オーストリア連邦鉄道 ÖBB 貨物用機関車 Rh 50 685号機 (ROCO 43306)

 今回はオーストリア連邦鉄道 ÖBBの貨物用蒸気機関車である軸配置1-E テンダ式貨物機 Rh 50を紹介します。

 ÖBB Rh 50は元ドイツ国鉄DRGの汎用貨物機関車BR 50です。

<Rh 50 主要諸元>

 型式:1’E h2、バッファ間距離 22,94m、運転重量 86.9t、軸配置 1E、軸重 15.2t、過熱式二気筒、出力 1,395kW、ボイラー圧力:16bar、最高速度 80km/h(前後進)、動輪径 1,400mm

 BR 50は、1937年ドイツの支線で大量に使用されていた時代遅れの邦有鉄道時代の貨物用機関車の置き換えでした。

 よって、BR 44に比べると低い軸重が設定されております。

 折しも1939年には第二次世界大戦が勃発し、貨物用機関車の需要が急増、特に占領した国々はドイツに比べると線路規格の低い路線も多かったので、軸重の低い本機の需要は増大しました。

 結果としてBR 50は、ドイツおよび占領地で、1939~1948年までの間、3,146輌という大量生産が行われました。

 また、ルーマニアでもこれとは別に268輌が製造されました。

 

 BR 50製造の内訳は、Die Baureuhe 50 Einsenbahn Journal 1/97によりますと、下記だそうです。

メーカー名 生産台数
Henschel & Sonn 645
BMAG(vorm. Schwartzkopff) 370
Wiener Lokomotivfabrik Floridsdorf 368
Krupp 324
Krauss-Maffei 317
Belgische Firmen  186
Borsig Lokomotivwerke 179
MBA (vorm. Orenstein & Koppel) 170
Skoda  140
Schichau 135
A. Jung 105
Deutsche Waffen- und Munitions-Fabriken Aktiengesellschaft, Werk Posen 72
Esslingen 69
CKD 35
Ostrowiecer Lokfabrik Warschau  26
合計 3,141

 上の数字と5輌合いませんが、同書によると1946年にPKPのワルシャワ工場で4両が生産されたとあります。

 かくも大量に製造されたBR 50は、上記の通り、その軸重の軽さから、ドイツ本国だけでなく、東西各戦線で幅広く使用されました。 

 そして戦後、ヨーロッパ各国へ残存した機関車は、そのまま使われました。 

 具体的にはベルギー、オランダ、フランス、デンマーク、ポーランド、チェコ、ブルガリア、ルーマニア、ソ連、そしてルーマニア製の40輌は中国でも使われたそうです。 

 オーストリアはWLFで368輌製造しましたが、使われたのは僅か17輌でした。

 ÖBBで使用されたRh 50のリスト

 Linz – Rohr-Bad Hall – Selzthalを結ぶ、Pyhrnbahn で貨物用として使用されたそうです。  

 こちらで紹介する 50.685号機は、1940年にWiener Lokomotivfabrik Floridsdorfで製造され、1940年7月にDRGへ配属、1943年1月にはCFR(ルーマニア国鉄)へレンタルされています。

 1945年4月27日にオーストリア国鉄、1947年8月5日にÖBBになりました。

  1972年8月6日に廃車となりましたが、同日GKB (Graz-Köflacher Eisenbahn- und Bergbaugesellschaft mbH)へ移籍し、1977年まで貨物と客車の両方で使用されています。

 更に1978年12月28日に、 HEF(Historische Eisenbahn Frankfurt e. V., Frankfurt (Main))へ売却され、動態保存運転されました。 

 しかし1985年に期限切れとなったことから、駐車され、1991年に個人所有となり、1991 年4 月に、機関車は新しくオープンしたシュパイヤー技術博物館に貸与され、展示されているようです。

 以上、Wikipeida 独語版 DR-Baureihe 50、Eisenbahn-Museumsfaherzeuge Güterzuglokomotive 50 685、Dampflokomotivarchiv.de Fahrzeugportrait WLF 3405 より引用、参照いたしました。

 それでBR 50のHO模型については、当方の以前の記事を参照いただくとして、こちらのROCO 43304 Rh 50.685は、2000年の発売だそうです。 

 ROCOのBR 50の発売初年は、1992年ですから、少し経った後の製品となります。

 そのためか、塗装や質感が向上している気がします。 

 本機は煙室扉と炭水車に大きなÖBBマークを描き、またデフの縁取りや煙室扉のステーが赤という目立った仕様ですので、私は保存機なのだろうと思っていましたが、上記の履歴の通り、ÖBBでは1972年に引退しております。

 Web検索した結果では、1971年に撮影された写真が、この仕様になっていることがわかりました。

 また1171号機も同様な仕様でした。

 685号機はGKBに移籍した後も、ÖBBマークこそ除去されましたが、デフの赤の縁取りはそのままで使用されたようです。

 なお、現在はドイツ仕様で保存されています。 

 発売時期、品番からして先輪、動輪芯はプラ製です。 

 でも初期の製品より成形色がいいので、感じに良いと思います。 

  塗装やレタリングが良くなりました。

 黒塗装はわざと半光沢にしているようです。

 実車はつや消しのようですが。 

 ロッドの色がいいですね! 

 ÖBB最晩年の仕様ですね。

 キャブ裾に72/8/30の記載があります。 

 

 手すりの赤は塗装です。 

 テンダーのステップは細かいです。

 外れやすいので、紛失には注意下さい。 

 ウインドデフレクタも厚みはありますが、シャープです。

 キャブ下の配管もシャープですが、従輪がないので再現できるのでしょうね。

 キャブののぞき窓はBR 50特有の装備です。

 Wikiによりますと、BR 50は転車台のない支線での運用が考えられたそうですので、バック運転用につけられたものでしょう。 

 2' 2' T34テンダー。

 特殊な形態ではないと思いますが、黒一色だと別形式みたいです。 

 テンダー背面には大きな黄色いÖBBマークが付いています。

  ROCOのBR 50なので、テンダー4軸及び機関車の5軸を駆動します。

 機関車の駆動は、牽引力UPと言うよりは、空転防止のようですね。

 走りの方は至ってスムーズかつ静かであり、模型的な20両程度の貨車運用であれば、特段の問題はありません。

 ROCOのBR 50は優れた模型と思っておりますし、大好きな模型の1台です。

 

 2024/3/24 記

 

 

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