フランス国鉄 SNCF 直流急行旅客用電気機関車 2D2 5500形 5507号機 (France Train 54)
今回はフランス国鉄 SNCFの旅客用電気機関車 2D2 5507を紹介します。
2D2 5500は、もともとパリ・オルレアン鉄道 POが開発したブフリ駆動式旅客用電気機関車です。
<SNCF 2D2 5500 主要諸元>
軌間:1,435mm、電化方式:DC 1.5kV、架空線式、バッファ間距離:17.78mm、重量:130t、両側ブフリ駆動方式、連続定格出力:2,878kW、電動機:4基、動輪径:1,750mm、最高速度:130km/h、後に140km/h
1926年に試作車2輌、1933-43年に量産車48輌が製造されました。
フランスの鉄道は6大鉄道会社により発展しましたが、1930年代に早くもモータリゼーションの発展によりそれぞれの経営が悪化、1938年に5社が統合され、国有鉄道 SNCFとなりました。
こちらの2D2 5500は、統合される前のパリ・オルレアン鉄道(PO, Chemin de Fer de Paris à Orléans)が開発した旅客用電気機関車です。
POはパリ南西部に長大な路線を有していましたが、第一次世界大戦の石炭不足の経験から、電化を推進することなり、早くも1926年にはパリ~ヴィエルゾンの電化が完成しました。
貨物列車と旅客列車用の4軸機関車200両に加え、急行用機関車も必要でしたが、POは高速電気機関車の経験に乏しかったため、1923年に3つの異なるメーカーに試作機関車を発注しました。
これらのうち、アメリカ製およびハンガリー製機関車は失敗で、スイス製のE501とE502だけが120km/hで急行列車を確実に牽引することができ、この速度域での蒸気機関車の代替となりました。
機関車はPOの期待を上回り、ヴィエルゾン-パリ間を2時間以内に走行し、長時間にわたって125 km/hの速度を維持することができました。
試験走行では、E502は最高速度150 km/hに数回達しています。
良好な結果を受け、この機関車は量産されることになりました。
量産機はE503~E537と番号が付けられましたが、国有化に伴い、試作車 E501、E502も含め、SNCF 2D2 5500型に分類されました。
SNCF化以降も生産は継続され、試作車2両を含めた合計50両が製造されました。
上記の通り、本機はスイス製が原型機です。
試作機の車体や機械部品はSLM、電気部品はBBCで作られました。
時代的にSBB Ae 3/6 Iと同様の構造でしたが、ブフリ駆動は両側となっているところが異なります。
量産機は国産され、ブラウン・ボベリ特許の下、Fives-Lille、CEMで製造されました。
この機関車は、生産時期で外観形状が全く異なります。
種別 車番 両数 生産時期 あだ名
試作機 5501~2 2両 1926年 おばあさん
量産機 5503~5537 35両 1933年5月~1934年6月 豚の鼻
量産機 5538~5545 8両 1937年12月~1938年7月 妊婦
量産機 5546~5550 5両 1942年4月~1943年10月 ウォーターマン
なお最後の量産型のウォーターマンというのは、フランスの有名なインクで、インク瓶の形が前頭部を前から見た形によく似ていたので、名付けられたようです。
同型機でスタイルが全く異なるのは、イタリア国鉄のE428と同じですね。
奇しくもE428は軸配置が同じです。
こちらの5507号機は、量産型では一番数の多い豚の鼻ですね。
形状はまるで別機ですが、性能的には変わりません。
ただし、最終シリーズのウォーターマンは車軸にローラーボックスを使用することで、最高速度が140km/hへ向上しています。
この改良は他シリーズにも行われているかもしれません。
2D2 5500は、フランス南西部で急行を牽いて活躍しましたが、重量が大きいことなどから、1980年に引退しています。
現在、5516と5525の2両が保存されているようです。
以上、Wikipedia 2D2 5500 フランス語版、英語版、PO E 503–537 独語版、PO E 501 und 502 独語版 等を参照、引用しました。
それで模型の方ですが、Modelbau-Wiki には記載が少なく、Wikipediaの方が情報がありました。
これによりますと、HOの完成模型では以下となるようです。(一部Jouef model Railways HO Scaleの記載を加筆)
2D2 5503 ~ 5537: Jouef (1970)、France-Trains (1974)、Fulgurex (1970)、 Jouef 新(2009)
2D2 5538 ~ 5545: RMA(1972)、Jouef (2010)
2D2 5546 ~ 5550: RMA(1972)、Jouef(2014、2015)
Jouef model Railways HO Scaleの記載はすごく詳細で、驚かされました。
2D2 5500は好きな機関車で、Jouef製品もいくつか持っておりますので、大変助かりました。
こちらは1974年のFrance-Trains製品になります。
流石に今見ると古さを感じますが、今から51年!も前ですから、当時としては相当レベルの高い製品だったことがわかりますね。
パンタが非常に良い感じですが、オリジナルではありません。
何でも機関車くらい高かったのだとか。
両側ブフリ式はスイスの機関車とは違いますね。
ブフリ装置の銅配管がいい感じです。
ブレーキシューも別体です。
先輪の軸端がピボットになっているのは御愛嬌かも。
ボンネット上の手すりも金属線です。
運転台脇の金属手すりは良いと思います。
それにしてもほんと良いパンタですよね。
窓枠の赤も当時としてはきれいですね。
ライトは直接点灯です。
古いJouefの客車を牽かせてみました。
それにしても、実にかっこいい機関車ですね。
大昔のフランス製品だけに、走行はあまり良くありません。
昔の天賞堂のMH-7みたいな片側モーターで、動輪のうち3軸を駆動します。
先輩の伺ったところではモーターが改良されている製品だそうです。
時代ですので、リン青銅線で集電します。
France-Trainsですが、当方がこの世界に足を踏み入れたときには、既に活動しておりませんでした。
従って本車はこの世界の大先輩からお譲りいただいたものです。
破損品でしたので、自分で修理しました。
その際、ゴムタイヤを交換したのですが、オリジナルに比べ、ゴムの厚みが厚いため、集電が悪くなってしまったようです。
これに気づいた後は、よくなりました。
ちなみにこの問題は、ROCO製品で多数発生しています。
昔のROCO製品のゴムタイヤは、ほぼ経年劣化でだめになりますが、現状入手できる交換用ゴムタイヤは昔のものに比して厚みが大きいのです。
実際、E 32やÖBB Rh 1020では、僅かな厚みで他の動輪が浮いて集電不良に陥る例がありました。
とは言っても、昔のはゴムタイヤは劣化していて使えませんし。
なお、2D2 5507ですが、経年劣化で平ギアが割れてしまいました。
なんとか代替品を入手できましたので、現在でも走行可能です。
その後、新しい方のJouefを入手しましたが、お気に入りの機種で、ともかく珍しい製品ですし、また修理の繰り返しで思い出の車両ですので、取っておこうと思っています。
2025/7/23 記
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