ドイツ国鉄 DRG 支線用タンク式蒸気機関車 BR 89.70-75 7462号機 (Fleischmann 4010)

 今回は、日本でも有名なドイツ国鉄DRGの小型タンク機関車 BR 89.70-75を紹介します。

<BR 89.70-75 主要諸元>

 型式:Cn2t、バッファ間距離:8.3/8.591m、運転重量:28.9-31.9t、軸重:10-12t、軸配置:C、動輪径:1,100mm、飽和式二気筒、出力:213kW、ボイラー圧力:12bar、最高速度:40km/h 

 BR 89.70-75は、プロイセン王国邦有鉄道 K. P. St. E.が、開発した小型タンク蒸気機関車 T 3です。 

 T 3は、数多くのメーカーにより、1882年から1,300両以上が製造されました。 

 途中でスチームドームの設置、石炭、水の増加など、要目や形状が変化しています。

 T 3は成功作となり、プロイセン王国邦有鉄道以外でも同型機や類似機が製作されました。


 Wikipedia 独語版 Preußische T 3 によりますと、1,067mm軌間仕様もあり、上武鉄道に納入とありますが、埼玉にあった上武鉄道ではドイツ製機関車の使用はなかったようです。

 日本がT 3を輸入したという記録を見つけることはできませんでしたので、これは何かの間違いでしょう。

 当方このあたり全く分かりません。

 もしご存じの方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。 

 また1920年以降、各社が更新を実施しております。  

 T 3は成功作ではありましたが、それでも同時代のプロイセン機と比べると、生産数は多くはありません。

 やはり小型すぎたのでしょうね。 

 他方、本機は非常に使いやすかったのか、長く使われました。

 ドイツ連邦鉄道 DBでは1963年まで使用されましたが、その後もWerklok(構内機関車)として使用が継続され、のみならず1968年には2両が89 002、003として車籍復帰しました。

 ただし同機は同じ年に引退しました。

 これ以外にも東ドイツ国鉄 DRやポーランド国鉄 PKP、また私鉄や専用線でも活躍し、専用線で使用されていた最後の一台が現役引退したのは、なんと誕生から約80年が経過した1979年でした。

 現在でも動態・静態機が複数存在しています。  

 それで模型の方ですが、模型の世界において、T 3は古くから愛され、数多い製品が製造されてきました。

 中でも最も有名なのは、1964年初回発売のMINITRIXのNゲージで、あくまで私の想像に過ぎませんが、恐らく、世界で最もたくさん作られたNゲージの機関車ではないかと思います。

 日本でも古くから販売されていたので、ご存じの方も多いでしょう。

 Nと比べると、HOの製品はそれほど有名ではなく、量産製品では1960年のFleischmann(初代)、1969年のRöwa/TRIX、1983年のFleischmann(二代目)、そして2005年のMärklin/TRIXくらいしかありません。(年号はすべてバリエーションの初回発売年)

 これらのいずれもが流通量が少なく、Nに比べると、中古もあまり見かけませんね。  

 上記の通り、こちらのFleischmann 4010は1983年初回発売製品です。

 同社の精度が向上し始めた時期ではありますが、まだオーバースケールの時代です。

 実測したことはありませんが、元が小さい機関車なので、相当大きく感じますね。  

  同社らしい、カチッとしたモールドの仕上がりです。

 この感じが好きな方、多いのではないでしょうか?

<各部のディテール> 

 1983年の製品なので、細密感が増しています。

 特にハンドレールに真鍮線を使っているのは、シャープさが出ていいですね。

 同社の標準で動輪も金属製です。

 1980年代の前半では、まだまだプラ輪芯の製品が多く存在しました。 

 アラン式の弁装置もとてもよくできていますね。

 これは少し古いRöwa/TRIXも同様でした。

 ただし、Fleischmannが金属製なのに対し、Röwa/TRIXの弁装置は確かプラだったような。 

 金文字はややかすれていますね。

 どうしても金は剥がれやすくなります。 

 私のは4010としては初期の製品と思われ、カプラーポケットになっていません。

 欧州では一般的なビューゲルタイプに交換する場合、No. 6523を使う必要がありますが、これが実にやりにくいです。

 ともかくカプラーを固定しているピンが抜けないのです。

 繊細な製品が多いので、壊れそうになります。

 私は器用ではないので、この構造はほんと嫌いです。


 No. 6523も入手しにくく、NEM362以前のFleischmann製品の実に大きな欠点と私は思います。

 それにしてもPlofi以前のFLMは、どうしてベーカーを採用していたのでしょうか?

 欧州でのベーカー採用例は他にはなく、またベーカーはビューゲルとは絶対に連結できません。

 なんでこうしたのか、私にはさっぱりわかりません。

ほんと、Fleischmannの蒸機はいいですよね。

 走りの方はスムーズです。

 音も静かですね。  

 独特の手すりもいい感じです。 

 キャブ側のライトは点灯しません。

 後に発売された製品は点灯するのでしょうか?

  私的には、この製品はオーバースケールなのが全てです。

 先にも述べましたように、HOのT 3は模型が少なく、現在生産の可能性のあるものはMärklin/TRIXだけです。

 これらは数が少ないため、入手は難しいのが残念ですね。  

2023/8/19 記  


 

 

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