HOゲージって、1/87 1435mm軌間のことですよ
これは間違いです。
こちらでも何度も書きましたが、2023年時点では「HOゲージ」というのものは存在しません。
強いて言うならば、HOスタンダードゲージをスタンダードを略して、HOゲージと言うことはあります。
要は標準軌の模型に対する表現であり、狭軌をそのように表現するのは間違いです。
2023年現在、世界で通用している鉄道模型の規格、2、1、0、H0(HO)、S、TT、N、Zのいずれもが、標準軌1,435mmの模型を表現する際の決まりごとです。
世界の鉄道の大半が軌間1,435mmを採用していることから、これは至極当然なことです。
従って、世界の模型規格をそのまま狭軌や広軌に応用、適用することは出来ません。
なんとなれば、例えば我が国の主要軌間である1,067mmは、標準軌1,435mmとの間に、26%もの差異があり、これは到底、工業的誤差の範囲を逸脱しています。
工業社会において、26%もの誤差を許容してしまったら、この世の何もかもが成立しなくなるでしょう。
誤解している方がすごく多いのですが、鉄道模型の規格とは思想ではなく、工業規格です。
それでHOですが、0番ゲージの約半分で軌間16.5mmを使用して、標準軌の模型を表現する規格です。
前回記事の通り、少なくとも欧州では紆余曲折がありましたが、1980年代末に、縮尺1/87で決着しました。
爾来、40年以上、その決定は正しいものとされています。
世界の模型規格が標準軌しか眼中にないのは紛れもない事実であり、HOゲージとはHOスタンダードゲージに他なりません。
これは私の想像でもなんでもなく、Modelbahn Union社のHPに明快な解説がありますので、参照して下さい。
「スケールは 1:87 で、かつて普及していた O ゲージの約半分の大きさです。したがって、HO ゲージとは 16.5 mm で 1435 mm の標準ゲージを表します。」
このように明記されています。
この一文からも、彼らには標準軌しか眼中にないのは明らかです。
そして我が国だけで使われている、1/80 軌間16.5mm、1,067mmの狭軌ですが、
1)1/87でないこと
2)狭軌であること
この二点から、HOではないことが明白です。
しかし標準軌しかない連中にはそれでいいでしょうが、世界には複数の軌間があるのは事実です。
ですので、HOでも何でもそうですが、狭軌の模型は主要規格の縮尺を使用して、軌間を変更して表現することになりました。
さらに前記事のように、HOの後に軌間を表す文字や数字を添えることが決められています。
これは思想とかではなく決まり事であり、明文化されています。
では、1/80 軌間16.5mm、1,067mmの狭軌とはなんなのでしょうか?
上記のように、2023年の今日、HOとは3.5mmスケール1/87を示すことが世界の常識であり、既にMeropやNMRAなどの各規格で決められていますので、その誤差範囲には到底なり得ない1/80をHOと称すべきではありません。
ましてHOの規格では狭軌は、規格を表す文字の後に数字や記号を付すことになっているのです。
どう転んでも1067mmは狭軌であり、1435mmではない以上、日本型の模型は、HOj、HO1067のように狭軌を表す表示をしなければ、HOの仲間には入れません。
なぜならば狭軌だからです。
HOと1067mm、1/80 16.5mmが全く異なるものと理解されている方が、1067mm、1/80 16.5mmを16番と称しているのは一歩前進ですが、16番とはかの山崎喜陽氏が提唱した、ユニゲージ・マルチスケールの思想です。
これは規格ではなく思想であることにご注意ください。
つまり16番にはHOやOOも含まれてしまうのです。
16番という思想は、あくまで思想であり、欧米の鉄道規格とは異なるので、どの範囲までが許容範囲で中心値がどれかという決まりは一切ありません。
そういう意味では1/64 Sn 3 1/2も16番に入らないとは言い切れないのです。
明文化されていないので。
しかし、言うまでもなく、今の1/80 16.5mmはそんなアバウトな規格ではありません。
70年以上の歴史のある明確な規格です。
ですので私は、誇りを持って世界に類を見ない1/80 16.5mmをJと称すべきと信じます。
少なくとも事実を捻じ曲げてまで、欧米の規格の仲間に入れてもらう必要はないと思うのです。
