ドイツ国鉄 DRG 貨物用タンク式蒸気機関車 BR 93.5-12 527号機 (ROCO 63261)

 今回は、ドイツ国鉄 DRG の貨物用タンク機関車 BR 93.5-12を紹介します。

 ドイツ国鉄BR 93.5-14は、プロイセン王国邦有鉄道が開発したT 14.1です。 

<BR 93.5-12 主要諸元>

 型式:1'D1'h2、バッファ間距離:14.5m、運転重量:104.0t、軸重:17.5t、軸配置:1D1、動輪径:1,350mm、過熱式二気筒、出力:736kW、ボイラー圧力:12bar、最高速度:70km/h 

 10のメーカーで、1918年から1924年までの間、768輌が製造されました。 

 T 14.1は、プロイセン王国邦有鉄道が旅客及び平地での貨物列車牽引用に製造したT 14の改良型として開発されました。

 T 14は、ケーニヒスベルクのUnion鋳造社が、プロイセン王国邦有鉄道の貨物機G 8.1 (D h2 DRG BR 55.25–56, 55.58)を基礎に製造した1D1機で、1914年から1918年までの間、合計497輌が製造されましたが、動輪の軸重配分が悪い、すなわち第3軸の14.2tに対して前部軸が17.3tもあった、またメンテ性が悪いという欠点がありました。

 そこでT 14の欠点を改善すべく、T 14.1では改良が図られると共に、水と石炭の搭載量が増えました。

 しかし、今度は後部動輪の軸重が大きくなってしまい、改良は限定的な効果しか得られなかったようですが、結果としてT 14よりも多く生産されました。 

 なおT 14.1は、プロイセン王国邦有鉄道の他、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道でも採用され、39輌が製造され、運用されています。 

 ドイツ国鉄 DRG発足後、T 14.1 はBR 93.5-12として区分され、93 501-1261が付番されました。

 またヴュルテンベルク機には、93 795-814 および 832-850が付番されています。 

 戦後、ドイツ連邦鉄道は 423輌を継承し、1968年まで使用しました。

 また東ドイツ国鉄 DR には138 輌が継承され、1972 年までに引退しました。

 ポーランドに行った車両もあります。

 現在、本形式では唯一93 526号機が保存されています。

 以上、Wikipedia 独語版 Preußische T 14.1より、引用、参照いたしました。 

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki DR-Baureihe 93 によりますと、HOの量産模型はROCO製品が唯一の存在のようです。

 初回発売は同社としても最も初期の1981年になります。

 その後、何度も生産されていますが、初期の製品とは別になっているのかもしれません。 

 こちらで紹介するDRG 93 527号機は、写真からもわかりますように、比較的後期の2000年に発売された製品です。 

 従って、黒塗装やレタリング、黒染めの車輪やロッドなどが改良されています。

 モーターも変更されているような気がします。 

 初期の製品とは分解方法も異なるようですので、改良製品かもしれません。

<各部のディテール>

 赤は成型色のままですが、初期の紫っぽい色ではありませんので、感じは良くなっています。

 ただし、輪芯はプラです。 

 いかにもROCOらしい感じの製品です。 

 ROCOの初期製品はベタのつや消し黒で塗られていますが、それに比べるとこちらはいい感じになっています。

 金文字はきれいです。 

 前照灯の取り付けは一風変わっています。

 ランプ後方から光学繊維で光らせていますが、蒸機では珍しいですね。

 前部ランボードの傾きやボイラー下部の隙間も気になりますね。 

 ROCOのBR 93.5-12は、ボイラー前部が上がっているので、車体が後方に傾いて見えます。

 今回、建付けを修正しようとして分解したのですが、誤ってランボードを割ってしまいまた。

 幸いなことに、それなりに修理ができたように感じますけど。

 何れにしても、ROCOの古い製品は、ABSの結晶化が進んでいますので、ふとしたことで割れてしまいます。

 取り扱いには注意が必要ですね。

 ナンバーの左側は金型の痛みでしょうか?

 古い製品だけにステップ類は今の水準と比べると鈍いです。

 そうでなくても、ROCOの赤いプラは安っぽいので色を塗りたいところですが、上述のようにABSの経年劣化が進んでいますので、分解時に破損する危険が高いです。

 怖くていじれないですね。 

 

 レタリングはきれいです。  

 金属製のバッファがいかしてます。 

 後方のエアタンクは軸重バランス調整用に取り付けられたそうです。

 この機関車は電灯ではなく、灯油ランプを装備しています。

 よって、上写真にもあるように、他の機種では見られる煙突脇の発電機がありません。

 ドイツではいつ頃まで石油ランプが使われたのでしょうか?

 ご存じの方、よろしくお願いします。


<ROCO BR 93.5-12の分解>

 この製品は通常の製品とは分解方法が異なります。

 まず炭庫を外し、2個のネジを露出させます。

 炭庫は外れましたが、上記の通り、材質の劣化で4本ある爪の2本が割れていました。

 それから前から2番目の円形ドーム上部を外すと、ネジが現れます。

 このドームが実に外しにくい。

 もしおやりになる方がいらっしゃいましたら、どうか自己責任で、なおかつ破損しないようにご注意ください。 

 くれぐれも落とさないように。材質劣化があるので、落としたらめちゃくちゃに割れそうです。

 

  この3本のネジを緩めると、ボディが外れます。

 引っかかりがありますので、ボディを割らないように注意してください。

 それから中央のダイカストブロックを外すのですが、この際、ランボードを外さないと取れません。

(写真はダイカストブロックを外した後です。)

 しかしランボードは、結晶化が進んで、カチカチかつ、大変脆くなっているので、広げようとすると破断してしまいます。

 環境問題では、プラスティックは難分解と言われますが、模型の世界ではむしろ逆であり、比較的簡単に結晶化して、脆くなってしまいますね。


 最後になりましたが、ROCOのBR 93.5-12は、元々古い製品です。

 見ての通り、現在でも通用する出来と思いますが、一方では車輪がプラで、また組付けが悪い、見たくれが良くないところがあります。

 もう2023年ですので、そろそろ完全新規製品が欲しいところですね。


2023/8/21 記

 

 

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