今どき1,540円!! HOj (1/87 軌間12mm) ワム50000キットの組み立て IMON その1

 このたび、一念発起して、長年積みプラになっていたHOjのワム50000(IMON製)を組み始めました。

 欧州型HOがメインで、HOmや、HOeもたしなんでいる私にとって、あるべき日本型の姿は1/87 12mmです。

 スケールモデルです。

 やはり比較するためには、最も重要な指標である縮尺が同じでなければなりません。

 模型鉄道として考えたとき、HOjという思想、規格にはおよそ問題となる事は何一つありません。

 当たり前のことですが、全てがスケールですので、いろいろ考える必要がありません。

 何と言っても、正しいシルエットが得られ、また当初日本に狭軌がもたらされた最大の理由である急曲線対応にも優れます。


 そんないいことずくめのHOjの最大、かつ私にとって最悪の難点はただ一つ。

 具体的・定量的に見たとき最も正しい規格なのに、どういうわけか、日本では極めて特殊な位置づけのジャンルになっており、私のようなものには全く手も足も出ない価格帯の製品しか存在しないことです。

 いくら正しい規格であっても、実際に買えないものは趣味とはなり得ません。

 と言うことで、その思想には大いに共鳴しつつ、手を出せない状態が現在まで続いております。

 さて、今でこそ富裕層向けの超高級モデルしかないHOjですが、産声を上げた1980年代の後半に戻ってみますと、もちろんその萌芽はありましたが、決してそれだけということもまたありませんでした。

 当時、この新たなジャンルに挑んでいたのは、珊瑚模型店、乗工社、熊田貿易とプレスアイゼンバーンでしたが、金属製品のみだった前三社とは異なり、プレスは金属製の超高級製品 C62、EF58と並んで、流山のサドルタンクとプラ製の貨車キットを出しておりました。

 とれいん1985年11月号の広告から。

 37年前の価格ですよ!! 今だったら50万円以上になるのでしょうか?

 しかしその割には全部で200両も作っているのですね。

 流山のサドルタンクは、当時15,800円という決して安価な製品ではありませんでしたが、それでも機関車のバラキットとしては安い方であり、ブラスではなく、確かマルチな素材だったと記憶しております。

 他方、貨車のプラキットは当時の日本の模型鉄道界においては画期的な製品でした。

 流山はHOjを安く出しているあたり、なんとか普及しようという意気込みが感じられますね。

 この頃、日本の模型鉄道界にはプラアレルギーという、一部業界の利害を色濃く反映した、今から考えると理解しがたい害毒に侵されておりました。

 その一方、16番の運転会などでは、まだまだ玩具じみたカツミやエンドウの貨車が幅を利かせていたのです。

 プレスの貨車キットは、そんな悪弊だらけの日本の模型鉄道界に殴り込みをかけたわけです。

 しかし……、今から40年近く前のことです。

 プラ製というだけではなく、HOjという当時でもマイナーな存在ゆえ、それほど受け入れられずに終わりました。

 かくいう私も、とれいん誌の広告で見ておりましたが、当時の私は、日本の模型界に反発して、欧州型をはじめた経緯もあり、あまり気にかけませんでした。

 しかし、何度も言いますが、このずっと以前よりアメリカ輸出を大きな生業としていたKATOが16番ではなくHOjに出ていたら、日本の模型鉄道は変わったかもしれません。

 それは暴言かもしれません。

 ですが、前回の記事通り、誰が1960年代後半にNが16番に完全に取って代わると思ったでしょうか?

 プラアレルギー真っただ中の1980年頃、誰が16番の主力がプラ製品になると思ったでしょうか?

 さらに言うならばほぼ同じ時代、1/100の客車が全盛時代の欧州で、誰がフルスケールが世界を制すと思ったでしょうか。

 歴史なんか案外、何気ないことがきっかけとなって大きく変わることもあれば、全く変わらないことだってあるのです。 

 話を戻しまして、それから約35年が経過した今、HOjの状況は上記の通りです。

 こんなに時間が経過しているのに、あくまで私個人にとってですが、悪い方向へとしか行かない。

 これでは確かに私が欧州型へ傾倒するわけです。


 ……ではありません。

 捨てる神あればまた拾う神あり。

 こんな私でも買えるHOjが2022年の日本に、2種類だけあったのです。


 今回はその中の一つである、IMON製のワム50000を紹介します。

 と言いましても、実はこの製品、もう8年も前に記事にしていました。

 今回、思い立ち、製作してみることとしました。


 まず、パーツですが、車体と下周りのランナー、計3枚からなっています。

 付属部品は金属製の軸受けと、プレーン軸の車輪、取付ねじが含まれています。

 後ほど理由を記しますが、この一体式の軸受はとてもいいんです!

 ホビーモデルの16番の貨車キットには車輪が含まれていないので、お得感があります。

 なお、本キットには展示用の動作しないカプラーが含まれていますので、走行させる方はカプラー、インレタが必要になります。

 なお、このインレタには注意が必要です。(後述)


 以上、ここまで含まれたお値段は……、なんと税込み1,540円!

 これは安いです。

 今どきNの貨車キットだってもっとずっと高いでしょう。


 実はこのキット、上記のプレスアイゼンバーンの4輌セットの一両なのです。

 このキット自体は1980年代後半の発売だったと記憶しております。

 そしてそのお値段は、上記の通り、4両5,800円!

 IMONのワム50000はほぼ当時のままの価格です。

 これはすごいことです。

 本来、プラ製品は一度の生産で金型等の固定費を償却する各設定になっているはずですが、実際、プラモデルを見ますと、再生産のたびに値段が上がっていることも多く、同時期に発売された製品でも現在の価格は倍以上なんてざらにありますので。

 なお、IMONのからは当時のキットのうち、トラ6000も発売されております。

 ワム50000はÜberkriegと言うべき車で、大量に製造された割には消えるのも早かったので、個人的にはワム23000の戦後版で、大量に製造され、戦後も長く活躍したワム90000を出して欲しかったですね。


 残念ながら当時のキットを見たことがないのでよくわかりませんが、プラ部品は当時のままのように見えます。

 しかし再生産の回数が少ないのか、金型の痛みは少ない方で、写真のようにバリや金型のずれなどもほとんどないようです。


 前置きが長くなりすぎましたが、それでは製作に移ります。


 次回に続く。


2022/11/27 記


 

 

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