ドイツ国鉄 DRG 貨物用タンク式蒸気機関車 BR 89.3-4 343号機 (BRAWA 0600)
今回は、ドイツ国鉄DRGの支線貨物用タンク式蒸気機関車 BR 89.3-4を紹介します。
ドイツ国鉄BR 89.3-4は、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道が開発した支線運転、入換用の小型C軸タンク機関車 T 3です。
<BR 89.3-4 主要諸元>
型式:C2n、バッファ間距離:8.505m、運転重量:35.7t、軸重:12t、軸配置:C、動輪径:1,045mm、飽和式二気筒、出力:?kW、ボイラー圧力:12bar、最高速度:45km/h
1891年から1923年までの間、クラウス、エスリンゲン社などで、各型合計110輌以上が製造されました。
BR 89.3-4は、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道 K. W. St. E. が、支線運転や入換用に開発した軸配置C、飽和式の小型タンク式蒸気機関車T 3です。
同鉄道では入換、小運転用に旧型機を更新して使用してきましたが、流石に不都合が多数あったため、新造の機関車が計画されました。
T 3は同じコンセプトのプロイセン王国邦有鉄道のT 3に類似していますが、火室が異なります。
この部分、機械翻訳では「火室は背中に吊り下げられて」とありますが、不思議な訳ですね。
ちなみにhing die Feuerbuchse hinten uber とあります。
辞書で引くとhinten uberはひっくり返すの意味があるようですが、さっぱりわかりません。
また、プロイセンのT 3の弁装置はアラン式ですが、こちらはドイツ型では一般的なホイジンガー式(ワルシャート式)になっており、ハンドレバーを用いて逆転していました。
ヴュルテンベルクのT 3にはいくつかの種類があります。
最初に作られたのはKrauss社製の機種で、外見上サイドタンクが短いことで見分けられます。
1891年に8台がKraussで、それ以降、9台が追加されました。
これらのうち何両かは、のちの生産型と同様の長いサイドタンクに交換されました。
2番目に作られたのは、狭軌線から標準機に改軌されたシルタッハからシュランベルクまでの路線用の機関車です。
同線は急カーブのため、C型機では運用が困難とされたため、T3の後ろの一軸を従輪としたタイプが充当されました。
そのため、2両を迅速に投入できました。
また本機の従輪は動輪と同様のものが使用されたため、1896年には通常のC型機に改造されています。
T3 B1は短いサイドタンクでしたが、のちに長いものと交換されています。
Krauss製の短いサイドタンク機は保有水量が少なく、頻繁に給水を必要としたため、支線区の運用において問題がありました。
そこで、サイドタンクを煙室まで延長し、2.2tまで水量の増加を図ったタイプが1897年にMGH(マシーネンバウ・ゲゼルシャフト ハイルブロン)により納入されました。
この形式は成功をおさめ、1913年までに各所で100両以上が製造されました。
中には産業用に作られた機種もあり、一番後に作られた機種は1923年に工場機関車として配備されています。
ヴュルテンベルクT 3は、第一次世界大戦後、戦時賠償になることもなく、110両がDRGへ継承され、DRG BR 89 30-410となりました。
ただし、1945年までにほぼ全てが廃車となるか、または産業用に売却されています。
現在でも5両が保存されており、動態保存機もあります。
初期のサイドタンクの短いタイプ(89 312)や最後に製造され、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道やDRGには所属したことにない機種も89 412というナンバーを付けて残っているようですね。
以上、Wikipedia 独語版 Württembergische T 3 より引用、参照いたしました。
Wikiの記事は玉石混交で、簡素なものから細部まで記されているものがありますが、ヴュルテンベルク T 3は全機のリストまでついていました。
それで模型の方ですが、マイナー機だけに量産品はMarklinとBrawaだけのようです。
Märklinは、同社の入門用機関車 KLVMの派生商品のようですが、私は見たことがありません。
KLVMは大量に生産されているようですが、ヴュルテンベルク T 3仕様は、他と比べると少ないようです。
こちらで紹介するBRAWAのヴュルテンベルク T 3は、1999年の初回発売製品ですね。
当方のDRG BR 89 343号機が最初の製品になります。
これ以外にも、邦有鉄道仕様など数多くの仕様が存在するのが、同社製品らしいですね。
BRAWA製品なので、ダイカストボディを採用しています。
小型機ですが、質感がありますね。
さすがに2000年代製品なので、写真の通り、細部までよくできています。
まだ石油ランプ時代です。
ドームの印刷は欧州製品に時々見られますが、ちょうどいい感じですね。
シリンダ前の配管など、とても細かいです。
ロッドは銀色ですが、金属製ですのでシャープです。
動輪もスポークがやや太いながら、ダイカストで質感もいいですし、シャープです。
レタリングもきれいです。
あとシャーシもダイカストですが、ディテールは細かいですね。
バッファの側面は素晴らしい!
バッファ自体もとても繊細です。金属製ならではですね。
サイドタンクが長いのでプロイセン T 3とは印象が全く違いますね。
ハンドレールが金属なのはシャープで良いですね。
キャブはプラですが、ボディがつや消しなので、質感の差は大きくありません。
キャブの形状は制式機とは違います。
透明パーツもシャープですね。
石油ランプもレンズが別パーツで、ぴったりハマっています。
走行性能は一般的で、低速が効きます。ただし静かではありませんね。
ところでBRAWAの欠点は、ブリスター式の箱です。
ブリスターは硬いので、当たり面に傷が付いてしまうことがありますが、こちらも案の定、屋根の上に当たった跡があります。
当たり面はテープが貼られていますが、あまり役には立っていませんでした。
BRAWAは高いですし、中古もあまり出ないのですが、入手できてラッキーでした。
2024/12/13 記
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