スイス連邦鉄道 SBB 勾配線区用超大型電気機関車 Ae 8/14 11801号機 (TRIX 22580)

 今回は、スイス連邦鉄道 SBB の超大型電気機関車 Ae 8/14 について紹介します。

 SBB Ae 8/14は、アルプスを越え、スイス~イタリアを連絡するシンプロントンネルへ向かうゴッタルト線用に開発された超大型の電気機関車です。

 本路線はスイスにとって戦略上の重要路線である一方、急勾配の連続する難所として知られています。

<SBB Ae 8/14 11801 主要諸元>

 バッファ間距離:34.0m、運転重量:244t、軸配置:(1A)A1A(A1)+(1A)A1A(A1)、連続定格出力:5,147kW、1時間定格:5,514kW、動輪径:1,610mm、最高速度:100km/h

 Ae 8/14誕生の経緯は、上記の通り、スイス鉄道の大動脈であり、かつ交通の要衝でもあるゴッタルト峠の輸送力の抜本的改善が必要とされたからです。

 このあたりの事情は、Wikipedia 日本語版 スイス国鉄Ae8/14形電気機関車 が非常によくまとまっておりますので、原文のまま引用させていただきます。

 以下引用です。

「ゴッタルド峠の下を通るゴッタルド鉄道トンネルを擁するスイス国鉄のアルプス越えルートの一つであるゴッタルドルートでは、1920年代にはロッド式のBe4/6形、クロコダイルと呼ばれるスコッチヨーク式のCe6/8II形および斜めロッドドライブ式のCe6/8III形、ブフリ式のAe4/7形Bauart II[1]が主力として使用されていた。

重量列車については重連で牽引していたが、これらの機関車のいずれも重連総括制御機能をもたず[2]、増解結の手間も含めて運用コストがかさみ、特に補機の増解結のための時間を取れない急行列車では勾配区間以外でも重連での牽引となっていた。

そのため、Ae4/7形クラスの4軸駆動の機体を2両永久連結とした機関車として計画されたのが本機であり、性能要件は26パーミルの勾配区間で600tの旅客列車を62km/hで、750tの貨物列車を50km/hで牽引でき、電気ブレーキを装備し、最高速度は100km/hというものであり、1931年にブフリ式の11801号機が電機品をBBC[3]、車体、機械部分、台車をSLM[4]が担当して製造され、1932年にはSLMユニバーサル式の11851号機が、1939年には同じくSLMユニバーサル式の11852号機がいずれも電機品をMFO[5]が、車体、機械部分、台車をSLMが担当して製造されており、各機毎に性能も異なるが、1時間定格出力5512-8159kW、牽引力336-392kN、最大牽引力490-588kNを発揮する強力機で、車軸配置を(1A)A1A(A1)+(1A)A1A(A1)として曲線通過性能にも配慮したスイス国鉄最強の電気機関車であった。

 以上引用終わり。

 なお、注釈は下記のとおりです。

[1] 万能機Ae4/7形のうち、ゴッタルド線用に回生ブレーキを装備した10973-11002号機

[2] Ae4/7形のうち1963年以降にBauart IからBauart IIIに改造された一部機体のみ重連総括制御機能を有している

[3] Brown, Boveri & Cie, Baden

[4] Schweizerische Lokomotiv- und Maschinenfablik, Winterthur

[5] Maschinenfabrik Oerlikon, Zürich 

 要は、従来使用されていた Ce 6/8クロコダイルは牽引能力は高いが低速、Ae 4/7は力不足で、いずれも重連総括制御が確立されていないため、各機関車へ乗務員を配置する必要があり、コスト高になっていたということでしょうか?

 こちらで紹介する Ae 8/14 11801号機は、この形式では一番最初に作られたもので、1931年に完成しました。

 外観的には、同時期の標準機関車 Ae 4/7を永久連結にしたもので、走行装置も Ae 3/6 I にて実績のあるブフリ式を採用しています。

 ただし、Ae 4/7からは電機部品が一新されて、能力向上につなげているようですね。

 比較対象として、1932年にSLMユニバーサル式駆動方式の11851号機も製作されました。

 両機共に完成後、ゴッタルト線に投入されました。

 また1939年、11851号機と類似したSLMユニバーサル式の11852号機が製作されています。

 11852号機は、軽量構造を採用した他、出力のさらなる増大が図られ、連続定格が7,644kWになっております。

 Ae 8/14は威力を発揮したようですが、流石に運転重量240t超の巨体で、かつ出力が強力であるがゆえの問題もあり、運用上は問題があったようです。

 そのため製造は3両にとどまり、それ以上追加生産されることはありませんでした。

 なお、戦時下で更に重要性が増した当線用には、Ae 8/14 11852号機を半分にしたような、Ae 4/6が1941-45年に12両作られ、重量列車用には重連運用されることになりました。

