ドイツ連邦鉄道 DB 旅客用タンク式蒸気機関車 BR 78.0-5 434号機 (Fleischmann 4078)

  今回は、ドイツ連邦鉄道 DBの短距離用 高速旅客用タンク式蒸気機関車 BR 78.0-5を紹介します。

<BR 78 主要諸元>

 型式:2’C2’ h2t、バッファ間距離:14,800mm、運転重量:105.0t、軸重:17.0t、過熱式二気筒、出力:838kW、ボイラー圧:12bar、最高速度:100km/h(前後進とも)、動輪径:1,650mm 

 BR 78.0-5は、もともとプロイセン王国邦有鉄道 K.P.St.E.の過熱式蒸気機関車 T 18型です。

 本機は短距離の急行旅客用として、1908~23年までの間、ドイツ向けに総計534両が製造されました。

 プロイセン王国邦有鉄道の名機の数々を設計したロベルト・ガルベにより設計されました。

 国境や島嶼地域などの短区間での急行運用には、終端駅での転車台による方向転換を省略する必要がありました。

 そこで、彼が設計した、P8(BR 38.10-40)を基本にタンク式とし、また前後対称の走り装置を採用したそうです。 

  本機は好成績を収め、この手の機種としては多い452輌が主としてValcan社にて製造されました。

 また、トルコ国鉄TCDDでも生産されました。

  タンク機は寸づまりな感じを受けるものが多いですが、急行旅客用の本機は、大動輪でかつ前後同じ軸配置なので、なかなかスマートに見えますね。

 第一次世界大戦の戦時賠償で他国に渡った機種もありましたが、DRGには480輌が継承されました。

 第二次世界大戦後、DBには424輌が引き継がれ、1974年までの長きにわたり、主として旅客用として活躍しました。 

  短距離の急行旅客用として作られたBR 78.0-5は、ルール快速などでの活躍が知られますが、特徴的な例としてDBでのWendezug(プッシュプルトレイン)用に改造された機種があります。

 日本流に言えばクハやクハニに分類される制御客車を、BR 78.0-5やBR 23が押すのですが、電機やDLならともかく、蒸機の総括制御(加減弁や逆転機)は非常に難しいです。

 Wiki等によると、Wendezugとは言っても、実際には制御車に乗った機関士(ブレーキ弁だけを操作)が、後補機の機関助手に電話で運転操作を指示していたようですね。

  この運用も面白く、最初は、いわゆるMitteleinstiegswagenの制御車 CPw4ymgf-51や C4ymgf-51に、3軸更新車 AB 3ygとB 3ygやBD 3ygが連結された三連で運用されていたようですが、やがて26.5mのMittleinsteigwagenや、n-Wagenで編成されるようになりました。

 そして牽引機は、BR E 41(BR 141)やDLに変わって行きました。

 現代ではWedezugも減って、BR 425や426のような電車や、気動車に代わっているようで、機関車大国ドイツも様変わりしているようですね。 

 話を戻しますと、上記の通り、BR 78はDBでは1974年12月31日まで使用されました。

 現在でも動態保存機が複数存在します。

 以上、Wikipedia 独語版 Preußische T 18 より引用、参照させていただきました。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、P 8略同系ということもあり、HOでは Liliputがもっとも古く1970年の発売です。

 流石にLiliputは大時代的な出来であり、今の目で見ると劣りますね。

 また、当時のLiliputにはダイカストの質が悪いものがあり、シーズンクラックが生じてダイカストが崩壊してしまうものがありますので、注意して下さい。

 次にMärklinが1980年に発売しましたが、こちらは現在でもバリエーションが生産されている製品であり、この当時としては結構繊細です。

 それでこちらで紹介するFleischmann製品 DB BR 78 434号機は、同社のBR 78.0-5としては一番最初の製品で1989年に発売されました。

 FLMの通例で、邦有鉄道仕様等、多種の製品が発売されています。

 1990年代以降の同社製品だけあって、同時期の製品と同様、大変よく出来ております。 

  配管類や操作バーはプラスティック(ABS?)ですが、ご覧のように大変シャープな出来です。

 HOの蒸気機関車の量産模型は今から30年以上前に、もはや完成形に達していると思います。

 前側のドームにはファンのようなものが見えますが、何でしょうか?

