ドイツ国鉄 DRG 急行旅客用テンダー式蒸気機関車 BR 03.10 1055号機 (Märklin 3089)
今回は、戦前機におけるドイツ急行旅客用蒸機の頂点であったDRG BR 03.10を紹介します。
DRG BR 03.10は、1939年に誕生した流線形をまとった急行用蒸気機関車で、最高速度140km/hを誇りました。
<BR 03.10 主要諸元>
型式:2'C1 'h3、バッファ間距離:23.905m、運転重量:103.2t、軸重:18.4t、軸配置:2C1、動輪径:2,000mm、過熱式三気筒、出力:1,317kW、ボイラー圧力:20bar、最高速度:140km/h
1939年から41年までの間、60輌が製造されました。
BR 03.10はBR 01の軸重軽減型BR 03の後継機として作られました。
BR 01の後継機BR 01.10が生まれたのと同様な経緯で、二気筒が三気筒になり、また1930年代、世界的な流行であった流線形ボディが採用されました。
一部には流線形は鉄道車両程度の速度ではさほど効果がなかったと言われておりますが、Wikiによると、試験的に流線形カバーを取り付けたBR 03 154、196の試験では、高速運転時に空気抵抗を削減でき、有名な高速試験機 BR 05とほぼ同等の流線型カバーを取り付けた03 196号機は最大48%の削減を達成したそうです。
その結果、BR 01.10とBR 03.10には全面カバーが採用されました。
ただし、カバーにより冷却不足が起きたこと、折しも第二次世界大戦の真っただ中であったこともあり、検車時の不都合のため、すぐに足回りのカバーが取り外された形で運転されました。
BR 03.10は1936年に計画され、当初140輌が計画されました。
しかし、第二次世界大戦の勃発により、より必要性の高い貨物機が優先するために、BR 03.10の生産計画は大幅に下方修正されました。
結果的に、1939年から1941年の間、ボルジッヒ、クルップ、クラウス・マファイにより60輌が完成しました。
これらには車番03 1001-1022、03 1043-1060、03 1073-1092が付番されました。
第二次世界大戦により、1輌(1092)が戦災廃車となり、終戦後、ドイツ連邦鉄道 DB に26輌、東ドイツ国鉄 DR に19輌、ポーランド国鉄 PKP に9輌、3輌がソ連に渡りました。
BR 03.10も、同時期に製造された機関車と同様、ボイラーに使われた鋼材St 47Kが極めて短時間で材質劣化してしまう致命的欠陥があり、DB、DRのいずれに継承された機種も新造ボイラーに更新されました。
このあたりは当方の旧記事を参照いただけましたら幸いです。
現在、流線形カバーの残る原形機PKP Pm 3-5 (旧DRG BR 03 1015 ボルジッヒ1940年製) がポーランドのワルシャワ鉄道博物館に保存されています。
以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe 03.10より、引用、参照いたしました。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki DR-Baureihe 03.10によりますと、BR 03.10の流線形原型車のHOの量産品は、古くから発売されているMärklin、そしてFleischmannだけです。
最初に発売されたのがMärklinで1970年、Fleischmannが1981年だそうです。
Fleischmannは保有したことがありませんが、時代からすると1/87になる前のオーバースケールかもしれません。
どちらにしても、もはや骨董と呼べる代物ですが、Märklinは2011年、Fleischmannは2012年に再生産していますね。
欧州製品の寿命の長さには、ほんと驚かされます。
こちらで紹介する3089は1971年の初回発売だそうです。
もう、52年も前の製品なのですね。
<各部のディテール>
機関車のボディはダイカストの一体成型です。
何かごついようにも感じますが、実は21年後の1992年に発売されたBR 03 1056号機(3391)も、基本的には同じ型を使っているようです。
ただし、車体を止めるねじが上部から下部へ移動していますね。
Fleischmannとは異なり、足回りが開いたカバーになっています。クルップ製でしょうか?
当然のことながら、ディテールは細かくないですが、感じは出ています。
防煙板は金属板です。
サビは出てしまっていますが、プラ製とは異なる質感がいいと思います。
ドイツの流線形機は、あまり軽い感じがしないので、重量感のあるメルクリンはいいですね。
足回りは当時のスタンダードです。
走行第一のごついものですが、当時プラ輪芯が幅を利かせていた中で、ダイカスト製の車輪を採用しています。
ギア音は高くなりますが、金属製のギアを含め、私は結構好きです。
この車は騒音がダイカストボディに反響するのでうるさいですが、走り自体はスムーズです。
流石に窓ガラスが黄ばんでいます。
当時としてはシャープな成型ですね。
残念ながら、こちらはいつ頃生産されたかわかりませんが、レタリングもきれいです。
テンダーはプラ製ですが、ROCOの初期製品のような機関車との材質差はそれほど感じません。
銀のラインが所々剥がれてしまっています。
ドイツではライヒスアドラーを正確に再現するのは禁止されているため、漫画チックなデザインになってしまっています。
それにしてもナチス時代には忌避感がとても強いドイツにおいて、なんで1970年にDRG時代のBR 03.10を出せたのでしょうね?
LiliputからもBR 05が出ていましたし。
実はこの車、もう20年以上前に、ある方から譲っていただきました。
ご家族が昔、購入されたそうですが、もう遊ばないとのことで、邪魔だから引き取ってもらえないかとの話でしたが、お邪魔してみると、大量のMレール、信号、パック3個に加え、機関車はBR 003、BR 03.10、EA800と客貨車が少しだけありました。
レールや信号がたくさんありましたので、 恐らく車両はもっとたくさんあったのでしょうね。
見たところ、長い間使われることはなかったようで、段ボールに入れられておりました。
元箱はありませんでしたが、乱雑に入れられていたわけではなかったので、大きな破損はありませんでした。
さっそく走らせたのですが、さすがは昔のメルクリンです。
問題なく走行しました。
この頃のメルクリンは走らせてこそですよね。
うちではCレールで2線/3線の両方が使えますし、メルクリンのアナログパックは常時出してありますので、使ってやろうと思います。
2023/8/23 記
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