知られざる DBナロー線と車両について DB V51 901/251 902-3 PC及びFC (Bemo)
ご存知の方は非常に少ないと思いますが、DBには11のナロー路線がありました。
現役の蒸機が運転されているドイツの狭軌路線については、日本では「世界の車窓から」などのTVや雑誌で紹介されることが多く、DBAG本線よりもずっと有名だと言っても過言ではないでしょう。当方の記事を読んでていただいている皆様も、ご存知の方も多いと思います。
ところで、これらは全て、旧東ドイツ地域の路線です。
観光要素が強いとはいえ、共産圏と言う特殊な事情がなければ、蒸機運転の定期路線が今日まで残ることなどあり得なかったでしょう。
さて、同じドイツでも、旧西ドイツ国鉄の狭軌路線に関しては、よほどのマニアでないと知らないのではないでしょうか?
私もその存在を知ったのは25年ほど前のことであり、それもBemoの模型やカタログからでした。
その後、向こうの雑誌に載っていた僅かな記事や写真に心を踊らされたものですが、ドイツ語がほとんどわからないので、その実態は杳として知れないものでした。
その内容をそれなりに知ることが出来たのは、Wikipedia等、Webのおかげであり、ここ数年のこととなります。
さて、ドイツ国鉄の狭軌線ですが、1937年に874kmあった路線は、1949年のDB発足時に以下の11路線114.6kmが継承されました。
2015年現在、1路線6kmが残存しております。
1) Wangerooger Inselbahn 1000mm 唯一現役
北海に浮かぶ島Wangerooge
2) Ludwigshafen-Meckenheim 1000mm
3)Neustadt-Speyer (Weinstrasse) 1000mm
4)Mosbach-Mudau 1000mm
5)Zabergäubahn 750mm
6)Bottwartalbahn 750mm
7)Nagold-Altensteig 1000mm
8)Federseebahn 750mm
9)Öchsle-Bahn Biberach (Riß)-Ochsenhausen 750mm 保存鉄道として存続
10)Ravensburg-Weingarten-Baienfurt 1000mm 唯一の電化線
11)Walhallabahn 1000mm
現在でも運行されているWangeroogeを除くと、全てが南ドイツ(ヴュルテンベルク、バーデン、プファルツ、バイエルン)に存在していたことがわかります。
残念ながら運用形態等、よくわかりませんが、一路線に機関車が数輌と言う、本当の意味での軽鉄道だったようです。
恐らく、一日の運行本数も僅かだったのでしょうね。
特徴的なのは、ほとんどの路線で、最後まで蒸気機関車が使われていたことと、いわゆる標準機の貨車に台車をセットし、狭軌線上を走らせていたこと(Rollbock)でしょうか。
特に末期になると、同じ機関車(099 651-2)が複数路線で見られることから、狭軌線用貨車で輸送していた可能性もあります。
それで、私がこのマイナー極まる存在を知ったのは、上記の通り、Bemoの模型です。
意外に思われる方も多いと思いますが、現在、スイスのRhBを中心とするメーターゲージの車両を精力的に発売しているBemoですが、会社発足当時は全く様相が異なり、地元西ドイツ バーデン・ヴュルテンベルク地方の狭軌線車両が中心でした。
今回はそんなBemoの知られざるDBナロー線の模型を紹介したいと思います。
なお、車両の解説に際しては、バーデン・ヴュルテンベルクのDBのナロー線に関して大変よくまとめられているこちらのHPを全面的に参考にさせていただきました。
この場をお借りして、御礼申し上げます。
<機関車>
○蒸気機関車
まず、一番幅広く使われた蒸気機関車ですが、残念ながら私は模型を所有しておりません。
・BR 99.65-71
ザクセンVIK 750mm
ゲルスドルフ式Eタンク機 原型15両、DRG追加生産型47両が製造された。
このうち原型651号機はDB最後の狭軌線蒸機として1969年まで使用され、唯一のコンピューターナンバー099 651-2を持つ。静態保存。またDRG追加生産型716号機が復活し、動態保存。
Bemoの最初期製品としてホワイトメタル製のキットが発売されていました。現在でもキット及び完成品が少量供給されている模様ですが、かなり高いです。
・BR 99.19
ヴュルテンベルクTs 5
ザクセンVIKのmゲージ版
4輌製造。1967年廃車。193号機保存(スイス・ブロネイ・シャンピー鉄道)
こちらも同様なキットがありました。
・BR 99.63
Bemo社公式写真
ヴュルテンベルクTssd
750mm マレー機で後部台車は外枠式 9輌製造 1969年廃車。633号動態保存(近年ボイラー新規製作で動態復帰)、637号静態保存。
Bemoの少量生産キット及び完成品あり。特異なスタイルで実に欲しいのですが……、非常に高価でとても手が出ません。
○ディーゼル機関車
・V 51/251
750mm 3輌製造。狭軌線区の合理化を図るために1964年に投入されました。
当時の最新鋭機V 100をナローにしたような外観ですね。
