実はいろいろあったんです……HOが1/87に統一されるまで
2/24の当方の記事において、異なる主題が2つ含まれておりました。
周囲に対し、常日頃から、わかり易い文章を心がけるように話しているのに、当の本人がわかりにくい記事を書いているのは大いに問題です。
よって、主題の異なる後段の記事をこちらに独立させた次第です。
よろしくお願いします。
<はじめに・注意事項>
前回同様です。
あくまで私個人のものであり、どなた様に強制するつもりもなければ、賛成していただくつもりも皆目ありません。
私の中では正しいと思っていますが、他の方にはそうでない可能性が高いです。
現状認識も含め、模型鉄道界において、常に異端の位置にあるDB103の偏った考えです。
一方、個人の考えは尊重すべきであり、好みに起因する不毛な正誤論争をする気持ちは、これっぱかしもありませんので、本稿については指摘も反論もお受けしません。
こんな意見もあるんだな、くらいの軽い気持ちで読み流していただくようにお願いします。
そこを受け入れてくださる方のみ、お進み下さい。
そうでない方は不快な思いをする可能性がありますので、誠にお手数ですが、ブラウザバックをお願いします。
前回の続きとなりますが、JがHOでないと言うと、この手の論争好きな人が、やたら古い資料を引っ掻き回して自己を正当化しようとしますよね。
誠にご苦労さまです。
でも、2023年現在、アメリカ及びイギリスを除く欧州で製造されているHOと称される模型鉄道は、やむをえざるごく少数の例外を除き、標準軌、狭軌のいずれもが、全て1/87で設計されております。
今まで書いてきましたように、現実の世の中と同様、模型鉄道の世界も、種々の論争や試行錯誤があり、常に変化してきました。
欧州においては、3.5mmスケールであるはずのHOでさえ、標準軌を16.5mmにすることは決まったものの、車体の縮尺には差異がありました。
私が知るごく狭い範囲でも、少なくとも1980年代初期まで、
1/87:ADE、メルクリン、レーヴァ=ROCO、Liliput、TAB
大きめ:1/80~1/85くらい:Rivarossi、HAG、Fleischmann、Sommerferdt、一部のTRIX、AS(フランス)
小さめ:Jouefや初期のLima
のように統一されておりませんでした。
これまた百聞は一見にしかず。
手持ちをいろいろ調べてみましたので、実際に見比べて下さい。
ただし、当方の乏しいコレクションですので、全く同じ車両がない場合が殆どでした。
て言うか、縮尺が大きめなのは気になるので、更新しちゃうんですよね。
それで、まず欧州勢で1/87を最後に受け入れたHAGから。
左:旧来のシリーズRe 4/4 I (Re410) 10043号機右:New Generationシリーズ (1/87) Re 4/4 II (Re 420) 11357号機
左が明らかに大きいのがわかりますよね。
写真の関係で正確に写っていないですが、Re 4/4 Iが大きいことはわかると思います。実車はRe 4/4 IIの方が、510mmも長いんですけどね。
側面でもやはりRe 4/4 Iの方が高いです。
次にBLS Ae 4/4の比較。
ちなみにこのAe 4/4はHAGではなく、スイスの少量生産メーカーEMAGのものです。
とは言いましても、この製品はHAGがまだAe 4/4を発売していない時代に、同社のAe 8/8を切り継いで製作したものです。
そんなこともあり、比較対象はROCOのAe 8/8を使いました。
ROCOからはBLS Ae 4/4も発売されておりますが、持っておりません。
右:EMAG BLS Ae 4/4 257左:ROCO Ae 8/8 274
幅と高さがだいぶ違うのがわかると思います。
上から見た図。幅の違いがわかると思います。
比較とは関係ないですが、HAG製品は、屋根のモニターにメッシュを使っているんですが、効果的ですね。
いずれにしても、HAGを最後に、欧州型の新規開発は1/87に切り替えられました。
続いて、Rivarossiです。
同社の古い製品はオーバースケールで有名ですが、たまたま同じ車両を持っていたので、メルクリンのBR 118との比較を行います。
こうしてみると、意外や意外、車幅にはほとんど差異がありません。
ただし、Rivarossiの方が明らかに背が高い分、大きく見えます。
また端梁から車体の高さが明らかにRivarossiの方が高く、ボディ下端には両者で相当大きな差異があります。
ただし、実車の写真もそのように見えるものもあり、メルクリンの方が低い感じですね。
側面写真の差異は、他のアイテムと比べると小さいです。
ややRivarossiが長い程度でしょうか?
