ドイツ連邦鉄道 DB 高速旅客用試作電気機関車 BR 119 012-3号機 (Fleischmann 431901)

 今回は戦前期のドイツ国鉄 DR が世界へ誇った高速旅客用電気機関車 BR E 19.1 (119)を紹介します。 

 BR E 19.1は、戦前におけるドイツの最速の旅客用電気機関車であり、その設計速度はなんと225km/hに達しました。

 ただし、戦争の影響により、性能試験を十分に行うことができませんでした。 

<DB BR E 19.1 主要諸元>

 バッファ間距離:16.92m、運転重量:110.7t、軸配置:1'Do1'、軸重:?t、動輪径:1,600mm、電動機:4、連続出力:3,460kW、最高速度:180km/h、後に140km/h

 1937年、ドイツ国鉄DR はベルリン-ハレ(ザーレ)-ミュンヘン間を結ぶ路線の高速化を企図しました。

 路線は全線電化され、最高速度180km/hの電気機関車の投入が予定されました。

 途中勾配線区があるため、最高速度は200km/h以上まで高める必要がありました。

 これを受けDRは、1937年AEGに、そして1939年シーメンス・シュッケルト(SSW) /ヘンシェルにそれぞれ2輌を発注しました。

 1939年にAEGがE 19 01、02の2輌、1940年にSSW/ヘンシェルが、E 19 11、12の2輌を納入しました。

 この両車とも、実績のある高速機関車E 18に採用され、成功を収めている軸配置1'Do1'の剛性フレームに収められたスプリングポットドライブが、ほぼそのまま採用されました。

 外観上、E 18とE 19は、主にファンと窓の配置が変更されています。

 AEG製とSSW/Henschel製は、電動機と電装系が異なり、前者はE 18に類似したものですが、後者はダブルモーターを採用しています。

 またE 19.1は、制動抵抗器を屋根上に設置したので、モニター部分が独立しているのが、E 19.0との外見上の違いです。

 このように大きな期待をかけられて登場したE 19ですが、第二次世界大戦の影響をもろに受けてしまいました。

 すなわち、上記4両以上の生産は行われず、また、本格的な高速試験や高速急制動試験も実施されなかったと言われています。

 そんな中、E 19 01は5,280kWの出力を発生し、最高200㎞/h運転も記録されており、E 19 11は162km/h時に5,700kWを達成した記録が残っています。

 ドイツにおいてこれらの記録は、1965年にE 03シリーズが誕生するまで、破られることはありませんでした。

 E 19は4両全てが第二次世界大戦を生き残ることができました。

 戦後、全てがドイツ連邦鉄道DBへ継承されています。

 戦後、電気機器が一新され、最高速度も現実的な140km/hに引き下げられました。

 外見上目立つところでは、フロントエプロンが撤去され、塗装がDR時代のボディ赤、屋根銀、フレーム黒から、緑/黒(E 19 02、11)、青/黒(E 19 01、12)に変更されています。

 E 19は、主に南部ドイツで普通列車を牽いたようですが、1975年から1978年にかけて廃車されました。

 現在、E 19 01とE 19 12が保存されており、2台ともDR時代の赤塗装、ライヒスアドラー、フロントエプロン付きの姿になっています。

 欧州(ドイツ)の常で、DR時代の外観の保存に際しては色々大変なことがあるようですね。

 以上、Wikipedia独語版 DR-Baureihe E 19より、参照、引用いたしました。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki DR-Baureihe E 19によりますと、わずか4両しか作られなかった試験用機関車ですが、その割には模型化されている方です。

 HOの量産模型の中では、一番古いのが1972年のRivarossiです。

 こちらはE 19.1を模型化していますが、オーバースケールですし、出来の方も大時代的ですね。

 次の製品は、欧州型の常ですが、Rivarossiからだいぶ期間が空いた1994年にMärklinが同じE 19.1を発売しました。

 同社の常でバリエーションが多数ありますし、TRIXからも二線仕様が出ています。

 さらにTRIXは、他では模型化していないE 19.0を2008年に発売しています。 

 こちらで紹介するFleischmann製品は2004年の発売で、EP.III仕様の青塗装のE 19 12でした。

 この後、Ep. IIの赤や Ep .IIIの緑の11号機、Ep. IV仕様が追加されています。

 こちらの119 012-3号機は、2009年の発売だそうです。

 Fleischmannは2000年代以降、電気機関車の完全新製品をあまり出していませんが、そのうちの1両になります。

 ご覧のように繊細な出来です。

 金属製動輪はプラ輪芯のROCO製品よりも勝っていますね。

 ただしうちにあるROCO製品は、2000年代くらいまでの製品なので、現在の製品がプラ製車輪なのかはわかりません。

 このあたり、きちんと水平、垂直が出ているいかにも同社らしい製品です。

 他方、リベットは控えめな表現ですね。 

 この製品を発売した頃、Fleischmann社は活動が停滞しており、本車のバリエーションは結構発売されていますが、日本に入った数が少ないのか、中古はめったに見ることができません。

 前面の表現はROCOのE 18やTRIX/Märklinとは異なりますね。

 12号機は青塗装ですが、なかなかいい感じです

 走りの方はスムーズです。

 Fleischmann伝統の大型モーターではありません。 

   本品は偶然入手した中古品です。

 一部塗装に難はありますが、入手できてよかったです。

 2024/8/28 記

 

 

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