ドイツ国鉄 DRG 支線旅客用タンク式蒸気機関車 BR 73.0-1 079号機 (TRIX 22436)

 今回は、ドイツ国鉄DRGの支線旅客用蒸気機関車 BR 73.0-1を紹介します。

 DRG BR73.0-1は、バイエルン王国邦有鉄道 K.Bay.Sts.B. が開発した D XIIです。

 <BR 73.0-1 主要諸元>

 型式:1'B2' n2t、バッファ間距離:11,850/11,928mm、運転重量:68.8/67.5t、軸配置 1B2、軸重:14.6/15.0t、飽和式二気筒、出力 1,395kW、ボイラー圧力:12/13bar、最高速度 90km/h、動輪径 1,640mm

 バイエルン王国邦有鉄道D XIIは、ミュンヘンから山地へ向かう支線用の機関車として、1897年から製造が開始されました。

 僅かに寸法の異なるいくつかのシリーズが、ミュンヘンのクラウス社で、1912年までに合計96両製造されています。

 上記の通り、山岳支線用に作られた本機ですが、実際にはバイエルン王国邦有鉄道各地で使用されました。

 第一次世界大戦期を除くと、バイエルン王国邦有鉄道の機関車は数が少ないので、単一形式96両という数字は多い方と思われます。

 D XIIは1916年に2両がプファルツ鉄道へ移管され、残りの94両はDRGの発足により、BR 73 031-124となりました。

 本機は成功したのか、他の鉄道でも同系機が製造されています。

  プファルツ鉄道では、D XIIの第3シリーズとほぼ同様なP 2IIを1900-1903年の間、31両製造しました。

 これらのうち28両はドイツ国鉄DRGへ継承され、BR 73 001-028となりました。

 残りの3両は、ザールラント鉄道 SAARへ行っています。

 またバイエルンから来た2両も、同様にザールラント鉄道へ移りました。

 更にアルザス=ロレーヌの帝国鉄道は、 1903 年から 1912 年の間、僅かに寸法が異なる 同系機を37 両調達しました。型式:D32 → T5 → T7

 これらはミュンヘンのクラウス社が製造したものではなく、アルザスの機械工学会社グラフェンシュタデン社によってライセンス生産されています。

 アルザス=ロレーヌの帝国鉄道は、 第一次世界大戦の敗戦により、フランスへ引き渡されることになりました。

 これを受け、37両のうち1両だけが73 125として、DRGへ継承されました。

 残りはフランスのALに残ったようですが、1938年のフランス国鉄発足まで残った機種はなかったようです。

 1908年に本機を過熱式にしたPt 2/5 Hが1両試作されました。

 しかしながら、動軸B軸では効果が低かったため、試作に終わりました。

 結果として1909年、代わりにPt 2/5 Nが9両追加生産されました。

 これらはDRG継承後に73 131-139となりました。

 全部で173両が製造されたD XIIと、その同系機関車でしたが、既に動軸Bという形式が時代遅れになっていたことから、廃止は早いものでした。

 ザールラント鉄道、プファルツ鉄道と DRG が継承したPt 2/5 N、T 7、P2 II は1925年から1935年の間に引退しました。

 そしてバイエルンのD XII も1941年までに退役しました。

 最終的に暖房用機関車として、73 076及び73 111が1948年まで使われたとの記録があるようです。

 以上、Wikipeida独語版 Bayerische D XII より引用および参照いたしました。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki Bayerische D XII によりますと、HOの量産製品は1982年初回発売のTRIXしかありません。

 後に三線版がMärklinからも発売されました。

 活躍したのが短い間なので、ほとんどは緑や茶色塗装の邦有鉄道時代の製品です。

 DRG Ep. II仕様は079と075の2種類か発売されていないようです。

 こちらで紹介する079号機は、最初に発売されたもので、初回は今から40年前の1984年になります。

 公式側

 流石に40年前の製品ですので、ロッド、弁装置、クランクなどはややごつい気もします。

 反面、ライトやシリンダ、配管類は現在でも通用しますね。

 シリンダ脇の名板はすごいですね。

 キャブ下の配管は細かい表現です。

 サイドタンクの水位計?の塗装表現がすごいです。

 その他レタリングも当時としては相当水準が高いと思います。

 非公式側

 当時としてはかなりハイレベルな製品だと思います。

 他方、黒染めでない車輪や、ロッド周りはいかにも当時の製品です。

 ただし車輪自体は相当レベルが高いと思います。

 きちんと角ばっている各部、直線の出ているハンドレールや配管、細かいランプに並び厚さが大きく、フランジが高い車輪など、全体的にいかにもTRIXらしい製品ですね。

 カプラーはまだNEM362になる前ですね。

 挽き物のバッファーは、プラ製に比べ、質感、真円、強度の全ての面で、勝っていますね。

 このパーツだけ別売して欲しいです。

 Einheitsやプロイセンとは全く異なるキャブ。

 屋上の配管、キャブステップなど、表現も細かいです。


 走りの方も同社の標準的なものです。

 TRIXのD XIIは時々見かけましたが、BR 73.0-1は殆ど見たことがありませんでした。

 こちらも中古入手ですが、珍しいものを手に入れることができ、嬉しいです。

 実物は登場してからすぐに時代遅れになってしまいましたが、模型の世界では軽客貨を牽かせて楽しみたいですね。

2024/5/15 記

2025/8/29 写真配置変更

 

 

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