ドイツ国鉄 DRG 旅客用タンク式蒸気機関車 BR 77.0-1 114号機 (Rivarossi 1359) 新原稿
今回は、ドイツ国鉄 DRGの旅客用タンク式蒸気機関車 BR 77.0-1を紹介したいと思います。
DRG BR 77.0-1は、もとプファルツ鉄道のP 5型蒸気機関車であり、同鉄道の特性を考慮して製作されたタンク式の旅客用蒸気機関車です。
<BR 77.1 主要諸元>
型式:1'C2' h2、バッファ間距離:13,460mm、運転重量:94.8t、軸配置:1C2、軸重:16.1-3t、過熱式二気筒、ボイラー圧:13Bar、出力:880PSi、最高速度:90km/h、動輪径:1,500mm
1908年から製造が開始されたBR 77.0-1は、バイエルン王国邦有鉄道でも採用され、1923年までに41輌が製造されました。
プファルツ鉄道P 5は、十分な性能と牽引力を持たないB軸機P 2II(後のDRG BR 73.0-1)を置き換えるために製造されました。
プファルツ鉄道の路線は短く、停止と進行方向転回が頻繁に行われるので、タンク機関車とされ、また性能向上(特に発車からの加速の高速化)を図るため、大型のボイラーと3つの駆動軸が採用されました。
同時に、追加の補給なしで長距離を走行できるように、石炭と水を多く搭載する必要もありました。
更には、運行中に石炭と水の消費により車重が軽くなっても粘着重量が大きく変化しないことも条件でした。
これらの設計要件を反映して、P 5は運転台と炭水車の下に後続台車が配置され、重量の大部分を支えるという、他のドイツ機ではあまり見られない特徴的なスタイルをしています。
適切なホイールベースを考慮すると、先輪を動軸のすぐ前に配置する必要がありました。
このため、シリンダー位置が異常に高く、更に1:10.5 の傾斜で配置されるという珍しい外観となったそうです。
この当時、他の邦有鉄道では、既に過熱式が採用されていましたが、当時の機械工学主任がこだわったためP 5は飽和式を採用しています。
P 5は、1908年に12両が製造されましたが、やはり飽和式では問題があったため、1925 年に過熱式に改造されています。
実際、P 5は飽和式では20‰の勾配において、140tの列車を30km/hだったのに対し、過熱式では同条件で180tを牽引できたそうです。
性能の差異は明白ですね。
クラウス社は、最初のシリーズ 12 台を飽和式として1908年中に納入しました。
1908年以降、プファルツ鉄道はバイエルン王国邦有鉄道に統合されました。
同鉄道は、過熱式のP 5を、バイエルンPt 3/6として 1911年から 1923年の間、19輌追加製造しました。
更に1923 年には、ドイツ帝国鉄道のバイエルン グループ管理局向けに、ほぼ同一の機関車が10輌追加されています。
他稿でも述べましたが、ドイツ帝国鉄道のバイエルングループ管理局は、中央からの独立性が強く、独自の車両を採用する傾向にありました。
とは言うものの、僅か数年後には、プロイセン製貨物機関車がバイエルングループ管理局に大量に配備され、新旧のバイエルンオリジナル車両が大量に廃止されています。
P 5及びPt 3/6は、南部ドイツで急行を含む、旅客列車運用に従事しました。
これは本機の終焉まで変わらなかったようです。
P 5及びPt 3/6は製造された41輌が全て、DRGへ継承されました。
上記の通り、1908年に製造された12輌は、BR 77 001-012となりました。
最初から過熱式で作られたPt 3/6は、77 101-129となっています。
第二次世界大戦中に77 002、006、126の3輌が失われ、東ドイツ DRへに残された1輌は、1956年に廃止されました。
第二次世界大戦後、西側に37輌が残りましたが、1947年には廃車が始まり、最初のシリーズの殆どは私鉄に売却されました。
ドイツ連邦鉄道DBには27輌が継承されましたが、1954年までに廃止されています。
私鉄譲渡車も含め、本形式は保存されませんでしたので、残念ながら現存しません。
以上、Wikipedia 独語版 Pfälzische P 5 より、引用、参照しました。
なお、以前のWikipediaのPfälzische P 5の記載は簡単なものでしたが、現在のものは内容が大幅に充実しています。
よって写真を含め、全面的に書き直しました。
それで、Modellbau-wiki Pfälzische P 5によりますと、Pfälzische P 5のHOの量産製品は、こちらで紹介するRivarossiが唯一の存在です。
こちらのDRG 77 114号機は、1985年の発売だそうです。
なお、当方の過去記事において、Kleinmodellbahnからも出ていたと記しましたが、同社から発売されていたのは、BR 77.2 (BBÖ-Reihe 629) でした。
お詫びの上、訂正いたします。
Rivarossiは、Liliputと並び、他社が手がけないようなマイナー機をいくつも発売しておりますが、こちらもその一つです。
当時の同社の製品だけに、何かスケールより幾分大きい気がしましたが、今回の計測の結果はバッファ間距離155.5mmでした。
スケールでは154.7mmなので、思いの外、長さは正しいですね。
ただし、全体的には何か大きい感じがします。
1985年の製品ですので、車輪やロッドは黒染めになっていませんが、金属製の車輪はいい感じですね!!
ロッドは他に類を見ない変わった形状をしています。
密閉型キャブ。
感じがK. Bay. Sts. B. のGt 2×4/4 (BR 96)に似ていますね。
同社の特徴でハンドレール類も金属製です。
標記類も約40年前とは思えないくらいきれいです。
BR 77.0-1の特徴とも言える斜め位置のシリンダー、腰高のスタイル、図体の割に細い煙突と、小型機ながら、なかなか印象的なスタイルをしていますね。
シリンダーの上の安全弁?は挽物ですし、弁装置やバイエルン/バーデン機に見られるステップも金属製なので強度もあり、また良く出来ていますね。
BR 77.0-1は、前面に S 3/6のようなステップがつきますが、この製品は金属線にプラの踏み板を1個ずつ自分で取り付けるという難易度の高いものです。
もう40年近く前の製品ですので、プラの材質劣化が必至であり、穴に通す際に割れてしまいそうなので、当方は取り付けていません。
この製品は、円形モーターをキャブ内の床に立てて取り付けるという変わった方式だったように記憶しています。
その割にはあまり目立ちませんね。
走行は一般的なものですが、さすがに当時物ですので、騒音はやや高めです。
プロイセン機や制式機とは明らかに異なるキャブ形状です。
ややごつい感もありますが、バタフライスクリーンも枠付きです。
量産製品では見たことはないですね。
こうして見ると手すりの取付基部は明らかに大きすぎますが、金属の質感や太さが一定なところは明らかに優れていますね。
独特な形状の従台車。
輪芯軸も塗ってあるようですね。
キャブ脇のステップも細かいです。
時代的に灯油ランプ装備です。
バッファも金属製なのがいいですね。
この模型だけではありませんが、前照灯2灯、尾灯3灯は正しいのでしょうか?
Rivarossiは経営が安定せず、また残念なことにBR 77.0-1は1990年代半ば以降、再生産されていないようで、日本ではまず見ることのない機種と思います。
こちらは1996年のスワップミートで入手しました。
ほんと、ラッキーでした。
実物は短命でしたし、コストも掛かりそうな製品なので再生産は難しいのでしょうね。
他社もやりそうもありませんし。
BR 77.0-1は、どちらかというと地味な機関車で、短命でしたが、模型の世界では活躍させてやろうと思います。
2024/5/25 記 新原稿
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