ドイツ連邦鉄道 DB 気動車 BR VT 62 904 (TRIX 22 2468)
今回は、ドイツ連邦鉄道 DB の支線用気動車 BR VT 62 904を紹介します。
ドイツ連邦鉄道 VT 62 904は、ドイツ国鉄 DRG が開発した初期のロッド式の気動車です。
<BR VT 62 904 主要諸元>
型式:C4vT、バッファ間距離:21.04m、運転重量:46.3t、軸重:12.7t、軸配置:B´2´、動輪径:1,000mm、エンジン:マイバッハGO5h、変速機:T2a、出力:210PS、最高速度:80km/h、座席数:71
1926年から1928年までの間、ヴィズマー車両製造社で15輌が製造されました。
ところで今回使用した原典では、"Triebwagen"という単語が多用されております。
Triebwagenを機械翻訳すると「鉄道車両」となってしまいますが、本稿では気動車を用います。
ドイツ語ではDieseltriebewagenが気動車で、Electrotriebwagenが電車です。
Triebwagenを鉄道車両と訳すのは明らかにおかしいですし、上記より無理に訳せば駆動車とでもなるのかもしれませんが、いささか耳遠いので、今回の記事においては気動車を使います。
20世紀の初め、ドイツは間違いなく鉄道先進国でした。
電化鉄道もドイツが最初ですし、内燃機関を用いた鉄道車両もドイツが発祥だったように思います。
実際、当時の邦有鉄道は、第一次世界大戦前にすでにガソリンエンジンの気動車の試作製造を実施しておりました。
しかしながら戦争による燃料欠乏により、開発は頓挫しました。
これら邦有鉄道の気動車は僅かな例外を除き、1920年に発足したドイツ国鉄DRGへは継承されませんでした。
1920年に発足したDRGにおいても、早くも1920年代には気動車の試作が行われるようになり、これが1930年代半ばになりますと、世界にその名を轟かせた高速気動車フリーゲンターハンブルガーが登場します。
戦前期の内燃機関式の鉄道において、アメリカと並び、ドイツは世界をリードする存在でした。
それでこちらで紹介するVT 62 904ですが、元々は1927年に作られたDR 859となります。
面白いのは、戦前のドイツの気動車の番号であり、基本的に数字だけになっています。
本形式と略同型の機種はDR 853-861、866-871となります。
後に作られた形式は、数字の接頭語+連番となりました。例:137 000
10 が荷物専用、137 が本線用、133 と135 が小型、支線用と思われます。
しかし本形式など、それ以前の形式は改番されなかったようです。
また、137の中にも多数の形式がありますが、それらを区分する記号や数字はなく、全て連番です。
更に時期は不明ですが、いずれにおいても、接頭語としてVT の文字が追加されるようになりました。
なお、DBになってから型式数字(例:VT 11.5)が定められるようになりました。
このあたり間違っているかもしれません。
詳しい方、どうかよろしくお願いします。
それはともかく、DR 853-861、866-871の前の1924年に作られたDR 851が、この形式の始祖となりました。
バッファ間距離:19.36m、運転重量:36.85t、63席のディーゼルエンジン付き気動車です。
黎明期の気動車らしく、機械式で2軸ロッド駆動、反対側の台車は無駆動です。
本機はEVAマイバッハ式気動車と呼ばれるようです。
僅かに仕様の異なる852も作られ、試験されました。
851及び852の試験結果は良好であり、この結果を受け、DRGはヴィズマー車両製造社に対し、様々な地域の支線サービス用に15両の気動車を発注しました。
ヴィズマー・マイバッハ式気動車と呼ばれたこれらは、851/852に類似の形態であり、1926年から1928年にかけてDR 853 ~ 861およびDR 866 ~ 871が納車されました。
また類似構造の車両として、荷物専用気動車10 001~003が、1930年に納入されています。
本車の基本構造はDR 851-852に準じ、両運転台装備、片側台車の2軸をロッド駆動し、反対側の台車は駆動しません。
ただし前面の形状は丸みを帯びたものから、角ばったものに変更されています。
客室の構造は、当時の重鋼製急行客車に準じたものとなっており、頑丈なフレーム上に乗っています。
おりしも1928年5月に4等が廃止されたことから、ヴィズマー式気動車の室内レイアウトや座席配置は後の改造もあり、様々な形態を取ることになりました。
また座席数でのばらつきも生じています。
エンジンは、当初150馬力のマイバッハ G4a ディーゼル エンジンでしたが、後にG 4b に変更されています。
エンジンは床下ではなく、片側の運転室後方に装備されました。
面白いのは反対側の運転室にエンジンの聴音管が装備されていたことです。
エンジンの冷却は屋根上のラジエターで行いますが、冷却不足があったのか、個数や場所は変更されているようです。
変速機は機械式となっています。
その他製造や使用の過程でいくつかの改良が施されました。
ただし、改良はばらばらだったようですね
本シリーズは単機、あるいは付随車2両を牽引することができました。
ドイツ各地で使用されましたが、1939年の第二次世界大戦勃発による燃料確保の難しさから、運用は中止されています。
本車の一部は軍事目的で使用されましたが、1945年までに10両が廃車されています。
戦後、VT 856、857、871 の3両が DR に残り、VT 856 のみが 1960 年にビッターフェルト車両基地で引退しました。
そしてVT 859 1輌だけがDBに継承され、機械式ロッド駆動気動車のVT 65の中のVT 65 903となりました。
本機は後にGO 5hエンジンを搭載し、DR 137 000 ... 135 シリーズから駆動システムを受け取り、車両の最高速度を80km/hまで向上させることができました。
この改造により、VT 62 904に改番されましたが、1957 年にブラウンシュヴァイクで廃車されています。
残念ながらこのシリーズの保存車は存在しません。
なお、Wikipedia独語版には一切記載はありませんが、本機はベルギーでも使用されています。
1929年、本機のうちの1両がベルギーに送られ、テストを実施しました。
良好な結果が得られたので、ベルギー国鉄 SNCBは、EVA ヴィズマー社に対し、3両を発注し、さらなるテストを行うことにしました。
これらは1930年に完成しました。EVA 100~102
SNCBでは600型となっています。
600型のテスト結果は良好で、1933年以降、改良型の601型がLa Brugeoise et Nicaise et Delcuveにおいて14両製造されています。
以上、Wikipedia 独語版 DR 853 … 871、仏語版 Autorail 853 à 871 de la Deutsche Reichsbahn より、引用、参照いたしました。
また、本車について、下記のWeb記事を見つけました。
こちらには記載できませんでしたが、有益な情報がありましたので、興味のある方は参照してみてはいかがでしょうか?
