レーティッシュ鉄道 RhB 汎用電気機関車 Ge 4/4 II 521号機 Felsberg (Bemo 1268/2)

 今回はスイスの地方鉄道 レーティッシュ鉄道 RhBのGe 4/4 II 電気機関車を紹介します。

 RhB Ge 4/4 IIは、レーティッシュ鉄道の本線系統で使用される山岳用電気機関車であり、同鉄道では最も多い主力機です。 

<RhB Ge 4/4 II主要諸元>

 軌間:1,000mm、電化方式:AC 11kV 16.7Hz、架空線式、全長:12,960 mm、自重:50.0t、動輪径:1,070mm、サイリスタ位相制御、定格出力:1,520kW、牽引力:101.5kN、最高速度:90km/h

 1973年、および1984から1985年にかけて、SLM/BBCで合計23輌が製造されました。

 上記の通り、同鉄道では同一系列最大輌数を誇ります。

 Ge 4/4 IIは、1960年代のレーティッシュ鉄道で使用されていた戦前製ロッド式の本線用主力電機、すなわちGe 2/4、Ge 4/6、そしてGe 6/6 Iクロコダイルの老朽化に伴う置き換え、また輸送量増大にこたえ開発されました。

 当初、35パーミルの勾配で、200tを52km/hで、45パーミルで150tを牽引できる1,600kWの4軸機が設計要件でした。

 この要件を受け、完成した機体は、サイリスタ位相制御で1時間定格出力1,700kW、牽引力116.5kNを発揮しました。

 1973年、および1984から1985年にかけて、SLM/BBCで合計23輌が製造されました。

 上記の通り、同鉄道では同一系列最大輌数を誇ります。

 Ge 4/4 III同様、23機全部に機体名とクレストがついています。

 こちらで紹介する621号機の機体名はFelsberg(スイスグラウビュンデン州に存在する都市の名前)、クレストは剣を持つ天使となっています。

 また収益向上のため、広告機となっている機種も存在します。

 スタイルとしては、SBBの主力機関車であるRe 4/4 IIに似ていますね。

 以上、Wikipedia日本語版 レーティッシュ鉄道 Ge 4/4 II形電気機関車より、引用、参照しました。

 それで模型の方ですが、調べた限りではHOmのGe 4/4 IIはBemoだけのようです。

 他にはLGBのIIm、BemoのOm、KATOとMDSのNmが存在します。

 まあ、後ろの2者は厳密にはNmではありませんが。

 BemoのGe 4/4 IIは、恐らく1980年代の終わりか、90年代の初めに発売されたものと思われます。

 この製品は改良された形で、現在でも生産されています。

 いかにもBemoらしい製品ですね。

 感じもいいし、細部もよくできています。

 当方のは、ウェザリングされていますが、もしかしたら塗装が傷んでしまったからもしれません。

 Bemoはご多分に漏れず塗装が弱く、発泡スチロールで侵されることがよくあります。

 古い製品や中古品を購入される際には十分注意ください。

 Ge 4/4 IIでの注意点は、台車枕ばねがユーザー取付になっています。

 これはFOのGe 4/4やMOBのGDe 4/4もそうですが、紛失していることが多いです。

 現に某オクへ出ているものはよく欠品しています。

 その割には高値が付くことが多いですが。

 この枕ばねですが、無いとなんとも締まらないのですが、他方取り付けてしまうと、車多がばらせなくなるという致命的な欠陥があります。

 給脂や整備のために車体を外すことは必須ですので、こちらのは取り外しました。

 車体が割れたり、部品が壊れるんじゃないかとひやひやものでした。

 やはり台車に取り付けるか、あるいはボディではなく、ダイカストに取り付けて、分解時には外せるように構造を変更すべきと思います。

 このあたり、旧RÖWA社の流れを汲むからでしょうか、メルクリンには相当劣ります。

 もっともその後発売された製品は、ねじ4本で分解できるようになったものが主流のようですので、同社は考えを変えたのかもしれません。

 あと分解時の注意点として、必ず連結器を外す必要があります。

 私は誤って、車体端部の下部を壊してしまいました。

 Bemoのプラスティックは経年による結晶化が進みやすく、特に碍子の茶と車体各部の灰色が石のようにカチカチになってしまい、ちょっと触っただけで折れてしまいます。

 連結器を外すのはとても怖いです。

