げに恐るべし プラの経年劣化、結晶化 その2 ROCO UIC-X 室内灯改造

 ROCOのUIC-Xは、今から約35年前の1980年代末に発売されました。


 この製品は欧州型には珍しく予め、室内灯配線が準備され、中空車輪を用い、台車の両側の集電板を車体側の電極板に接触させることにより集電するKATO製品のような集電機構を採用しています。

 車体側の集電板は前後一体となっているため、ちょうど8輪のうち、片方を4輪、もう片方を4輪で集電します。

 HOやJでは、台車の片側だけ集電に使う例が多いですが、この方式は、全輪から集電しますので、チラつきが抑えられる特徴があります。

 私はこの構造が続いていると思ったのですが、実は初期製品だけであり、UIC-XのDB 緑Rp.4から?、車輪が普通の片絶となりました。

 しかし台車は両側から集電しておりますので、車体側の集電板が前後一体だと、ショートしてしまいます。

 そこで、一体の集電板を切断したようです。

 またこの改良から、集電板からの配線が廃止され、室内灯を使う場合、金属の棒を集電板に押し当てる方式になっています。

 なお、ROCOの説明書では、室内灯を使う際には、中空車輪に交換し、4箇所の集電板に金属棒を4本立てて使うように説明書に記してあります。

 こうすることにより、車体の両側で集電極を分けます。

 なおこの際、金属棒を2本にするか、2本の金属棒を途中で繋げば、前後の台車で反対局を集電することができるので、片絶車輪でも集電が可能になります。

 と言うのは今回、大失敗したからわかったことであり、私は初期の構造のままと思っておりました。 


 それでROCOのUIC-Xですが、分解方法が特殊です。

 説明書通り、まず、ホロと渡り板を外して、屋根を上の図面の方向にずらします。

 この際、上図2の側に爪があるのですが、この爪が必要以上に高くて、屋根が簡単に外れないのです。

 床下やステップを壊さないように、慎重に外します。

 それでもプラの経年劣化・結晶化で、一部欠けてしまう事故も起きてしまいました。

 最後の方では、爪側の屋根を少し浮かし、デザインナイフを差し込んで爪自体を切除してしまうことにしました。

 確かに屋根が緩みやすくもなりますが、破損よりはましです。

 しかし、屋根がずれれば簡単に外れます。

 要は爪の高さが悪いだけで、一般的な爪で引っ掛けてある屋根を外すよりはよほど安全です。

 一般的な方式の場合、爪が折れたり、屋根が傷ついたり、最悪変形することもありますので。

  

 それで、これで室内灯は取り付きます。

 しかし、ROCOの推奨方法である金属棒を立てる方式は、金属棒がゆるゆるなので、室内灯で押さえつけられない場合、集電不良になると想像できます。

 そこで、集電板に配線をはんだ付けしようと、更に車体を分解することにしました。

 ROCOのUIC-Xは何度も分解しておりますので。

 ROCOのUIC-Xは、床板に車体が乗っています。

 そこで、車体から床板を外すことになります。

 車体は床板の10本の爪で止められています。

 通路側の爪がわかりますよね。

 外す際には、プラの爪を折らないように、車体側を広げるようにします。

 で、今回分解したのはつい先日、購入した中古品です。

 Bm 235 品番44746でした。

 とは言っても、塗装の感じからして2000年代に入ってからの最終生産品と思われます。

 ところが、なかなか外れない。

 ROCOのUIC-Xは、床板の溝に車体がはまるようになっており、これで車体が外側へ膨らむのを防ぐのですが、この溝の部分がなかなか外れない。

 そのうち、何かが砕ける感じがしました。

 確認するとなんと、溝の外側の車体部分が割れて無くなっていたのです。

 それも、粉々になったのです。

 これにはまいりました。

 と同時に、プラ(ABS?)の経年劣化、結晶化が相当進んでいると理解しましたので、注意して分解することにしました。


 ところが、ちょっと力を入れたところ、なんと、床板が真っ二つに割れてしまったのです!!

 いや、40年近く、この趣味を嗜んでいますが、こんなひどいのは初めてでした。

 以前のKATOの251系もそうですが、ABSは本当に経年劣化しやすいですね。

 他にもFleischmannの2階建て客車でもひどい目に遭いましたし。

 それにしても、こちらはROCOのBm 234/235でも、新しい製品なんですが。

 ABSも種類によって、劣化速度に差異はあるようです。

 屋根を外す際に一部壊れたのも相当劣化が進んでいました。


 この大失敗により、車体を分解して集電板にはんだ付けするのは断念しました。

 少々危険もあるし、かっこ悪いですが、ポリウレタン銅線を車体の裏側から通して集電することにしました。

 これなら、車体を分解しなくていいので。


 ということで、皆様もABSやスチロール樹脂の経年劣化には十分注意ください。

 なお、破損したBm 235はなんとか修理しました。


 LED室内灯改造記事は、そのうち載せようと思います。


2023/5/8 記



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