写真で見る世界のナロー ドイツ連邦鉄道 DB 狭軌線用ディーゼル機関車 BR 251 902-3号機 (Bemo 1003)

 今回は、ドイツ連邦鉄道 DBの狭軌線用ディーゼル機関車BR 251を紹介します。

 DB BR V 51 (後にBR 251)は、1950年代の終わり頃、ドイツ連邦鉄道 DBが旧式化した狭軌線区の蒸気機関車を合理化すべく開発した狭軌線用のディーゼル機関車です。 

<BR V 51主要諸元>

 軌間:750mm、バッファ間距離:9.81 m、運転重量:39.0 t、軸重:10 t、軸配置:B' B '、連続出力:198kW×2、原動機:MWM TRHS 518A×2、動力伝達:油圧式、最高速度:40km/h、動輪径:850mm、暖房機関なし 

  以前の記事の通り、第二次世界大戦後、発足したドイツ連邦鉄道DBには、標準軌ではない狭軌路線が11箇所継承されました。

 これらは北海の島嶼地帯にあるWangerooge inselbahnを除くと、全て南ドイツのバイエルン、プファルツ、そしてヴュルテンベルクに存在しておりました。

 軌間は1000mm及び750mmで、一路線を除き、全てが非電化、また全ての路線が一路線に機関車数両という小規模なものでした。

 これらの路線では、それぞれ20世紀初頭~1920年代に作られた蒸気機関車が使われておりましたが、老朽化が著しく、また何よりもモータリゼーションの進展により、合理化を迫られることになりました。

 これを受け、DBは1952年より新型のディーゼル機関車を投入します。

 具体的には、V 11(後のV 99)を北海の Wangerooge Inselbahnに計3両、V 29を南のNeustadt-Speyer線へ2両、及びNagold-Altensteig線に1両投入しました。

 しかし、Neustadt-Speyer線は1956年に廃線となったため、2両のV 29は、Regensburg–Wörth間のWalhallabahnへ転籍しています。

 なお、これらは全て1,000mm軌間です。

 時代は更に進み、1960年代の初め、上記以外のバーデン・ヴュルテンベルクのナロー線区では、合計13両の蒸気機関車が使用されておりました。

 非効率で廃止の危険が迫っていたこれら狭軌線区を合理化するため、バーデン・ヴュルテンベルク州はDBに補助金を出すことにしました。

 これにより製作されたのが、こちらで紹介する750mm軌間のBR V 51、そして1000mm軌間のBR V 52です。

 なお、合理化とは言っても本格的なテコ入れではなく、あくまで代替交通手段が整備されるまでのつなぎ的な対策だったようですね。 

 V 51は日本でも知られるグマインダー社で製造されました。

 DL製造に実績を持っていたキールのMak社からライセンスを取得して製造されました。

 完成したV 51は当時新登場したV 100によく似ておりますが、技術的には全く別なものとなっています。

 その最大の差異はエンジンで、1個エンジンのV 100に対し、V 51は小型機ながら2個エンジンを採用しました。

 この理由として、産業用の安価なエンジンを採用することによるコストダウン、部品の入手や保守の容易性に加え、万一、1個が故障しても軽負荷なら運転可能であり、また予備エンジンを1個保有することにより、夜間故障したエンジンを交換できるといったようなメリットがありました。

 その他の設計は狭軌の産業用機関車をベースに行われました。

 もちろん液体変速機を搭載しております。 

 なお、V 51には暖房用の補助機関は搭載されませんでした。

 上記のように、V 51が廃線の危機が迫っていた狭軌線区を抜本的に改善するという目的ではなく、あくまで代替交通手段が整うまでの貨物輸送用の継投策として考えられていたことと、これら狭軌線の旅客営業が、早晩廃止される運命あったからかもしれません。

 しかし実際には廃止最末期の旅客列車を牽引する動画も残されています。

 冬季以外には問題はなかったようですね。

 なお姉妹機のV 52はMosbuch-Mudau線の旅客列車が想定されていたので、暖房機関を搭載しました。 

 本車の設計速度は40km/hと低く抑えられましたが、これは線区の性質によるものであり、実際には80km/h出せるそうです。

 ただし、設計速度の低さから見ての通りの高重心なので、安定性はよくないですね。

 なお、本社の開始牽引力はこの手の機関車としては驚異的な数字だったそうです。 

 上記の通り、V 51は1964年に901-903の3両、V 52は同年に901-902の2両がグマインダーで製造されました。

 V 51 901はFederseebahn、902はヴァルトハウゼン - オーセンハウゼン - ビーベラッハ線、903がBottwartalbahnへ投入され、旧式化した蒸気機関車99.65や99.71を置き換えました。

