ヴュルテンベルク クラス III エスリンゲン (TRIX 21224)

 今回は王立ヴュルテンベルク邦有鉄道の初期の機関車 クラス III エスリンゲンを紹介します。

<ヴュルテンベルク クラスIII 主要諸元>

 型式:2'B、バッファ間距離:11.836m、運転重量 22.0t、軸配置 2B、動輪径 1,372mm、ボイラー圧力:6.3bar 

 以下、TRIXマニュアルより 出力:約250HP、最高速度 40km/h

 ヴュルテンベルクの鉄道は、ドイツ最初の鉄道バイエルン・ルートヴィヒ鉄道から10年後の1845年に開業しました。

  この鉄道の最初の機関車はアメリカ製(ノリス社製 クラス I 3両、ボールドウィン社製 クラス II 3両)でしたが、鉄道が成功を収めたため、1846年、クラス I を基礎とした改良型クラス IIIが18両、追加発注されました。

  今度はアメリカではなく、J. A. Maffeiへ3両、残り15両は鉄道・機械の起業家であるエミール・ケスラーに発注されました。

  最初の6両はエミール・ケスラーのMaschinenbau-Gesellschaft Karlsruheが納入しましたが、残りは彼が新たに設立したMaschinenfabrik Esslingen(エスリンゲン機械製作会社)が製造しました。

 このクラス IIIは成功を収めたようで、1849年以降、23両が追加生産されています。

 1847年に同社で完成した第一号車は、社名を取って、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道 車両番号 16 「Esslingen」と名付けられました。

 煙室扉上部に車両番号 16が記載されていますね。

 こちらの「エスリンゲン」は二度の大改造を経て、最後にはタンク機関車となったようですが、誕生から64年後の1911年に廃車になっています。

 ずいぶん長い間、使用されたのですね。

 以上、Wikipedia 独語版 Württembergische IIIより、引用、参照いたしました。

 それで模型の方ですが、幅広い製品が供給されている欧州型とは言え、18世紀の車両ともなりますと、ほとんど製品化されておりません。

 僅かにあるのがドイツの1号機関車「Der Adler」ですが、こちらについても長らく1962年のTRIX製品だけであり、2000年にMärklinからスーパーモデルが発売されたくらいです。

 こちらも元々は2000年発売のMärklin 26573 Württemberger Zug um 1859 ですが、どうしてこんな珍しい機種が発売されたかというと、1997年にスイス国鉄150周年を記念した発売されたスイス北部鉄道の1号機関車 D 1/3「Limmat」と形状的に似ているため、部品を転用したからではないかと思います。

 Limmatは上記のエミール・ケスラーに発注され、Maschinenbau-Gesellschaft Karlsruheが製作したのですね。

 しかし、スイス北部鉄道の1号機「Limmat」、2号機「Aare」はアメリカのノリス社機(ヴュルテンベルク クラス I)が元になっており、軸配置 2-Aなので、クラス IIIとは違います。

 このあたり詳しい方のフォローをお願いします。

 なお軸配置2-Aには種々問題があったため、続くスイス北部鉄道の3号機「Der Rhein」、4号機「Reuss」は、こちらのヴュルテンベルク クラス IIIの小改良機となったそうです。

 そんなこともあり、Märklin/TRIXは3号機 「Rhein」を2002年に発売しているようですね。

 写真で見た感じでは、こちらと大変良く似ています。

 ということでこちらは、2000年発売のMärklin製品のTRIX版です。

 特殊な車両ゆえ、機関車単体ではなく、客貨車とのセットで発売されました。

 また追加の貨車セットも出ておりましたが、こちらは入手に至っておりません。

 こちらでは機関車を紹介いたしますが、別な機会に客貨車も紹介したいと思います。

 ご覧のように大変良く出来ています。

 塗色や塗り分けもきれいですね。

 採寸はしておりませんが、ある海外のHPによりますと、こちらは1/80なんだそうです。

 スケールには厳格であって欲しいですが、転用部品等、なかなか難しいのでしょうね。

 さすがにものがものだけにNEM連結器は使えず、Der Adlerと同じ、プラ製の特殊連結器が使われています。

 プラはどうしても経年劣化で結晶化し、脆くなるので、今後が心配ですね。

 後の機関車とは大分違う形態です。

 ボイラーや火室は木のようなものに見えますが、断熱材を表現しているのでしょうか?

 テンダーに薪を積んでいますね。

 石炭炊きになる前の姿なのでしょうか?

 サイドプレートの「ESSLINGEN」もバッチリ決まっています。

 石油ランプなど折れそうで怖いです。

 こちらも同様です。

 石油ランプは点灯します。

 テンダーの手すりやステップも細かいですね。

 TRIXマニュアルよると、本車は自重22t、最高速度40km/hでありながら、機関車はブレーキを装備せず、テンダーだけに装備されたそうです。

 この写真ではテンダーにブレーキが装備されていたことがわかりますね。

 銀の配管は操作レバーでしょうか?

 細かいですね。

 テンダーとの渡り板は可動ですが、私のは軸が折れてしまいました……。

 あまりにも細く修理不能ですので、ゴム系接着剤で仮接着しております。

 なお、運転台がむき出しなので、運転手と火夫のフィギュアが付いています。

 

 走行ですが、この手の車両にしてはよく走ります。

 ただし、パルスパックは使用禁止とあったように記憶しています。

 それで、こちらはもう20年も前に、某オクで入手しました。

 普段ならまず買うことがない車両ですし、客貨車含めて出来もよく満足しておりました。

 しかし……、

 ある時、気づきました。

 上2枚が購入時の状態(撮影は2016年ですが)です。わかりますか?

 そうなんです。

 機関車の前側バンパーが欠品だったのです!!

 これには参りました。

 TRIXは部品を入手しようにも不可能です。第一分売もありません。

 ちなみにこちらがオリジナルです。(海外オークションサイトから)

 どうにもならないので、自作することにしました。

 ところがこの車両、全く資料がないのです。HOの写真もほとんど見つけることが出来ませんでした。

 第一車名も当時はわかりませんでしたし。

 しかし、色々探しているうちに、HOとは違う、より大型の模型の写真を見つけました。

 一例を示します。(1番ゲージ Märklin 55520 海外オークションサイトから)

 これによるとMärklin/TRIXのHOとはバンパーや排障器の形状が違います。

 確証はなかったものの、こちらの方が正しいような気がしたので、これに似せて作りました。

 とは言っても私の工作力ですから、たかが知れていますが。

 見ての通り、HOはバンパーが単純な直方体、1番は上から見ると両端が狭くなっており、ボルト付き。

 排障器も違いますね。

 バンパーはプラの角棒に真鍮線を植え、排障器はアルミ板を折り曲げて、真鍮製のステーを付けました。

 本当は真鍮板を用いてはんだ付けした方が遥かに良くなるでしょうが、あいにく真鍮板を持ち合わせませんでしたので。

 荒が目立ちますが、バンパー無しよりは遥かに良くなったし、オリジナルよりはいい感じと一人悦に入っています。

2002年 入線

2022/9/11 記 

   

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