過去記事一部修正再掲 いや~ 大変でした SNCF CC 72080 車体分解 (Jouef 857355)

 当方ブログの2015年の古い記事ですが、結構苦労した話ですので、一部加筆、写真を追加して、備忘録として投稿致します。

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 フランス国鉄を代表する本線用電気式DL CC 72000は、いわゆるげんこつ型のDLとして有名な存在です。

 模型の方では、フランス機の宿命か、TAB(見たことがありません)以外は、玩具的なものばかりでした。

 そして1990年代になり、Jouefから完全新規製品が発売されました。

 この製品は、それまでの同社製品(及びフランス製品)とは完全に一線を画する構造で、大変驚かされたものです。

 パッケージの裏側に構造がカラーで印刷されているなど、メーカーの自信がうかがわれます。

 ドイツ/オーストリア製品のような両軸ビューラーモーター、両台車駆動で、かつふーっと吹くと回る屋上ファンなどディテールも豊富で、おまけに初期Jouefの欠点である縮尺も正しかったのです。

 計測したことはありませんが、昔のJouefは1/87よりも少し小さく感じます。

 ただし、非常に高価であり、25年前、確か某有名外国型専門店さんで39,900円?の値段がついていたように、うっすらと記憶しております。

(もうちょっと安かったかもしれませんが、3万円は超えていたような)

 当時、フランス型に興味のあった私は、この製品が欲しくて仕方ありませんでした。

 ですが、中古をスワップミートか、さかつうで見た記憶はありますが、買い逃してからは、どこにもありませんでした。

 見かねた先輩が譲ってくださったのが、こちらです。


 さて、念願かなって入手したCC 72000ですが、残念ながら欠点がいくつかありました。

 その一つはキャブ上のホーンが片側、折れてなくなっていたことです。

 箱の構造が悪いせいだと思いますね。

 これについては、延ばしランナーを加工し、ドリルで穴を開け、それらしく自作しました。

 二つ目は、片側前面の小ナンバーが欠品だったこと。

 これはプリンターで紙に出力したものをプラ板に貼ってはめ込みました。

 以上は何とかなったのですが、この製品はおそらくLEDの嚆矢となったものですが、その点灯回路のせいか、巨大なコンデンサーのせいか、パルス型パックでは暴走してしまいます。

 また、Jouefですから仕方ないのかもしれませんが、少々揺れますね。

 当然のことながら、これらについてはどうにもできませんでした。


 それから幾年月が過ぎ、2012年より開始した身辺整理、デジタル増備用資金獲得のため、こちらも手放すことにしました。

 某オクではほとんど見かけない製品ゆえ、期待しておりました。

 ですが……、フランス型は不人気極まりないようで、全く引き合いがありませんでした。

 CC 72000についてはROCOから新しい製品が出たためかもしれませんね。

 とは言うものの、もともとが高価なものですので、あんまり安くは売れないのです。

 そんなわけでその後もダンボール箱に積まれていました。


 それで今回、思い立ったことがありました。

 欠品となっている小ナンバーですが、ちょうど、昔のTOMIXのNの電機に似ているのです。

 つまり、平板にブロックナンバーがモールドしてあるもので、大きさはNの電機用ナンバープレートと同じくらいです。

 これをシリコーンで型取りして、レジンで複製すれば何とかなるような気がしました。

 その際、車体についたままでも型取りは出来ますが、シリコーンが流れてしまいますし、万一、塗装を痛めたら元も子もありません。

 でも、ナンバーが欠品ということは、はめ込んであるだけの可能性もある。

 ということで、車体を分解して裏側からピンを押して、取れないか挑戦することにしました。

 こいつは以前、動かなくなったときに一度分解しておりますので。

 欧州のプラ製品は概して分解が非常にやりにくいですが、この製品は例外的に二本のボルトで車体を止めてあるという、車体に無理を掛けることなく分解できる私の一番好きな構造です。

 ただし、その割にはこちらは外しにくかったような記憶もありました。


 今回やってみると案の定、真鍮製のボルトはいとも簡単に外れました。

 ですが……、車体が外れません。

 メルクリンのBR 151のようにねじと爪が併用してあるのかと思い、広げてみましたが……、上手く行きません。

 第一、ボディは薄いので無理は禁物です。

 くれぐれもドライバーなんかを隙間に突っ込まないように。

 いつも通り、形紙をボディとダイカストとの隙間に挟んで行きます。

 こいつは車体裾にモールドが沢山あるので、形紙を裾から突っ込むのには細心の注意が必要です。

 悪戦苦闘するうち、なんとか片側が浮きました。

 ともかく壊さないように慎重に進めます。

 そして、作業を開始してから結構経って、ようやく車体が外れました。


 それで、わかりました。

 実は車体が外れにくかったのは、車体の裾に爪があるからではなく、車体前後に取り付けられているLEDの配線が基板から出っ張っており、盛った半田がダイカストシャーシー前後の絶縁用のプラ部品と干渉していたのです!!

