史上最大!のジャンク?? DBAG (DB Cargo) BR 232 286-5 (ROCO 63432)

 過日、某所でROCOのDBAG(DB Cargo) BR 232を入手しました。

 ジャンク品という触れ込みです。

 

 

 品番63432。箱には”Digtal Sound"と大書されています。


 まず箱ですが、ご覧のようにヤニで真っ黄色になっていました。

 前の所有者さんは相当なヘビースモーカーさんだったようです。

 私は非喫煙者なので、アルコール除菌シートで拭きましたが、ほとんどきれいになりませんでした。

 私は新品も中古も買ったときに各方向の写真を撮っておきます。

 これは状態を正確に把握するためにとても重要です。

 こうして見ると、まあきれいですね。 

 かなり強いタバコ臭はしますが、箱のようなヤニの付着はないように見えました。

 1位側前面。

 色もきれいですね。

 しかし、ここで大問題発生。

 下部のライトレンズがありません……。

 2位側です。

 台車の密着ブレーキは何かに当たったのか、はたまた箱に入れるときに強くぶつけたのか、曲がっています。

 更に向かって左前面下の小ステップが折れて脱落しています。

 出品説明通り、両運転台の屋根が発泡スチロールの被害を受けています。

  実は当方所有の他の同社のBR 232も、程度こそややましながら、同じこの場所が塗装被害を受けました。

 何か根本的な欠陥があるのでしょうね。

 1位側屋根上の部品に破損がありましたので、これ以上の破損を防ぐために、一旦取り外してから撮影しています。

 車体の裏側はまあきれいです。

 車輪自体からはそれなりに走っているように見えますね。 

 写真下側ホーンが脱落していることには購入前に気づいていました。 

 あと写真にはありませんが、前面手すりなどの添付部品は未開封のようでした。

 

 

 外観確認が済みましたので、次に試運転に進みます。

 

 箱や説明書によると、この車はデジタル機です。

 しかし、アドレスがわからなかったので、まずアナログのパックで試運転を行うことにしました。

 デコーダーを壊さないようにKATOのKC-1(パルス式)ではなく、もっとずっと古いアナログパックを使いました。

 

 

 しかし……、全く動きません。

 デジタル機はノッチを相当振らないと動きませんが、全く反応がないのです。

 もちろんライトも点きません。

 

 何度やってもだめでした。

 

 そこで中身を点検することにしました。

 ROCOのBR 232は裾の爪4箇所で止められているので、分解しにくい同社製品の中では割りと分解しやすいです。

 指で軽く車体を拡げるとすぐにボディが外れました。

 

 すると……、 

 

 な、なんと、デコーダーの影も形もありません!!

 

 もちろんスピーカーも。

 おまけに8ピンの配線がぶった切られています。

 

 これでは逆立ちしたって、絶対に走りません。

 ある程度予想されたことですが、やはりガックリ来ました。

 

 また、ボディを外したときに、なくなっていたライトレンズが出てきました!

 これには大助かりです。

 自作するのは大変ですので。

 一方、なんでレンズが外れたのかもわかりました。

 

 ROCOのBR 232は同社製品の中では廉価版に位置づけられるものであり、通常品と比べると、コストダウンが図られております。

 この製品が発売された1990年代の製品は、前尾灯別々の電球を4個装備しておりますが、BR 232はもっと古い1970年代製品と同様、電球は2個で導光体を用いてそれぞれの前尾灯を点灯させています。

 この導光体は本来、前照灯用2個、尾灯用1個が2式=計6本必要なのですが、こちらには3本しかありませんでした。

 車体下部の前照灯用と尾灯用の導光体は2本が一対となり、一本になっています。

 そしてこの前照灯用と尾灯用の導光体が、ライトレンズを後ろから抑えているのですが、導光体が欠品のため、レンズが抜けてしまったのですね。

 残っていた導光体を取り付けましたが、これでは片側前面の前照灯しか点灯しません。

 そこで、運転手人形の乗っている1位側のみ点灯するように導光体を配置しました。

 2位側は抑えがないのでレンズが抜ける可能性があります。

 

