オーストリア帝国鉄道 kkStB 急行旅客用テンダー式蒸気機関車 Rh 310.23号機 (ROCO 43330)
今回は、オーストリア帝国鉄道 kkStB (kk österreichischen Staatsbahnen)の急行用蒸気機関車 Rh 310を紹介いたします。
Reihe 310は、kkStBが開発、製造した四気筒式急行用蒸気機関車です。
<Rh 310主要諸元>
型式:1'C2'h4v、バッファ間距離:21.404m (炭水車86形) 、運転重量:86.0t、軸配置:1C2、軸重:14.5t、出力:1,800馬力、動輪径:2.14m、過熱式複式四気筒、ボイラー圧力:15/16気圧、最高速度:100km/h
kkStBにより、1911年から1916年の間、合計90輌が製造されました。
KKStB 310.01-90
Rh 310の設計においては、線路規格と転車台の大きさから、軸重と全長の制約を受けるため、苦慮したようです。
Rh 310の設計者であるカール・ゲルスドルフは、オーストリアにおける蒸気機関車の第一人者ですが、本問題を解決するため、前級にあたるRh 210において、熱量の低い石炭を使用し、十分な火力を得るために、大型の火格子と幅広のスタンディングボイラーを採用する必要から、1C2という他にはあまり見られない軸配置を採用しました。
Rh 310においてもこの経験が踏襲され、Rh 310の飽和式四気筒複合機関から過熱式四気筒複合機関に変更されました。
Rh 310は弁装置の問題から平坦線用ではありましたが、最大1,800馬力を発揮しました。
製造は、フロリズドルフ機関車工場、ウィーン・ノイシュテッター機関車工場、ボヘミアン・モラヴィア機械工場、StEG機関車工場、およびボヘミアのブライトフェルト・アンド・ダネク社により実施されました。
第一次世界大戦の敗戦によるオーストリア・ハンガリー帝国の崩壊により、オーストリア国鉄BBÖへ43輌、チェコ国鉄ČSDへ35輌(375.0)、ポーランド国鉄PKPへ12輌(Pn 12)がそれぞれ継承されました。
1938年のアンシュルスにより、Rh 310はDRG BR 16となりました。
本機は高性能を発揮したようですが、構造が複雑なため、第二次世界大戦前に引退した機種も多く、戦後オーストリア国鉄ÖBBへは5輌(Rh 16)が継承され、1957年まで使用されました。
現在、オーストリアに1輌、チェコに1輌が保存されています。
こちらで紹介する23号機は、ドイツに併合された際、BR 16.08となりましたが、1956年に廃車となりました。
その後、ウィーン技術博物館の前庭に設置されましたが、1985年、オーストリア鉄道の150周年を記念して動態復帰されました。
本機のボイラーは1999年にROCO の支援を受け再建されましたが、この模型はそれを記念して発売されました。
以上、Wikipedia kkStB 310より引用、参照しました。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wikiによりますと、量産模型はこちらのROCO が唯一の存在です。
まず、保存機310.23が発売されましたが、その後様々なバリエーションが追加になっております。
それでこの製品ですが、当時としても別格の存在でした。
確か、全世界で3,000か5,000輌限定生産で、記念本、VTRテープ付、木箱入りでした。
出来の方は、当時のROCO 製品の中でも、群を抜く特筆すべきもので、全体の感じもよく出ておりますし、ディテールもとても細かいです。
一見プラとは思えない質感のある塗装もいいですね!
車輪は金属製のローフランジで大変シャープなものであり、ちょっと怖いくらい。
弁装置周りも大変細かいです。
それに伴い、価格も破格であり、確か、国内の販売価格は7万円くらいではなかったでしょうか?
それにしてもすごい動輪ですね!
保存機ですので、あえてタイヤやロッド周りが真っ黒染めにはなっていないのでしょう。
こうやって見ると動力伝達軸がわかります。
kkStBの蒸機にはドイツ機のような転落防止板はないのでしょうか?
キャブもドイツ機とは全く違う形状です。
ボイラーのリベットも実感的に見えます。
運転室内の色が変えられているのは珍しいです。
レタリングもとてもきれいです。
オーストリアはフランスと同様、テンダーと機関車を別個に管理していたようですが、310には、多種のテンダーが適用されました。
こちらは86形と言うそうで、水槽21m3、石炭8.72tを搭載できます。
非常に複雑な形状のテンダーですね。
下半分の膨らんだところが水槽なのでしょうか?
テンダーモーター、機関車/テンダー全駆動で静かに走ります。
常点灯装備なのも特筆されますね。
2024/7/24 記
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