・Die Triebwagen der Länderbahnen und Deutschen Reichsbahn
Die dieselmechanischen Serien-Triebwagen VT 853 - 861 und 866 - 871
Vierachsiger dieselmechanischer Triebwagen VT 856 (Epoche 3), 857 (Epoche 2)
・triebwagenarchiv Fahrzeugportrait Wismar 18207
・ESU VT 62 904 in H0
それで、こちらで紹介するモデルは、TRIXの1983年初回発売の模型です。
何しろDBには1台しか居なかった車だけに、これ以外ではLiliputの2013年の製品しかないようです。
なお、ESUから2015年に同じ車両が出ていますが、車体はLiliputかもしれません。持っていないし見たことがないので、詳しいことはわかりません。
TRIXのバリエーションとしては、赤とクリームのDRG仕様が出ている他、Märklinから交流3線式のDRG、ベルギー、スウェーデン仕様が出ていました。
スウェーデン仕様ですが、こちらに関してはほとんど情報がなく、Wikipedia 独語版 Baureihenschema der Schwedischen Staatsbahnen によると、X02 13がKockums für VBHJで1両作られ、1948年まで使われたとありました。
それで、TRIXとLiliputを比較すると、形状が大きく異なっています。
Liliputは持っておりませんが、Web写真によりますと、TRIXの屋根が全長に渡りダブルルーフとなっていますが、Liliputは一位側のエンジンルームの上だけがダブルルーフになっています。
なお、両社ともDRG仕様を出していますが、こちらはTRIXと同様の形状になっています。
今回調べた限りでは、VT 62 904の写真を発見することはできませんでしたので、どちらが正しいか判定しかねますが、ドイツのフォーラムではLiliputの方が形状が正しいとありました。
この両者では30年の差異がありますし、わざわざ形状を変えているくらいなので、Liliputの方が正しいのでしょうね。
上記のエンジン更新を行った際に、形状を変更したのでしょうか?
そういう意味で、今日的には形状違い製品ということになってしまうのだと思いますが、TRIX製品はいかにも同社らしいものとなっています。
具体的には四角くカチッとして、かつゴツい成型、美しい印刷、重厚な走りといったところです。
ゴツゴツしたリベットや窓やドアの感じが、当時の鋼製客車によく似ています。
手すりは一体成型ですが、それほどおかしくありません。
シャシー部はダイカストですので、質感が良いですね。
それでおわかりかと思いますが、こちらはジャンク品でした。
具体的には屋根上の部品に破損欠品があり、まだ塗装していないので、わかると思いますが、ベンチレーターの一部と煙突をプラ材で自作してあります。
運転室の後ろにエンジンが搭載されていました。
気動車では珍しく、床上配置だったようです。
整備性は良かったと思いますが、騒音は酷かったでしょうね。
半駆動側の台車です。
TRIXのバッファーは良いですね!
実は本車ですが、当方がこの道に入ったばかりの1987年、今は閉店した渋谷のアサヒホビーで買いました。
全て合わせて保有車両が、まだ160両くらいの時代です。
以前も記しましたように1980年代後半は、欧州型真冬の時代とも言え、日本での入手は難しく、かつ、グラスカステンなどのマイナー車両ばかりでした。
しかし、BR 103+ラインゴルトドームカーをやりたかった身に、この手の超マイナーな車両の価値はわかるはずもなく、1995年に手放してしまいました。
その後、コレクションが充実してくると、この手のマイナー車両にも興味が出てきて、再び入手したいと思いました。
とは言うものの、こんなマイナー車両は滅多に入手の機会はありません。
まさしく後悔先に立たずと言ったところ。
こちらを入手したのは、手放してから13年後の2008年のことになりました。
新解釈のLiliputも欲しいところですが、こちらは機会がありません。
2024/12/27 記
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