 更に車体を持ち上げたとき、台車が大きく下にずれました。

 これなんですが、思い当たる節がありました。

 ROCO製品には台車ギアボックスのステーで台車が下にずれないようにしているものがあります。

 この部品が壊れていると、こういう現象が起きるんです。

 今まで、BR 151(元を辿れば旧RÖWA製品)で2回、その他でもあったような気がします。

 早速確認しますと、案の定、上写真左側のカバーが壊れていることがわかりました。

 わかりにくいので、カバーを外してみました。

 このように台車ギアボックスのウォームギアカバーの三角形の支え部分が、折れて完全に欠落しています。

 

 普通、この部分が壊れることはありませんが、恐らくですが、ボディを外す際に台車を持って強引に引っ張って折ってしまったのでしょう。

 そう言われてみますと、密着ブレーキの曲がり、1位側前面小ステップ、ホーンの欠損、屋根上部品の破損もわかります。

 

 要はこの車両はあまり大切に扱われていなかったのでしょう。

 もったいないですね。

 あと実物を見られるようであれば、大切にされていなかった中古品は気が付かないような問題が内在していることが多いので、やめておいた方が無難です。

 

 それはともかく、この部分が欠損していても、持ち上げたときに台車が下がるくらいで、走行に関し実害はありません。

 

 ダイカストの台車はダイカストブロックの心皿で受けておりますので。

 でも、台車が下にずれた場合、下手するとユニバーサルジョイントが外れたり、配線が切れる危険があるので、この際、修理することにしました。 

 

 しかし事は簡単ではありません。

 

 欠損部分は単純な形状ゆえ、簡単にプラ板で自作できると思います。

 

 しかし、カバーの厚みが薄くて、接着面積を取れないこと、そしてそもそも材質が軟質材のため接着が難しいのです。

 こんな場所に瞬間接着剤で取り付けてもすぐに取れてしまうでしょう。

 そこで、このような場合の常套手段ですが、母材に穴を開け、真鍮線を通して、プラ板を固定することにしました。


 カバー部品の厚みから0.4mmφを使います。

 本当は、もう少し太い真鍮線の方が強度は出るのですが、この母材の厚みでは、0.4mmくらいが限界です。

 そこで荷重を分散すべく、今回は6個穴を開けました。

 一番下は最も荷重を受けますし、幸いやや幅が広いので真鍮線を2本横に並べてました。

 欠損部分は写真のように2mm厚のプラ板で自作しました。

 この工法で一番肝要なのは、2つの部品の同じ位置に孔を開けることです。

 今回は真鍮線の頭にマジックを塗って、プラ板を押し当てて位置決めをしてから、ピンバイスで6箇所穴を開けました。

 部材を押し込むと、部材は大きなずれもなく、なんとか取り付きました。

 これだけでそれなりの強度を得ることが出来ました。

 

 プラ板を取り付ける際に、抜け防止に瞬間接着剤を使いましたが、この場所は衝撃がかからないわけではないので、あまり効果が望めません。

 気休め程度にはなると思いエポキシ接着剤を併用しました。

 裏側に回ってしまうとギアボックスにはまらなくなるので、注意します。

 なお、エポキシですが、体に良くないので、使用時には溶剤マスク、手袋を装備し、また部屋の換気を行います。

 僅かな量でも注意するに越したことはありませんので。

 カバーが修理できたので取り付けました。(写真右側)

 とは言っても、現物合わせ故、やや支えがやや下に出っ張っており、ダイカストブロックの特記と干渉して台車が回りにくかったので、一度外して高さを削りました。

 今度は大丈夫でした。

 これで台車が下にずれなくなりました。

 こちらの方がわかりやすいかも。

 

 上記のように、デコーダーがありませんので、アナログ仕様にしました。

 そもそも私、デジタルは基本的に卒業ですし。

 そうは言ってもアナログ用8ピンのメクラコネクタを持っておりませんので、0.4mmの真鍮線で、ピン同士を接続しました。

 そう言われてみると、DCCの8ピンのアドレスをまともに調べたのは、初めてかも。

 まずはモーターと線路からのピンを直結し、走行を確認しました。

 その結果、スムーズに走りましたので、今度は電球のピンを接続します。

 アナログの場合、8つのピンのうち、レール1本ごとに、レールからのピン、モーターへのピン、ライトへのピンの合計3つのピンを直結するのですが、一本の真鍮線を3つのピンに通すのは不可能なので、重要な線路とモーターを直結し、その真鍮線にライトの線を接触させるようにしました。

