ドイツ国鉄 DRG 旅客用蒸気機関車 BR 38.4 403号機 (TRIX 22409)

 今回は、ドイツ国鉄 DRG の旅客用蒸気機関車BR 38 402を紹介します。

  DRG BR 38.4は、バイエルン P 3/5 Hです。

<DRG BR 38.4 主要諸元>

 型式:2’C h4v、バッファ間距離:19.44m、運転重量:72.1t、軸重:15.7t、軸配置:2C、動輪径:1,640mm、過熱式四気筒、出力:880kW、ボイラー圧力:15bar、最高速度:90/100、50km/h(前後進) 

 ですが、バイエルン王国が製作した機関車ではありません。

 1920年に発足したドイツ国鉄 DRGは、調達に時間がかかる制式機関車を待たずに実績のある邦有鉄道タイプの機関車を調達することにしました。

 これは、第一次世界大戦により大量の機関車を失っただけでなく、ベルサイユ条約で多くの車両が他国に引き渡されてしまい、車両不足に陥ったためと考えられます。

 実際の例として、プロイセンP 8 (BR 38.10-40)、P 10(BR 39.0-2)、G 8.1 (BR 55.22-56)、G 10 (BR 57.10-27)、T 16 (BR 78)、バイエルンS 3/6 (BR 18.4-5)、G 5/5 (BR 57.5)等が挙げられます。

 他稿でも書きましたが、バイエルンは独立性が高く、その傾向が強かったようです。

 いずれにしても、緊急に必要とされていた旅客用テンダ式機関車として作られたのが、P 3/5 Hです。

 本機の調達は急がれておりましたので、1905年以来、バイエルン王国邦有鉄道で運用されていた四気筒式 飽和式旅客用蒸気機関車 P 3/5 Nの優れた経験を基礎に一部を改設計する形で調達されました。

 設計はMaffeiで、時代的に飽和式から過熱式に変更になりました。

 走行装置はほぼそのまま採用されています。

 またボイラー径はわずかに大きく、シリンダ径が20mm拡大されています。

 これ以外にもキャブが大きくなっています。

 P 3/5 Hは、Maffeiにより、1921年に40台ずつ2シリーズが納入されました。

 納入時にはBR 38.4ではなく、バイエルンの番号3837-3916が付番されました。

 DRGでは軸配置、用途からBR 38に区分され、BR 38.4 401-480となりました。

 BR 38と言いますと、ドイツで最も大量に生産されたBR 38.10-40を思い浮かべますが、BR38の定義は軸配置2Cの旅客用テンダ式蒸気機関車です。

 同じ2Cの旅客機としてはBR 17もありますが、こちらは急行用としての位置づけと思われます。

 それでBR 38ですが、以下からなります。

BR 38.0:バイエルン P 3/5 N DRGへ13

BR 38.2–3:ザクセン XII H2 124

BR 38.4:バイエルン P 3/5 H 80

BR 38.5: JDŽ 109 3?

BR 38.10–40:プロイセン P 8 3,556

BR 38.41: BBÖ 209、JDŽ 03 17+13

BR 38.42–44: ČSD BR 354.4 4+19

BR 38.45–46: PKP BR OK22 30

BR 38.70:バーデン IV e 35

 数量的にはP 8が圧倒的で他は破片クラスと言われても仕方ないですね。

 P 8以外で戦後まで生き残ったのは、ザクセン XII H2とP 3/5Hだけのようです。

 BR 38.4は最高速度90km/hまでしか認可されていませんでした。

 バイエルン地方のBw(Bahnbetriebswek)へ配属され、当初、特急列車に使用されていました。

 特筆すべき運用はミュンヘン-ザルツブルク間のオリエント急行を牽引したことです。

 幸いなことにBR 38.4は第二次世界大戦で廃車になった車はなく、80両全てが戦後まで残存しました。

 しかし、戦災で重大な損害を受けた車両は使用されなくなりました。

 1950年、38 416、418、421、431、436、452、458、459、465が引退し、これ以外に休車になっていた43両も廃止されています。

 残りは引き続き、南部ドイツで運用されましたが、1955年に最後まで残った38 432と439が引退しました。

 これによりバイエルン設計の最後の旅客用機関車の時代が終わりを告げています。

 なお、残念ですが、BR 38.4の保存機は存在しません。 

 残念ながら、Wikipedia 独語版 Bayerische P 3/5 Hには記載が少なかったので、Dampflok-Report Band No. 2(Hermann Merker Verlag GmbH)より、引用、参照いたしました。 

 それで模型の方ですが、マイナーな機種だけに長らくTRIXの独壇場でした。

  1981年初回発売のこちらの製品は、いかにもTRIXらしい繊細でカチッとした製品です。

 この当時の同社製品は、Expressの影響があるのか、車輪が分厚いものが多いです。

 ところがこちらは大変シャープでおまけにローフランジになっています。

 それもそのはず、こちらはMP車輪に交換してありました。

 最近見なくなりましたが、MP車輪とは走行第一の欧州型蒸機の車輪がどうしてもごつくなるので、発売されていた交換用の車輪です。

 恐らくロストワックス製と思います。

 私は買ったことはありませんが、高価な製品であり、確か機関車くらいしたように記憶しています。

 ただし、最近の製品はグレードが上がっているので、高額なMP車輪を使うこともなくなったように思います。

 あと当時から不思議だったのは、ロッドはオリジナルを使用することです。

 と言うのも、確かPikoのBR 38.2はプラ製のあまりシャープではないロッドだったんです。

 これでは高価な車輪に交換しても、効果は半減してしまいますよね。

   弁装置やロッドの色は、当時の製品ですから仕方ないですね。

 レタはきれいです。

 ただしDRG時代の車番文字は、真鍮だったような気がします。

 白文字はBR 52などのKriegslokomotiveだけじゃないでしょうか?

 バイエルンのキャブですね

 ランボードに1937年10月9日なんて記載がありますね。

 この時代はReichsadlerだったような気もしますが、そうでない機種もあったのでしょうか?

 こちらのBR 38 402は、1983年から1988年まで作られたそうです。

 そうなりますと、最低36年前の製品ということになります。

 欧州プラ製品は、本当にレベルが高かったんですね。

 ランボードのレタは1980年代としてはすごいと思います。

 テンダーはbay 2’2’ T 21.8で、21.8 m3 の水と 8 トンの石炭の容量を備えており、機関車は長距離を走行することができました。

 同じMaffeiの S 3/6やバーデン4fに似てるように思います。

 複式四気筒のBR 38.4は、石炭の消費量において経済的であると考えられていたそうです。 

  いつも通り中古入手ですが、緑のGruppe Bayern仕様は時々見掛けるものの、DRG仕様はまず見ることはないので、入手できてラッキーでした。

 なお、BR 38.4は2012年、BRAWAからスーパーモデルが出たようですね。

 残念ながら、私は見たことがありません。


 2024/11/28 記


 

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