 投入成績は良好でしたが、それ以上に時代の進展が早く、廃線が相次ぎました。

 結局、901は760mmに改軌の上、1971年にオーストリアのStLBへ売却され、後の2両は最後まで残存したヴァルトハウゼン - オーセンハウゼン線で貨物列車(Rollbock)を牽いて、同線の廃線1983年3月31日まで活躍しました。 

 その後、901はオーストリアの私鉄を渡り歩いた後、750mmへ戻され、1999年にリューゲン島のRüKBに移り、現在も青い塗装で活躍中です。

 こちらで紹介する902は、ヴァルトハウゼン - オーセンハウゼン線の廃線後、同線がオーシェリ保存鉄道となった後も同線で活躍しましたが、保存鉄道の内紛後、個人に売却され、惜しくも2006年に解体されてしまいました。

 903はヴァルトハウゼン - オーセンハウゼン線の廃線後、改軌されてイタリア→スペインの工事会社に売却されました。

 しかしながら2009年に再編されたオーシェリ保存鉄道に戻って来ています。 

 以上、Wikipedia 独語版 DB Baureihe V 51 を引用、参照いたしました。

 それで模型の方ですが、Modellbauwiki にはほとんど記載がなく、掲載されているのもBemoの2種類しかありません。

 よって私の記憶で記載いたしますが、V 51の模型は私が知る限りでは、2種類だけと思います。

 その一つは、LGBのIImです。
 LGBから品番2051/2051S BR 251 902-3が発売されておりました。

 こちらと同じ号機ですね。

 ところでLGBは、2番ゲージの45mmナローですので、軌間1000mmになりますが、何故か軌間750mmのBR 251として発売しております。

 どうして同型機のBR V 52/252にしなかったのかは謎ですね。

 LGBのモデルの発売年は不明ですが、1980年代後半には売っていたような記憶があります。

 現在でもバリエーションモデルが生産されているのではないでしょうか?

 そしてもう片方がこちらのBemo製品です。

 こちらもBemoの最初期製品であり、恐らく1980年代半ばの初回発売ではないでしょうか?

 1984年のカタログには、以下が掲載されています。

 9mm仕様

  1001 V 51 901-903、1002 StLB VL 21、1003 251 901-3、1004 NSK No.4(自由形)

 12mm仕様

  1201 V 52 901-903、1203 252 901-903 1204 NKB V 12 (自由形)

 要は全部の号機が発売されていたのですね。

 その後もリューゲン島鉄道仕様など追加され、現在も時折作られているようです。

 なお、他の製品同様、途中でモーターが変わったり、ゴムタイヤが廃止されていると思いますが、この機種の中古は1980年代製品をごくまれに見かけるだけなので、確認できておりません。

 1980年代前半の製品とは言いましても、さすがはBemo、2022年でも通用する出来だと思います。

  ディテールも申し分ありませんし、塗装やレタリングもとても綺麗です。

 窓ガラスは車体と隙間がないのがすごいです。

 残念ながらBemo製品の悪い点として、こちらの面は発泡スチロールで塗装が傷んでしまっています。

 本機は2個エンジンだと今回記事を書いて初めて知りましたが、エンジンは両方とも前側だったのでしょうかね?

 残念ながらV 51の詳細の資料は入手できませんでした。とは言いましても、Wikiの記載が細かったので、いろいろなことがわかりました。

 雰囲気はV 100やV 90に似ていますね。

 なおライト等の部品は産業用ではなく、DB標準品が使われたそうです。 

 それにしてもやはり750mmは狭いですね。

 なんとも腰高で不安定な印象を強く持ちます。

 手すりは鉄製ですが取り付けていません。

 細くて実感がありますが錆びてしまうのが欠点です。

 ライトが明るいのもBemoの特徴です。


 ところでBemoの初期製品は、マブチのキャラメルモーターを使用しています。

 当時の乗工社のナローと同じです。

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、キャラメルモーターは安価なのはいいですが、三極でトルクが低くともかく低性能でした。

 乗工社のナローなんかとてもスケールスピードでは走りません。

 おまけに集電も最悪で。

 しかし、Bemoはあの低性能なモーターを採用しながら、良い走りをします。

 全輪からの集電なので、途中で止まったりしないですし、モーターの性格上、仕方ないですが、やや高めの騒音ながら低速からスケールスピードまで実感的な走りをします。

 これは適正な減速比とギアの制度や選定によるものなのでしょうね。

 このあたり、1980年代の日欧の模型には天と地の差があったように感じますね。


2022/11/23 記


 

 

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