレー式の勾配線区用重タンク式機関車を採用しました。
後にGt 2×4/4となるこの機関車は、D軸駆動の走行装置を2個装備し、可動する前側を低圧シリンダーで、車体に固定される後方をより小型の高圧シリンダーで駆動しました。
1913年に試作機一号機が完成し、11月にミュンヘン近郊で試運転を実施した後、、1914 年にリヒテンフェルス-ローテンキルヒェン間のルートで公式テストが開始されました。
Gt 2×4/4は、465tの列車を25パーミルの勾配で25 km/hで牽引し、さらに軽量の列車では最大40km/hで登坂することができました。
また従来に比べ、走行時間を約40%短縮しました。
K.Bay.Sts.B. は、型式 Gt 2x4/4をMaffeiへ15両発注し、1913~1914 年に納入されました。
更に1920年代に発足したドイツ国鉄 Reichseisenbahnen des Deutschen Reiches, Gruppenverwaltung Bayernも、1922 年に10両を追加発注しました。
2次生産型は、最初の15両とは細部が少し異なっていたものの、基本設計は同一でした。
それでも、ヨーロッパで最大かつ最重量の連結式機関車であるこの機関車は、その実力を発揮し、1922 年に10両が追加発注されました。
これらは最初の15両とは細部が少し異なっていたものの、基本設計は同一でした。
Gt 2x4/4は、強力でかつ欧州で最も重い機関車でしたが、構造が大変複雑な上、運用に伴う問題、なかんずく運転操作が難しいという問題があったようで、早くも1925年には、改良工事が実施されています。
改良項目は多岐に渡りますが、主なものは高圧シリンダーの大型化とリンゲンバッハ式ブレーキの装備です。
この改良工事は二次車から実施され、終了後、一次車が施工されました。
ただし一次車の改良は、より小範囲に収まったようです。
この改良の背景には、1922年に登場したプロイセンT 20(のちのBR 95)が優秀な成績を収めたことがあります。
単式のBR 95はBr 96に比べれば構造が簡略で、メンテナンス費用に低かったのでしょう。
実際、BR 96は有名なガイスリンガーシュタイゲではテストされたものの、「BR 95 (プロイセン T20)がその任務に十分対応できることが証明されたため、そこでは運用されませんでした。」1)
とは言うものの、この改良は有効だったようで、「マッフェイの幹部、バロン・ルートヴィヒ・フォン・ウェルザー氏のコメントによれば、「改造プログラムの成功はすべての期待に応え、その結果、Gt2x4/4の性能はプロイセンのT16やT20との競争を恐れる必要がないほどになった」とのことです。」1)
1920年代に開催された各地の鉄道展示会ではドイツを代表する大型強力機関車として、こちらで紹介するMärklinモデルのような鮮やかな青色や黄色に彩られて展示されたBR 96ですが、特に後補機関車として、また貨物や旅客輸送における機関車として、最長30年以上にわたって優れた運用を提供しました。
しかし、構造の複雑さのせいか、早くも1930年代には廃車が始まり、1945年のドイツ敗戦までに 6両が退役しました。
また、第二次世界大戦で 96 015が失われています。
終戦後、96 002、004、006、008 ~ 012、016 ~ 025 の 18 台が利用可能になりました。
西部ゾーンの機関車はミュンヘンとニュルンベルクに配備され、1947年までに運用から外れています。
なお、「1954 年 10 月までに、最後の BR 96 (96 002 と 024) がスクラップにされました。96 006 が生き残って博物館に展示されるかもしれないという希望もありましたが、残念ながらそれは叶いませんでした。残念ながら、生き残ったものはありません。」1)とのことです。
96 002 と 96 024 は、終戦後も東ドイツの DR に残り、1954 年まで存在したそうです。
現在では精巧な2つの1/10スケールモデルが残され、往時をしのぶことができるようです。
ちなみにこちらのK. Bay. Sts. B. 5755号機は、下記の車歴だそうです。
1913年12月 K. Bay. Sts. B. への配送 5755
1914年3月3日 受け入れ
1920年4月24日 DR - Reichseisenbahnen des Deutschen Reiches, Gruppenverwaltung Bayern 5755
1924年8月31日 DRG - Deutsche Reichsbahn-Gesellschaft 5755 [Gruppenverwaltung Bayern]