 一度、ライトのピンを間違えてショートしてしまいましたが、入れ替えたところ、電球も問題なく点灯しましたし、ダイオードにも問題はありませんでした。

 ただ、元々がデジタル仕様の電球のためか、在来のパックでは暗めです。

 なお、ライトの線は一度接触不良を起こしたので、はんだ付けしたほうが確実ですね。

 ともあれこれで走行及び、ライトの点灯は確認できました。

 模型鉄道は動いてこそですので、まずは一安心といったところです。

 そこで、ボディを取り付けてとりあえず戦力化しました。

 まずは最悪の事態は免れることが出来ました。

 それで今回紹介したDBAG BR 232ですが、この機関車は元々東ドイツ国鉄 DR のディーゼル機関車BR 132です。

 このBR 132は旧ソ連製の電気式ディーゼル機関車DR BR 130シリーズの一員であり、1970~1987年の間に873両もの多くが製造されました。

 BR 132は、その大半にあたる709両が製造された同シリーズの中心となる機関車です。

 全長:20,820mm、運転重量:約120tの大柄な機体であり、列車用暖房装置を搭載したことによりBR 130に比べ、200mm長くなっています。

 古い機関車ですが、更新を行い、2030年まで使用される予定だそうです。

 なお、ソ連製のこの機関車はドイツでは大量に使用されましたが、他の東欧諸国での使用は少数にとどまりました。

 以上、Wikipedia DR baureihe 130を参照、引用しました。

 DB機とは全く異なる側面形状です。

 背の高い、コルゲートの角張った車体が東欧圏(ソ連圏)を主張していますね。

 液体式が主流のDBとは異なり、DRの本線用DLは電気式が主力でした。

 前面形状。

 いかにも野暮ったい四角い前面は、これまたソ連製ですね。

 へその位置の大型ライトは、降雪の多いロシア機だからでしょうか?

 ドイツ機には見られない特徴ですね。

 こうして見ますとDBAGのV.Rot塗装は思いの外、似合っていますね。

  屋上ファンの数が多いのは電気式だからでしょうか?

  なお2位側ファンは透けているので実感的ですが、中身が見えてしまいます。

 そのために黒いポリシートで塞ぐようになっていることに組み上げてから気づきました。

 上記のようにこの製品は廉価版となっています。

 ROCOの90年代製品の足回りは、ギアボックスがダイカスト製で作られており、下部の蓋はダイカスト製でネジ止めされているのですが、こちらはコストダウンのためか、裏板はプラ製であり、ダイカストのギアボックスの爪にはめ込まれています。

 この下部の蓋は簡単には外れません。

 実は試運転中にゴムタイヤが取れてしまったのですが、この状態ではゴムタイヤを取り付けることが出来ないため、台車から車輪を外す必要があります。

 通常の製品なら鼻歌交じりで裏板の止めネジを回せば簡単に外れるんですが、こいつは実に面倒でした。

 私は説明書に従い、ボディを外し、プラドライバーでプラ製のカバーの爪を壊さないように広げて外しました。

 爪は6本もあり、実に外しにくかったです。

 それにしても安定した走行のためには、ギアの給脂は必須ですので、こんなところはケチらないで、通常の構造にして欲しいものです。

 1位側運転台屋根。

 綿棒でそっと擦ったので、発泡スチロールの害は上の写真よりはすこしましになったのではないでしょうか?

 ファンは一体成型ですが、いい感じですね。


 2位側運転台屋根。

 この製品は2000年代に入ってからのものと思いますが、まだ発泡スチロールの問題が全く改善されていなかったのですね。

 ちなみにROCOの現行製品は、スポンジ+ブリスターになっていますが、経年の保有は大丈夫なのでしょうか?