 おまけに基板からLEDが浮いていたことも、基板の厚さを増やして車体との干渉の原因となっておりました。

 これで抜けなくなっていたのですね。

 でも、こんなの例えばダイカストシャーシーの前後を1mm短くするだけで難なく解決できますし、そのことが他に悪影響を与える可能性もゼロです。

 要は、アイディアは素晴らしかったのですが、それを実現するだけの実行力に欠けていたんですね。

 今後、整備のため、車体をまた外す可能性がありますので、この際、基板から浮いているLEDをはんだ付けし直して高さを低め、更に基板の裏側のはんだをやすりで削って基板の厚みを減じました。

 両サイドの基板に同じ加工を施した結果、ダイカストシャーシーとの間に隙間を生じる事が出来たので、ボディはメルクリンのように簡単に外れるようになりました。

 これで分解性は格段に向上しました。

 あと、思ったのは真鍮ねじの受け側ですが、プラなんです。

 よっていずれ、ねじ切れてしまうと思いました。

 ちなみにこれ、メルクリンだったら、絶対にBR 151のようにプラボディの受け側にネジを埋め込んでおきますよ。

 あと、ねじの位置が悪く、最初にセットしにくいのも困りますね。

 それで、今回の主目的であるナンバーは予想通り、後ろからピンを押すといとも簡単に外れました。

 ナンバープレート単体の型取りは簡単と思いましたが、他方、部品が小さすぎて気泡を巻き込んでしまうので、注型が難しいと思われたので、結局、ナンバーはそのままにしました。

 また、この機会に構造を確認しましたが、LEDの配線は天井だけで、シャーシー上部の基板の電極と天井の電極が接触すると通電する極めて優れた構造です。(天賞堂方式)

 これなら、配線がないので車体は簡単に外せますので。

 さっそく組み立てましたが、今度はライトがちらついてしまいました。

 上述の電極の接触不良と思って、磨いてみましたが、ほとんど変わりません。

 ライトはちらつきますが、走行自身はぎくしゃくしません。

 この製品は基板にでかいコンデンサーを装備していますので(ESUみたいです)そのせいかもしれませんが、ならなんでライトがちらつくのかわからなかったので、裏側のプラの床板を外して、直接モーターへ給電してやるとちらつきは大幅に改善されます。

 シャーシーに給電しても、同様です。

 ですが、車輪経由だとちらつきます。

 これらの事実から、車輪からの給電が上手く行っていないことが確認できましたので、車輪を磨きましたが、それでもだめ。

 そこで、もう一度車体を外し(この際、上記の加工をやっておいたので、いとも簡単に外れます)て、台車からの集電方法を確認してわかりました。

 この製品の動力の基本設計形態は、絶縁された左右のシャーシーから基板へねじで通電し、モーターとライトへ給電する方式です。

 そして台車も左右で分電されており、それぞれのシャーシーに通電します。

 KATOのNの旧EF65を想像してもらえば、理解できると思います。

 それで、台車とシャーシー間の導通は、KATOのように直接ではなく、ばね付のピンで行っています。

 調べてみると、このピンはなぜか非常に細くて、更には周囲にグリスがついていました。

 そこでグリスを取り除いてしまいますと、ライトのちらつきは大幅に改善されました。

 よって、台車からシャーシーへの導通が悪いことが、ちらつきの原因であることが確認できました。

 本当なら、ROCOのように、台車から直接リード線で給電すればいいと思いますが、ダイカストなのではんだ付けできず難しいのでしょう。

 それならばね付のピンの当たり面を平面にしておくだけで、全然違うような気がします。

 このような集電はLimaにも見られますが、確実性が低いので、私は嫌いです。


 さて、CC 72000のすぐ後に出たJOUEFのCC 6500は、これまたよく出来ていますが、うちのは最初から塗装にやや汚れがあることと、同じくパルスパックが使えないという問題はあるものの、結構気に入っており、譲渡計画から外れておりました。

 ですが、最近走らせていると、ライトが途中で消えてしまうようになりました。

 原因がわからなかったのですが、CC 72000の構造から、天井とシャーシーの接点の導通が悪く、上手く接触していないことが想像できたので、同様に分解して整備することにしました。

 予想通り、CC 72000と全く同じ構造であり、同様に車体が抜けません。

 それでも慎重に少しずつ抜いて行きました。

 車体が外れない原因はCC 72000と全く同じで、LED基板とシャーシーのダイカストの干渉でした。

 同じ対策を講じますが、基板が焼き止めされていて外せない上、基板上に抵抗の配線があるので、殆ど削れませんでした。

 それでも若干、楽になりましたが。

 くだんの接点は案の定でしたので、磨きますと、ライトは嘘のようにきちんとつくようになりました。

 本格的に改良しようとしたら、ダイカストシャーシー先端につけるプラ製の絶縁部品か、シャーシーそのものを削る必要がありそうです。

 今回はそこまでしませんでした。


<追記>

 それから数年が経過し、このときは諦めたナンバーの複製を行いました。

 いつも通り、シリコーンゴムを用いて型取りし、レジンで注型します。

 型取りには定評あるKE-1300Tを使いました。

 わかりにくいと思いますが、真ん中編の穴が母型になります。

 型取りしてから大分時間が経過してからの撮影ですので、やや黄変していますが、ゴム物性には全く変化なく、問題なく使用できると思います。

 残念ながら脱泡機を持ち合わせないため、ご覧のようにどうしても気泡が残ってしまいます。

 特に今回のような微妙な型取りの場合には、型崩れの原因になってしまいますね。

 母型よりも影響が大きいのは樹脂側を脱泡出来ないことです。

 結局、今回もいくつか試作し、一番マトモそうなのを使いました。

 脱形してから、塗装し取り付けました。

 やや黒がはみ出しましたが、昔のプリンタ用紙への印刷よりは、立体感が増した分だけ、前後で差異がなくなったような気がします。

 母型はありますので、レジンを入手したら、また型取りしてみたいです。


2015/2/5 記、2022/9/8 一部追記、修正


 

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