 バックビューも美しいです。

 安全弁、汽笛、弁装置などもとてもシャープです。

 私個人としては成形はこの水準でもう十分だと思います。

 1989年製品なので、ロッドはまだ銀ですね。

 つかみ棒もいい感じです。

 こちらの434号機は丸屋根を装備しています。

 BR 78もBR 38.10-40同様、キャブ上をダブルルーフとして、換気用窓を設置した車が居ますね。

 上記のようにまだロッドや弁装置は明るい色ですが、先輪や動輪共々とてもシャープです。

 排障器も鋭いですね。

 

 70年代製品と比べますと、別成形の配管類が立体感をよく表しております。

 P 8の同型機でありますが、動輪経が100mm違いますし、動輪も均等に配置されております。

 黒染めの金属車輪には大変好感が持てますね。

 キャブの側窓は小さいのですね。 

 レタリングもきれいです。 

 前側ステップがはしご状になっているのはドイツ機では多分、BR 78.0-5だけではないでしょうか?

 ほんとプラとしては頂点の製品と思います。

 Fleischmann製品は写真のように直線、水平、直角がきちんと出ているのが特徴です。

 無機質な蒸気機関車の感じをよく捉えていると思います。

 ROCOやもっとずっと新しいBRAWAの方が、高額で細密ですが、案外、水平や垂直が出てなくてがっかりすることもありますね。

 この当時、下回りの赤は模型各社で明らかに異なりました。

 FLMはもっとも鮮やかな赤、対するROCOはえんじの混じったような濁った色でした。

 動態機などを見ますと、ドイツ蒸機の赤色はとても鮮やかな赤であり、FLMが一番近いように感じます。

 とは言っても、実際には汚れまくって赤なんかわからなくなっている場合が多いのですが。

 邦有鉄道タイプのキャブ。

 リベット類もきれいですね。

 後方からもいい感じです。

 肝心な走行ですが、モーターは同社伝統の三極円形モーターで、当たり外れが非常に大きく、整流子のカーボン汚れが走行に大いに影響しますが、幸いなことに、うちのDB機はまあ軽やかに走ります。

 ただし、円形モーターはDCCとは相性が悪いですし、モーター及びギアノイズがかなり高いので、サウンドには向かないと思います。 

  DB時代の実車の写真を見ると、Umbauwagen(3軸/4軸)、Donnerbuchsen、戦前型ボギー客車、3軸コンパート客車Abteileagen、Mitteleinstiegswagen、n-Wagenなどを牽いたローカル線運用のものが多く見られましたが、中には貨車やUIC-Xなどを牽いているのもありました。 

 模型の世界でも幅広い用途で活躍しそうですね。

 もう20年以上前に購入したものですが、お気に入りの1台です。

 しかし、円形モーターで、かつノイズが高いことからDCCには不向きなのと、それに何よりFleischmannが、HOの生産をやめてしまったこともあり、今後は不透明ですね。

 写真のように、模型鉄道蒸気機関車としては一つの完成形と思いますが、FLMのBR 78は、シャーシーがモーター筐体を兼ねる構造となっており、この構造のままでは一般的な缶モーターやコアレスモーターへの換装は難しいと思われますので。

 最近欧州型の新品には全く疎いのですが、FLMの円形モーターを採用している製品はROCOから発売されているのでしょうか?

1997/11/25 入線

2018/7/6 記

2019/11/30 写真全面更新

2020/5/26 Blogger用に再構成

2022/9/17 写真更新、文章追記

 


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