それぞれ、901:Federseebahn、902:Oeschle-Bahn、903:Bottwartalbahnに配属され、好成績を収めましたが、暖房用機関がないため、旅客列車を置き換えられない問題もあったようです。しかしながら、それ以上に、DBのナロー線は終焉を迎えており、ろくに使われないうちに全ての路線が廃線になってしまいました。
車歴が新しかったことから、3輌とも売却され、持ち主が何回も変ったものの現在でも901、903の2輌は現役で活躍しているようです。一方、安住の地を見つけたはずの902は、Oeschle-museumBahnの内紛により、個人に売却されたようですが、解体されてしまったとの情報もあります。
Bemoの最初の動力車ですが、非力なキャラメルモーターながら集電とギア比が優れるため、走りは悪くありません。
こちらは4年前に偶然入手しました。ややボディが変形しており、きちんとはまりません。
手摺は別パーツです。
・251 902-3 (Bemo 1003)
約30年前に買いました。CRCで給油したこと、またBemoの通例で発泡スチロールで塗装が侵されてしまいました。
・V 52/252
1000mm 2輌製造。
こちらはV 51の1000mmタイプで、非常によく似ておりますが、Wikipediaによりますと、微妙に違うようですね。
こちらは2台ともMosbach-Mudau線に配属されましたが、V 51と同様、やはり、1971年に廃線になってしまい、その後、売却されました。現在でもイタリアに残っているという情報もありますが、解体されたという情報もあります。
○客貨車
客貨車は、750mm軌間と1000mm軌間で共通設計になっております。
合理的ですね。
なお、これらの型式名は、調べた限りではわかりませんでした。
恐らく、KBi W?○○となると思うのですが。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひご教授お願いします。
なお、三ケタ数字は車番で、StgはStuttgartの略です。
車番は1960年代になって変更されているとの記載が上記のHPにありました。
<客車>
・4枚窓2軸客車 KBi 740 Stg (Bemo 3003)
1911年から38輌が製作され、ヴュルテンベルクのナロー線で使用されました。
現在でも保存車あり。
・4枚窓2軸長客車 KBi 743 Stg (Bemo 3014)
1894年から19輌が製作され、ヴュルテンベルクのナロー線で使用されました。
現在でも保存車あり。
・4枚窓ボギー客車 KB4i 712 Stg (Bemo 3008)
1914年から3輌が製作されました。1910年から作られたNagold-Altenstein線(1000mm)用の750mm版です。
・郵便荷物車 KD Posti 794 Stg (Bemo 3001)
1894年から18輌が製造されました。唯一トイレが装備されていたそうです。バッファ車に改造されたものがあります。
・補助荷物車 KD3i 165 Stg (Bemo 3005)
有蓋車(軽)からの改造で、1輌が作られ、Bottwartalbahnで使用されました。
<貨車>
・3軸有蓋車(重) G 477 Stg (Bemo 2002)
1894年から15輌が作られた10t積みの有蓋車です。2輌がバッファ車に改造されました。
・3軸有蓋車(重) G 480 Stg (Bemo 2002)
上の色違いです。
・バッファ車 G 481 Stg (Bemo 2003)
1950年から4輌が改造により作られました。有蓋車(重)、有蓋車(軽)から各2輌。
・3軸低側無蓋車 X 196 Stg
1894年から2輌が作られました。積載荷重15t。1960年代半ばに廃車になりました。
・Rollbock車 (Bemo 2010)
標準機の車両を狭軌線上へ運ぶ工夫の一つです。
このように使います。最高速度20km/hだからこそ可能なのでしょうね。
バッファ車とは積載された貨車の連結器で連結します。一方、Rokkbock同士は、牽引バーでつなぎます。
実際にこれで走らせて遊ぶことができます。
模型としては、積載された貨車の連結器を使って連結します。
Rollbockには、クレーンで釣り上げるのではなく、上の段に標準軌のレール、下の段に狭軌線レールがある積み込み口で搭載します。
こちらはBemoの1984年のカタログです。
下手な説明よりわかりやすいと思います。 狭軌線用輸送貨車
なお、各車両には、別付け部品が多数含まれますが、取れやすくまた、箱に入らなくなってしまうため取り付けておりません。
これらのモデルは、全て1980年代前半の発売ですが、ご覧のように、当時としては世界最高峰のプラスティック成型技術で製作されており、現在でも十分通用する出来だと思います。
このところあまり生産されていないようですし、残念なことに日本では、あまり見かけることがないモデルと思いますので、この機会に紹介させていただきました。
上記の記事には、間違い等あるかと思いますので、その節はどうかよろしくお願いします。
2015/06/28 記
↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。
↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。
是非ご覧になってください。