 しかし戦時下の製作のためか、Ae 4/6には種々問題があり、成功しなかったようです。

 ゴッタルト線の抜本的な解決策としては、1955年のAe 6/6の投入以降になります。 

 上記の事情があり、こちらのAe 8/14 11801は、1960年代には主力として使用されなくなりました。

 それでも、1975年まで定期運用されておりました。

 現在はSBBヒストリック・エルストフェルトで稼働中の歴史的牽引車両として保存されています。

 しかし、機器保護のため、出力は5,408kWに引き下げられているようです。

 Ae 8/14 11801は長年の使用により、小改造を実施しています。

 外見上目立つのはパンタの数ですが、時代により色々あることがわかりました。

 片側のパンタが2個、もう片方が1個のTRIX 22580は、現在の状態に似ているように感じます。

 以上、Wikipedia 日本語版 スイス国鉄Ae8/14形電気機関車 、独語版 SBB Ae 8/14 より引用、参照しました。

 それで模型の方ですが、Ae 8/14 11801は、人気の高いスイス機だけに結構前から模型化されておりました。

 ただし、Fulgurex(天賞堂等)やMetropolitanなどの高級ブラス製品であり、私のようなものには全く縁遠い存在でもありました。

 なお、詳しいことはわかりませんが、これらブラス製品も何種類かあるように思います。

 そんな中、こちらのTRIX製品が発売されました。

 確か1997年のスイス連邦鉄道150周年記念商品ではなかったでしょうか?

 このあたり、Modellbau-wiki SBB-Reihe Ae 8/14 の記載は相変わらずプアーであり、TRIX 22580については、1999年以前としか書いていません。

 当方がこちらを購入したのは、1997年12月18日ですので、間違いないと思います。

 欧州からの個人輸入であり、今から約30年前の当時としても、約48,000円と破格の値段でした。

 Ae 8/14 11801は、同時にMärklinからも発売されましたが、当時所属していたクラブの大先輩の方の話では、TRIXの製品ではないかとのことでしたね。

 ただし、モーターはMärklinの定評あるDCMです。

 オールダイカスト製で、重量が非常に大きいので、取り扱いには十分な注意が必要です。

 現に、今は閉店したEGSの店員が、箱にいれる際にミスって、手すりを壊してしまったことがあったくらいですから。

 それはともかく重量感満点なので、Ae 8/14 11801に関しては、質感ある塗装も相まってダイカストボディの効果は絶大だと思います。

 90年代製品にはまだプラのスポークがありましたが、こちらは伝統のダイカストです。

 すごくシャープですね。

 メーカーズや車番もとてもきれいです。

 屋上配線も金属製で実感と強度を兼ね備えています。

 ところでこいつはプリント配線で永久連結にしています。

 DCC対応なんでしょうが、箱の問題もあり、分割できない構造について、私は大いに不満です。

 ブフリ駆動側。

 灰色の部品はプラ製だと思いました。

 TRIX のAe 8/14 11801でがっかりしたのが、車体裾の空気取り入れ口です。

 サンプルモデルでは開口しており、メッシュが貼ってありましたが、実際の製品はディテールでさえなく、塗装で再現されています。

 これには正直、がっかりしました。

 やはり空気取り入れ口は目立ちますね。

 外観的にはAe 4/7を2両永久連結にした形です。

 ブフリ装置もよく似ていますね。

 貫通路には幌もついています。

 二車体で同じ形状をしておりますが、屋上の形状は異なっています。

 灰色の部分の黒い部分も本来はフィルターになっています。

 これにもがっかりです。

 こちら側は割とあっさりしていますね。

 Ae 3/6 I、Ae 4/7と良く似た形状の前面です。

 端梁もあっさりめです。

 ダミー側にはエアホースをつけたいです。

 走りの方ですが、各車体に定評のあるDCMモーターを装備しておりますので、騒音は相当高めです。

 牽引力は十分、重量車体で轟音とともに快調に走ると言った感じですね。

 ただし揺れるのが残念です。

 さて、上記の通り、本製品の大きな問題は箱です。

 この製品の箱は当時のメルクリンのスタンダードである紙箱+灰色のブリスターです。

 このブリスターですが、固い上に衝撃吸収力が低くて、当たり面に傷がつきやすいです。

 でも、最大の問題はこれだけの重量には無理があること。

 更に致命的なのは、経年で材質が劣化してしまい、バラバラに砕けてしまいます。

 これだけの高額商品を収納するのには、全く不向きであり、もはや最低の箱と言わざるを得ません。

 そしてこの車こそ、安全に収納しようとしたら、IMONの箱以外にはあり得ません。

 こんな重量のある車、なおかつ構造上分離できないものを寝かせて入れるなど、言語道断です。

 現にEGSの店員でさえ、取り扱いをミスったくらいですから。

 輸送用の箱としても、現在の縦置きブリスター形式でないと絶対に無理ですね。

 それにしてもいつも思うのですが、どうしてこういう大型機を分離できる構造にしないのでしょうね。

 ブラス製品はほぼ分離できますが、ROCOも含め、プラ製品は分離できないものばかり。

 箱も長くて置き場所にも困るし、扱いにくくて仕方ありません。


 ということで、印刷のエアフィルタ、そしてどうしようもない箱からして、残念ながら模型として満点には遠いですが、それでもブラスしかありえなかった魅力的な巨人機を量産製品で出してくれたことには感謝しかありません。

 私にとって、TRIX のAe 8/14 11801は2台目ですが、大切にしようと思います。

 そう言えば、少し前まで、ROCOのAe 8/14 11852と並び、不人気車種の代表でしたが、昨今は見かけなくなりました。

 TRIXのAe 8/14には、種々バリエーションもあるようなので、見てみたい気もします。

2025/7/27 記

 

 

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