そんなことをしたところで、あれだけ違うのですから、仲間にしてはくれますまい。
こちらで何度も実例を示したように1/87と1/80は全くの別物であり、同列に比すことの出来ない存在ですから。
そもそも世界の鉄道模型規格が、東洋の小国なんか相手にしてくれるはすもないのです。
ですので、我々日本人が世界に通用する1067mm、1/80 軌間16.5mmに対する規格名をつけるべきと思うのです。
1067mm、1/80 軌間16.5mmをHOゲージなんて呼ぶのはやめましょう。
そして、日本型HOと言うのなら、それはHOj 1/87 12mmしかありません。
それは思想でも信仰でもなんでも無い。
世界のルールなのです。
<追記1>
今まで誰も論じたことがないと思いますが、JM 1/80 13mmの模型は、1980年代の欧州であれば、HOjとして認めてもらえた可能性があります。
なぜならばこの当時、欧州におけるHOの車体スケールは1/87に決着しておらず、HAGやRivarossiは1/87でない製品をHOとして生産しておりましたし、HOでは狭軌を標準軌に比して狭い軌間で表現しますので、13mmという正しいスケールの狭い軌間を採用しているJMは該当すると言えます。
同様に標準軌を採用している近鉄本線、京急、箱根登山鉄道などの1/80の模型は、HOという規格が標準軌を想定しているので、HOと言えたかもしれません。
ただし、それはあくまでその当時の話です。
欧州での製品供給は1980年代後半に1/87に統一されておりますので、2023年現在では難しいと思います。
<追記2>
最後に個人的な感想を記しておきます。
いつも通り、どなた様にも強制するものではなく、あくまで個人の気持ちです。
何で暫定規格を70年以上継続しちゃったんでしょうね。
どうして日本と英国だけが、ノンスケールモデルしか遊べないんでしょうか?
日本は世界一と言っていい鉄道先進国なんですよね?
私はただ単に世界の規格に沿ったスケールモデルで遊びたいだけなんです。
実際、JとHOjには天と地の差があって、今日では並べることの出来ない存在です。
ほんとHOjは、製品に手が届かないって、私にとっての致命的欠点以外に、模型規格として全ての面でJよりも優れるものなんですよ。
実際、Wikiにすら高額なため普及しないって書いてありました。
なお、以前の記事通りですが、HOj、JM、Jのいずれも、量産模型として全く同じ構造で実現できます。
HOjやJMに対し、技術的困難はありません。
ということは、やる気だけの問題なんです。
要は量産メーカーがやってくれればその最大の障害を脱することができるんです。
話を戻しまして、前からや上から、いやいや、どこから見ても、実車らしさという点において、Jとは全く比較になりません。
ともかく百聞は一見にしかず。
ぜひWeb検索して、HOjの製品を見て下さい。
実車の好きな方ならば、必ずこの違いを実感していただけるのではないでしょうか?
特に蒸気機関車のファンの方なら、きっとわかってくださると思います。
もっともJとHOjを比較している人って、案外少ないんですけどね。
それならば、ここはぜひ私が一台買って、皆様にご紹介するか……。
ということで、来年の元旦発売の IMONのC55 33 吉松流改。
いやぁ~、いいですね!!
はっきり言って実車はよく知りませんが、このメカメカ感、そして、軌間と上回りのアンバランス。
C55のスポーク動輪って、実にかっこいい。
ファンが多いのがよくわかります。
模型として見てしびれますなぁ。
それで、いくらなんだろう?
なになに、一番安いのでも、なんと税込 ¥380,600!!
もはやため息しか出ません。
いくら素晴らしかったって、こんなの絶対に買えませんよ。
25年間、少しずつ買ったJを全部売っても、ようやく届くかどうかって感じです。
第一、たとえ買ったとしても私は壊しますし。
そんなことになったら……、どうなるかわかりませんよね。
やはりHOjは見るだけの存在なんでしょう、残念ですけど。
お持ちの方、是非紹介お願いします。
2023/12/10 記
↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。
↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。
是非ご覧になってください。