 ボディもとてもきついので、出来れば分解しないことをお勧めします。

 とは言うものの、Bemoには接着してある窓ガラスが取れてしまうという、これまた重篤な欠点が存在し、分解する羽目になりました。

 Ge 4/4 IIは前面の窓ガラスが接着ですが、こちらの521号機は片側、もう一台の512号機は両側が外れてしまったので、泣く泣く分解する羽目になったわけです。

 ということで、大変繊細な模型ではありますが、鉄道模型としては優等生には成り得ないと思います。

 Bemo製品は製品寿命がとても長いです。

 これはおそらく生産数量が少ないため、金型の損耗が少ないためでしょう。

 こちらも35年以上になります。

 改良は主に動力です。

 発売当時は小型のモーターが入手できなかったためか、マブチのキャラメルモーターを使用していました。

 ご存じの方も多いと思いますが、このモーターは3極での高回転型で、トルクがとても細いです。

 コミュテーターの位置と負荷によっては起動しないものもありました。

 おかげでこのモーターを使用した昔の日本型ナローの走りは最悪で、Jと同様の片側集電のため、軽いナローでは集電が極端に悪いことも相まって、低速は全く効かず、極論すればナローなのに新幹線並みの走りでした。

 しかし、レイアウトで鍛えられた欧州製品は全く違います。

 Bemoは小型鉄道模型における走行不良の最大の原因である集電を全輪かつ確実な重量配分にし、細いトルクに対しては、ギア比を上げ、かつすべての動軸に等価で伝達するようにしました。

 インサイドでは絶対に無理ですね。

 このため、あのキャラメルモーターとは思えない安定した走りを見せます。

 これには私も本当に驚きました。

 とはいうものの減速比を大きく取る必要があることから、ギア音は高めです。

 このあたり集電やギアの改良をそっちのけで、キドマイティなどひたすら高いモーターを追い続けた日本とは全く別ですね。

 とはいうものの、主にNゲージの飛躍的発展や産業用途の拡大により、DCモーターは性能が見違えるようになりました。

 当然のことながらBemoも低性能なマブチのキャラメルから、現在はマシマの缶モーターに代っています。

 これにより、走行性能は格段に上昇しました。

 残念ながら見分け方がわかりませんが、少なくとも初期のオレンジ箱、黒箱、こげ茶箱はキャラメルであり、マルーン色はマシマのような気がします。

 当方コレクションの範囲内なので、間違っていたらごめんなさい。

 マブチのキャラメルモーターは、ブラシが減ってしまうので、いずれは交換が必要ですが、ダイカストがきちきちなので、定評あるKATOのスロットレスはつかないでしょう。

 IMONのミニモーターはつくでしょうか?

 試された方がいらっしゃいましたら、ぜひご教授よろしくお願いします。

 こちらは初期製品なので、マブチのキャラメルです。

 そのせいか、速度は遅めですね。

 RhBで最も多く使用されている電機ですので、もっと増備したいですが、Ge 4/4 IIは人気が高く、上述のように、程度の悪い中古でも相当な価格になります。

 もっとも新品は300ユーロですから、おいそれと買えるような代物ではないのが残念です。

 欧州型の中でもディテール志向でかつ、省スペース、日本人にも受け入れ易い形状や塗装のBemo製品がもっと幅広く扱われるといいですね。

 HOは世界で最も使われている模型鉄道規格ですが、日本では問題があるのもまた事実です。

 その点、HOmは様々な意味でその問題をクリアできるような気がしますし、現に日本では人気が高いです。

 個人的には、もっと広まって欲しいですが、鉄道模型都市伝説界隈では、BemoはHOmへの同業者参入をことごとく叩き潰しているのだとか。

 欧州ではメーターゲージはそれなりに発展しているとは言え、標準軌とは比べるべくもありません。

 もともと大きな市場ではないので、共倒れを懸念しているのかもしれません。

 しかし、健全な競争なきところに発展もまたありません。

 新たなメーカーの参入を期待したいです。

 もともと非常に小さなメーカーだそうですから難しいのでしょうが、それでも毎年新製品を供給しています。

 個人的には、量産模型で培った技術を用いて、ぜひ、HOjをやって欲しい。

 ED75なんていかがでしょうか?


2024/3/22 記

 

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