ドイツ国鉄 DR 急行旅客用蒸気機関車 BR 12 006 (Liliput 106 02)
今回は、ドイツ国鉄 DR の急行用蒸気機関車 BR 12を紹介いたします。
DR BR 12は、オーストリア連邦鉄道BBÖ が開発、製造した急行用蒸気機関車Rh 214です。
<Rh 214 主要諸元>
型式:1'D2'h2、バッファ間距離:22.580m、運転重量:118/123.5t、軸配置:1D2、軸重:18.0t、出力:2,162kW、ボイラー圧力:15気圧、動輪径:1.94m、最高速度:110/120km/h
1928年から1936年の間、BBÖにより、合計14輌が製造されました。
車番:BBÖ 114.01及び214.01-13
1927年、オーストリア連邦鉄道は、電化の一時停止を決定し、これにより、西部鉄道のウィーン・ザルツブルク間を電気機関車と同様な所要時間で達成できるような強力な蒸気機関車を必要としました。
これを受け、2輌の試作機114.01(三気筒、1929年)と214.01(二気筒、1928年)が製造され、比較検討されました。
その結果、二気筒が有利とみなされ、Rh 214の生産が決定しました。
Rh 214はオーストリアで製造された中で最大の蒸気機関車であり、当時ヨーロッパに存在していた最長の連接棒を備えた最も強力な急行機関車でした。
試験走行中、155km/hに達しています。
本機は1931年にフロリスドルフ機関車工場で6両、そして1936年に改良を加えた6両が追加生産されました。
この両者では形態に明確な差異があります。
すなわち、一次生産型はドームが独立しておりますが、二次生産型はドームがキャブまで延長されています。
また煙突の周囲に小型のデフを装備したものと、こちらで紹介する一般的なワグナーデフを装備したものがありますね。
このデフは後に大型のものに変更されたそうです。
当初、西部鉄道のウィーンとサルツブルク、あるいはパッサウ間の急行列車運用に使用されましたが、それからわずか数年後の1938年、アンシュルスにより、Rh 214はドイツ国鉄 DRに継承されることになり、Baureihe 12となりました。
DRには、軸配置1D2 (バークシャー) の急行用蒸気機関車が存在しないので、新しい型式となったと思われます。
運用範囲も拡大し、南部ドイツのレーゲンスブルクまで進出するようになりました。
本機は戦後、オーストリア連邦鉄道ÖBBへ継承されましたが、型式名は12のままでした。
Rh 12は、西部鉄道の電化により、活躍の場を奪われてしまいました。
一部は南鉄道のウィーンとフィルラッハ間で使用されましたが、急勾配と急曲線のため、摩耗が著しいこともあり、1956年に運用は終了しました。
その後、外国への輸出も試みられましたが、時あたかも動力近代化の波が押し寄せており、蒸気機関車の需要はなく、結果として、1962年に廃車となりました。
現在、ウィーン技術博物館にて、12.10号機がきれいに修復されて静態展示されています。
なお、本形式はルーマニア国鉄CFRにおいて、142型として使用され、ライセンス生産されました。
こちらはさらに改良を加えて79台もが製造されています。
CRF 142は、本家の5倍以上生産されましたが、Wikipediaにはほとんど記載がなく、大変残念ながら戦時中を含め、その活躍は全く分かりませんでした。
引退後の1985年、オーストリア鉄道史協会の働きかけで、このうちの1輌142.063がオーストリアへ行き、修復と一般検査を経て、1993年に架空の車番12.14をつけて動態復帰しました。
本機の活躍はRF誌にも取り上げられておりましたが、その後ボイラー期限を迎え、現在は部分的に分解された状態で保存されているようです。
これ以外にも、ルーマニア製の機関車が、3輌保存されているとの記載がありました。
以上、Wikipedia 独語版 BBÖ 214より引用、参照しました。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wikiによりますと、欧州機としてはマイナーなオーストリア機のためか、量産模型はこちらのLiliput が唯一の存在です。
初回発売はなんと今から46年前の1978年!!だそうです。
とてもそんな大昔の製品には見えないところが、当時のLiliputの技術の高さを表していますね。
その後数度にわたって、各種のバリエーションが追加されました。
オーストリア・Liliputの倒産により、一度は姿を消しましたが、Bachmannになってからも生産されたようです。
ただし、バックマン時代は2006年までの生産であり、また回数も少ないようで、どちらかと言うと珍しいのではないでしょうか?
オーストリア時代のLiliputは、その部品点数の多さ、細密さ、そしていまいちな走行性能でしたが、本機も類には漏れないようです。
ご覧のように現在でも通用するような繊細な出来ですね。
プラ製の部品は材質により、光沢が違ってしまっていますが、シャープです。
一方、ひけてしまっているのもありますね。
時代的に動輪や先従輪は黒染めにはなっていませんが、ダイカストの動輪は今見てもかっこいいです。
006号機は一次形ですので、サンドドームが独立しています。
こちらはライヒスアドラーを掲示したDR時代です。
動輪が赤く塗られているのが、オーストリア機らしくありませんね。
先般入手種した資料に、ドイツでBR 01と性能比較したら、Rh 214は全く歯が立たなかったという記載がありました。
同書には理由はわからないとありました。
オーストリア機はドイツ機とは全く違う形状なのが、面白いですね。
カチッとしたモールドには好感を持てます。
Rh 310もそうですが、内側台枠の従台車は独特ですね。
Liliputのダイカストの質は総じて良いとは言えず、中にはシーズンクラックを起こすものもあります。
そういう意味では、そろそろ50年に達しようというこのモデルも心配ですね。
テンダーは同社特有の台車まで含んだダイカスト一体成型です。
これは驚異的ですね。
ただし、機関車はプラ製なので、質感の差はあります。
少し傾いていますが、ゴムタイヤのせいかもしれません。
走行の方は上記の通り、それほど良くありません。
以前、ÖBBバージョンを保有していましたが、70年代Liliput共通の欠点であるモーター直結のスパーギアの空回りで、まともに動きませんでした。
こちらは偶然入手した中古ですが、テンダー側の連結器が無くなっており、作るのに苦労しましたね。
とは言うものの、珍しい形式だけに入手できて嬉しいです。
2024/8/2 記
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