1925年5月30日 96 005へ改番
1936年1月 BW Brügge にて廃車
193x年 RAW Schwerte にて解体 2)
ドイツ語の専門用語の和訳はよくわからないので、原文のままとしました。
以上、Wikipedia独語版 Bayerische Gt 2x4/4、および各路線より、引用、参照致しました。
<出典>
1) Lokomotiven der Deutschen Reichsbahn (DRG) 1920-1945
http://schneider-mayenfisch.com/drg_lokomotiven_96.htm
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https://www.dampflokomotivarchiv.de/index.php?nav=1000001&lang=1
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今回、BR 96についてWeb検索を行った際に、大変興味深い記事を見つけましたので、記しておきます。
Rreichsbahn.nl - De Duitse Spoorwegen 1920-1945 - BR 96
dampflokomotivarchiv.de - Gt 2×4/4
上記出典を含め、興味があったらぜひ覗いてみてください。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によると、BR 96は引退が早かった機種にしては模型化された数は少なくありません。
やはり欧州最大のマレー式タンク機というのが、模型としてみた場合、見栄えがするんでしょうね。
ブラスでは、1976年 Fulgurex、1991年 Lemaco、1993年 Micro-Metakit があるようです。
一方量産品では、1981年初回発売のRivarossiが唯一のモデルでした。
同社はマイナー機をよく出しておりましたので、選ばれたのかもしれません。
Modellbau-Wiki によると、この製品が最後に作られたのは1997年のようであり、同社のドイツ蒸機を代表する製品と言えますね。
なお、採寸したことはありませんが、当時の製品だけに、サイズが一回り大きかったように感じます。
Märklinは1994年の初回発売であり、最初に発売されたのはDRG時代のBR 96 017であり、デジタルや2線仕様のHämo(8396)も出ておりました。
当方もかつて8396を持っていました。
その後発売されたTRIXは、Märklinの2線製品であり、電気関係以外は同じ製品です。
Märklin/TRIX 共に多種のバリエーションが発売されておりました。
Rivarossiもそうですが、上記記事の通り、種々の鉄道展示会で展示された派手な塗装が選ばれています。
こちらのK. Bay. Sts. B. 5755号機は、2011年のMHI製品で、S 3/6とB VIのセットで発売されたものです。
当方は、中古の単品を入手しました。
1990年代の製品なので、現在のものに比べれば細部は劣るかもしれませんが、私的には十分な出来と思います。
金属製の動輪やロッド周り、美しい塗装などが特筆されます。
金属製の手すりは真円度や質感が優れますね。
レタリングもきれいです。
かつて持っていた8396は、ボディやサイドタンクがプラ、ボイラーがダイカストだったため、質感の差がありましたが、こちらはそんな質感の差はありません。
もしかしたらボディもダイカストになったんでしょうか?
金属製のバッファ、石油ランプのレンズ、炭庫の手すりなど、本当にいい感じです。
細密さだけ見れば、最近のBrawaの方が上なんでしょうが、模型としてはこういう感じの方が私は好きです。
あと残念ながら、塗装にややテカリが出てしまっています。
この塗装は恐らく展示会用の特殊塗装なのでしょうが、模型として見た場合は、なかなか魅力的ですね。
なお、こちらはmfxフルサウンド機ですが、モーターがDCMのため、ギアノイズやモーターノイズが高いのがサウンド機としては欠陥と思われます。
それにBR 96の実車は存在しませんし、サウンドは収録できないので、本機のサウンドは一般的な二気筒機のものが収録されています。
まあ、今となっては私にとってサウンドは不要ですね。
2024/12/27 記
2025/8/29 写真配置変更
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