ベルン・レッチェベルク・シンプロン鉄道(BLS) 山岳用電気機関車 Ae 6/8 208号機 (ROCO 43810)
今回はスイスの大手私鉄 ベルン・レッチェベルク・シンプロン鉄道 BLS の電気機関車 Ae 6/8を紹介します。
BLS Ae 6/8は、スイスーイタリアを縦貫するシンプロントンネルへ首都ベルンから向かうレッチェベルクルートの勾配線区用に作られた強力な電気機関車です。
<BLS Ae 6/8 主要諸元(最終時)>
全長:20,260mm、自重:140t、軸配置:(1'Co)(Co1')、動輪径:1,350mm、動輪周上出力:4,410kW(1時間定格) 最高速度:100km/h
BLS鉄道レッチェベルク山岳線は、スイスの首都ベルンから、シンプロントンネルのスイス側入口であるブリークへ行くための路線として1913年に開業しました。
この路線は、レッチェベルクトンネルを含む急峻な峠越えをする必要があり、強力な機関車が必要とされてきました。

1920年代の半ば、同線の交通量は増大し、列車の重量化、高速化が求められておりましたが、当時使用されていた連結ロッド式のAe 5/7型では能力が不足しており、より強力な電気機関車が求められておりました。
そこで、27パーミル勾配において、550tの列車を50km/hで牽引できる機関車が計画されました。
この要求を受け、軸配置(1'Co)(Co1')、低圧タップ切換制御、ウエスティングハウス式クイル駆動との組み合わせによる当時世界最強の機関車として、まず1926年と1931年に電機部分、主電動機、駆動装置の製造をスイスのSAAS社、車体、機械部分、台車の製造をイタリアのブレダ社が担当して、最高速度75km/h、1時間定格出力3,300kWのBe 6/8として201-204号機の4両が製造されました。
これらの機関車は角形の車体を備えています。
欧州ではあまり例のない1CC1の軸配置といい、角形の車体と言い、イタリア機らしい外観です。
その後、1939-43年に車体、機械部分、台車の製造の担当をイタリアのブレダからスイスのSLMに変更して、最高速度90km/h、1時間定格出力3,880kWのAe 6/8として205-208号機の計4両が追加製造されました。
この追加生産型は、201-204の角形車体とは異なり、写真のような断面が曲線の運転台となっています。
こちらのROCO製品は、Ae 6/8の最終号機となるわけですね。
201-204号機については、1939、40年に減速比を追加生産型の205-208号機と同じに変更して最高速度を90km/hとするとともに、同一性能となるよう電動機の出力増強を行って形式もAe 6/8 201-204号機となりました。
27パーミルでの牽引トン数は600tのままでしたが、牽引速度が62km/hに向上しました。
また、1955-56年にそれまでの角形車体から、205-208と同様の前頭部に改造されています。
こうしてAe 6/8 201-208となりましたが、その後も抵抗器の改良やさらなる出力、速度の向上が図られました。
最終的には、出力:4,410kW(1時間定格)、最高速度:100km/h となっています。
本機は長命で、1995年までの長きに渡り、客貨両用に大活躍しました。
現在でも、8両中3両が残り、中でも205号機は、車体側面に"Bern Lötschberg Simplon"標記のある旧塗装に戻され、歴史的機関車としてBLS AGにより動態保存されています。
以上、Wikipedia 日本語版 ベルン-レッチュベルク-シンプロン鉄道Ae6/8形電気機関車より、引用、参照いたしました。
それで模型の方ですが、BLS機はヨーロッパの私鉄機としては模型に恵まれる存在であり、日本製の高級ブラス製品を中心に、各メーカーから製品が供給されてきました。
今回紹介するAe 6/8も有名機であり、古くはFulgulexのブラス製品で知られておりましたが、1995年、突如としてROCOが製品化しました。
この形式では初めてのプラ製量産品となります。
当時、ROCOの製品の精度が上がっていたときですので、出来の方は良いと思います。
抵抗器カバーの一体成型はすごいですね!
台車は案外のっぺりとしています。
独特の運転台形状ですね。
ワイパーの別体化もこの頃からですが、効果はありますね。
メーカーズプレートは美しいです。
屋上配線はプラ製なので、経年により色が脱色してきています。
本機のような旧型機は黒染めが必須ですね。
表記からは1982年頃の仕様であることがわかります。
表記類は少なめですね。
この世界の大先輩によりますと、曲線通過のため、デッキと手摺が大分大き目になっているとのことですが、これは仕方ないでしょう。
前照灯はよく再現したと思います。
残念ながら、私はハズレを引くことが多いのですが、本機もどちらかと言えばハズレで、パンタが外れやすく、またスノープラウの基部が折れていました。
また経年で208の文字の一部が剥がれてしまいました。
パンタが繊細ですが、上記の通り、オリジナルが外れやすかったので、手持ちのメトロに交換したからです。
走りの方は今の目で見ると普通ですが、当時はなかなかレベルの高いものだったと思います。
この製品は都内の某有名店から通販で買いましたが、上記のように問題がありました。
けど交換するのも大変で、そのままになってしまいました。
と言うよりも、昔の模型店はクレームなんかつけられるようなものじゃなかったですよ。
この店はかなりいい方でしたが、それでも客がこのようなことを言い出しにくい雰囲気は十二分にありましたから。
それに代品がない場合がほとんどでしたから、買った側が諦めるしかなく、結局は泣き寝入りすることが多かったですね。
なお余談ですが、あくまで私個人の経験に過ぎませんが、この手の話を一番しやすいのは、天賞堂さんですね。
スノープラウは、単なる飾りではなくカプラーの基部になっているので、折れた状態では都合が悪いので、ドリルで穴を開け、中に真鍮線を入れて接続しました。
それでも不安が残るので、後に部品を入手して交換しました。
10年くらい前は、ROCOの部品は天賞堂さんで取り寄せてもらえましたので。
はっきり言って値段は相当安かったです。
しかし天賞堂さんがROCOの代理店をやめてしまった上、ROCOも大昔は欠品等には対応してくれましたが、現在は販売店経由でないと対応しないとのことです。
中古が極端に増えているので、仕方ないでしょうけど、部品も高いし、それよりも送料がものすごく高いので、本当に困るところです。
寿命や強度には大いに問題がありますが、3Dプリンタに頼るしかなさそうですね。
<実車動画>
2025/7/23 記
↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。
↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。
是非ご覧になってください。