 破損した屋根上部品も修理して、取り付けました。


 ご覧のように、何箇所も折れてしまっていましたので、瞬間接着剤で固めました。

 微妙な部品ですし、単に折れているだけでなく部材が変形しているので、完全に治すことは出来ませんでした。

 本当は上記と同様、強度アップのために真鍮線を通したいところですが、流石に部材が細すぎるのと、プラの経年劣化(結晶化)により、硬くかつ脆くなっているためです。

 なお、この部品は大変破損しやすく、新品や他社製品でも破損していることが多々あり、現に私も何度も見ております。

 もし購入される際には、十分ご注意下さい。

 

 それで走行ですが、非常にスムーズかつ静かに走ります。

 ただし、定期的なノイズもあるので、もしかしたらギアに難があるのかもしれません。

 まあ、ノッキングしたり、飛び跳ねたりはしないので、ギアが完全に割れているのではないと思いますけど。

 実際に多少の負荷をかけて走らせましたが、普通のBR 232と変わらないように感じました。

 


 ということで、箱はデジタルフルサウンド、中身はアナログの大ジャンクのBR 232の修理記事でした。

 

 今回、こちらの商品説明は、「ジャンク品でデジタル改造してある可能性が高いが、動かないだろう」との触れ込みでした。

 結論から言うと、確かにその通りでしたが、まさかデコーダーが抜かれているとはね。

 とは言うものの、設定価格が安かったので、正直、デジタルはだめなんだろうなとは思っていました。

 よって、先日のBR 41の再起不能重故障のようなとてつもない大ショックはありませんでした。

 

 いずれにしても、所詮ジャンクはジャンクですね。

 根がケチなもので、安いとどうしても飛びついてしまいますが、やはり安物買いの何とやら。

 これからは気をつけなくてはいけませんね。

 反省しきりです。

 まあ修理自体は楽しかったですけどね。

 

 

<追記1>

 もしかしたらと思い、出品者に導光体について聞いた見たところ、探していただくことが出来、その結果、見つかったとの連絡がありました。

 ただしこのシステムからすると、最低価格で売るしか無いということでした。

 この導光体は、本来付属すべきものなので、安価とは言え、どこか釈然としない気持ちがなかったといえば嘘ですが、一般的にこんな導光体は入手できないので、買うことにしました。

 すぐに届きましたが、こんな感じでまさしく不足している3本でした。

 上記のように、導光体は簡単には手に入りそうもないので、正直助かりました。

 このように前面下部のものは2本が一対になっています。

 尾灯用は先端がクリアーレッドで赤く塗られています。

 しかし、下部前照灯用、下部尾灯用、それぞれ同じ形状のはずなのに、結構、形が違いますね。

 さっそく車体に取り付けてみましたが、結構きつくて。

 折れてしまうのではないかとヒヤヒヤものでしたが、なんとか取り付けることが出来ました。

 導光体の電球側には横方向に板が成形されており、この板を屋根裏の縦板に引っ掛けることにより、導光体によりしっかりとライトレンズが押されて、抜け防止になると同時に、明るくなる寸法なのですね。

 取り付け完了後、車体を組んで走らせてみましたが、前尾灯共に点灯を確認しました。

 ただし構造上、またデジタル対応の電球のため明るさは暗いです。

 そのため、電球色LEDへ換装したいのですが、上記のように180°反対方向を照らす必要があるため、工夫が必要な気がします。

 LEDは明るくなる方向が狭いので。

 私のLED化はやるやる詐欺なので、実行までには時間がかかりそうですけどね。

 

<追記2>

 2位側前面運転台下部左側の小ステップの欠損です。

 破断しているのがわかるかと思います。

 どうも、もげて取れたようですね。 

 こちらも箱に入れる際にぶつけたんじゃないでしょうか?

 この形状でしたらプラ板で自作できそうな気がします。

 

 

<追記3>

 実はこの原稿、書き終えたところで全部消えてしまいました。

 Bloggerって自動保存なのですが、操作ミスで修正前のものをコピペしてしまったみたいで、初期の原稿が自動保存されてしまったようです。

 数時間の苦労が水の泡と消えました。

 自動保存は前のバージョンには戻れないので、どうしようもありません。

 こんなところもBloggerが不人気な理由でしょうね。

 Web検索によると同様のトラブルは多いようですし。

 こんなの、「自動保存なし」の機能を追加するだけの話なのですけどね。

 MSもそうですが、IT企業は自らの過ちを絶対に認めないから、改善はしないでしょう。

 

2023/3/2 記 


 

↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。

db103rheingold.web.fc2.com

 

↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。

是非ご覧になってください。

人気の投稿