レンズの魚眼効果のため、上のRivarossiの方が大きく見えますね。
実際、大きさの差異は全高方向へ大きいためのように思われます。
連結してみますとやはり全高方向に大きく食い違っています。
上からでは存外差異はありませんが、やはりRivarossiの方が長いです。
次に同社製品で更に古いSNCFの231E13を調べました。
残念ながら、フランス製の蒸機は他に持っていないので、同じパシ機のDB BR 01 Umbauに登場いただきました。
さて、大きなことで知られる昔のRivarossiですが、前面を見る限りでは差異がないと言うか、BR 01 Umbauの方が幅広に見えますね。
しかし長さはこれだけの大きな差異があります。
ちなみに実物ではBR 01の方が500mm長いです。
続いてTRIXです。
これは同一車種があったので、比較してみようと思います。
両者共にDB BR 18.6 (バイエルン S 3/6のボイラー更新、性能向上形)です。
前面でも大部差がありますね。
キハ58の時と同様、側面からの比較です。
キハ58よりは差異がわかりますが、
前端部を合わせて、
後端部にはこれだけの差異がありました。
TRIXのBR 18.6は、同時期の同社のBR 01の足回りをそっくり転用したものと思われますので、差異は当然なのですが、これを見るととても同じ規格の車両としては扱えないですね。
つづいてFleischmannです。
FS のE 428で比較してみました。
全く形状は異なりますが、左はRivarossiの新しい1/87規格のE 428です。
同社からはオーバースケールのE 428も発売されておりました。
こちらが一次形で、Fleischmannは三次形になります。
車幅、車高共に大分差異があります。
Fleischmannの特徴として、全長もさることながら、車幅が広いことがわかると思います。
<おまけ
以前掲載した写真ですが、FleischmannのBR 103とROCOの比較。
FleischmannのBR 103は現在持っておりませんので、昔の写真で代えさせていただきます。
これを見て明らかなのは、FS E 428と同様、Fleischmannは車幅が広いということです。
計測値ではROCOに比べ、1.6mm幅が広いのですが、並べてみると明らかな差異に見えます。
また背が高いのも、Fleischmannが1/87に見えない理由でしょう。
これは客車と連結してみるとよくわかります。
あとFleischmannは、バッファの間隔が明らかに広がりすぎていて、またレール踏面から高すぎため、腰高感を強調してしまっており、実車のイメージとかけ離れていますね。
更に前面下部の前照灯同士の間隔も、開き過ぎのように感じます。
もっともこのあたりは、BR 103の正確な図面を持ち合わせておりませんので、あくまで見た感じの話ですが。
BR 103はもっとも形態把握の難しい機関車と言われます。
こうしてみると、傑作として名高いFleischmannですが、前面の曲率がスムーズではなく、妙に絞られていたりして、似てないですね。
個人的にはROCOの前面の方が、曲線が連続化してきれいに見えます。
Fleischmannの車幅が広いことはこの写真からも明らかです。
またそれにより、上から見た際の運転台前面の曲率に差異があり、そのためFleischmannの前面がイマイチに見えるのかもしれません。
いずれにしても、僅か1.5mmとは言え、大変な差異であることはおわかりいただけるかと存じます。
<全体のまとめ>
以上、欧州型HOにおいて、過去に1/87ではない模型が実際に作られていたということはおわかりいただけたと思います。
しかしながら、1980年代にはHOは1/87であるという認識で統一化され、消滅したメーカー以外は、完全新規製品を1/87で発売するようになりました。
メルクリンのスパニッシュ・ブレトリや、ヴュルテンベルク クラスIII エスリンゲンのように、モーターが入らないため、仕方なく1/87よりも大きな縮尺を採用している僅かな例はありますが、そういう極めて少数の例外を除き、全ての量産メーカーがHOの模型を1/87で設計・製作・販売しているのです。
(広軌のスペインのメーカーも、軌間はノンスケールながら、車体は1/87を採用しております。)
実際、もっとも遅れたスイスのHAGにおいても、約1/84の製品は上記のRe 4/4 Iが最後となり、1980年代末には、1/87のNew Generationシリーズに切り替えられました。
誰が何と言おうとも、これが欧州の現実です。
もう40年も前に世界の趨勢は決まっているのです。
いずれにしても、2、3年前の話ではないのです。
これは冷厳な事実であり、認めないわけには行きません。
従いまして、個人的には今更、100年前のことを蒸し返しても、全く意味は無いと思います。
何故ならば、1930年代に誕生した決まり事は、その後に十分検討や試行錯誤が行われ、修正を行った結果であり、日本以外の全ての国がHO=1/87を採用しておりますので。
そして今後、HO=1/87という基準は不変だと思われます。
何故ならば、見直す必要がありませんので。
2023/2/25 記
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