ドイツ連邦鉄道 DB 急行用2等客車 B 4üm-63 19 387 Hmb (ROCO 44740)
今回は、ドイツでも最も知られた急行用客車 B 4üm-63について紹介します。
DBは戦後、戦前型の客車とは一線を画す、新世代の急行客車の調達を計画しました。
この思想に沿って各種が試作されましたが、標準型の急行客車として製造されたのが、Verwendungsgruppe 53です。
こうして作られたVerwendungsgruppe 53は成功作となり、各型合計約2,000輌もの大量生産がなされました。
その後、強度に関する新しいUIC規定に準拠するように、車体の末端の強度を上げたのがVerwendungsgruppe 61です。
結果的にこの規格がUIC-Xとなりました。
こちらで紹介する B 4üm-63 はその中核となる2等座席車で、バッファ間距離:26.4m、車幅:2.825m、6座席区分客室×12、通路側に補助座席24があります。
本車は1963年から生産が開始され、結果として前身に当たるB 4üm-54の1,225輌を上回る1,848輌もの大量生産が行われました。
なお、Verwendungsgruppe 61ですが、この当時、DBは戦前の客車区分を継承しており、直訳すれば使用グループとなりますが、数字が年式を表すようですので、1961年式グループとでもなるのでしょうか?
なお、Verwendungsgruppe 61をBauart 1962と称している資料もありました。
上記のように、Verwendungsgruppe 61は、Verwendungsgruppe 54の強化型と言えるわけですが、Verwendungsgruppe 54はUIC-Xにはならないのですね。
浅学な私は今回初めて知りました。
なお、ドイツの客車は有名な割には資料が全くと言ってよいほどなく、今回はWikipedia 独語版 UIC-X-Wagen (DB) を全面的に参照いたしました。
Verwendungsgruppe 54は貫通路のドアが4枚折戸になっていますが、Verwendungsgruppe 61は上記のように2枚引戸です。
B 4üm-54とB 4üm-63の外見上、最も大きい差異は、窓幅です。
B 4üm-54は1000mmですが、B 4üm-63は1200mmに広げられています。
各6座席のコンパートメントが12個あります。
緑が禁煙、赤が喫煙室でしょうか?
裏側はこんな感じです。
ROCOのUIC-Xは皆同じなのですが、実車もそうなのかわかりません。
なお、精密なことで有名なADEと比べると大分違いがあります。
DBのUIC-Xは、ミンデンドイツ台車を装備しています。
こちらの台車には大型の車軸発電機が装備されていますね。
車軸発電機はその後、小型化されています。
Ep. IIIは記載がシンプルですね。
裾に「Gruppe 53」と記されていますね。
でもB 4üm-63は、Verwendungsgruppe 61ですよね。
コンパートのドアはメッキされているのがすごいですね。
わかりにくいですが、こちらのミンデンドイツ台車はブレーキシュー付きです。140km/hでの使用が承認されています。
UIC-Xには、160km/h対応のディスクブレーキ仕様や200km/h対応のディスクブレーキ、台車ヨーダンパー付きがあります。
上記のように、こちらはEP. IIIbにあたります。
DBは1968年にコンピューターナンバー化されますので、この姿は長くても、5年程度のごく短い期間となりますね。
ROCOはなぜか一番人気の少ない車種を最初に出すと言われており、UIC-XもEp. IIIbが一番最初に発売されました。
ただし、こちらの製品は印刷がきれいなので、後年の製品と思います。
もっともWebを見る限りでは、ドイツで一番人気のあるのはEp. IIIのようですので、上記の話は日本での噂話かもしれません。
19 387 Hmbとありますが、19 387が車番です。
HmbはHumburgの略語ですが、意味がわかりません。所属区なのでしょうか?
詳しい方、ご教授をお願いします。
本車は140km/hですので、固定式のドアステップですが、高速対応のドアステップは折りたたみ式になっています。
ROCOのB 4üm-63/Bm 234は何度も作られておりますが、台車/ステップの組み合わせがおかしいと思わしきものもあります。
Verwendungsgruppe 61はドイツを代表する客車ですので、古くから各種の製品が作られてきました。
しかし、古い製品が多いこともあり、僅かな例外を除き、ショートスケールばかりでした。
その唯一の例外は、皆様よくご存知のようにADEです。
ADEはいわばオーパーツも言える存在であり、1980年初期の製品ながら、今日のACMEやLSMに匹敵するというか、台車などはいまだの他の追随を許さない驚異的な出来なのですが、反面、今から約40年前においても、1~2万円という当時としても破格の価格であり、それ以上に、ともかく売っておりませんでした。
と言うことで、この世界に入ったばかりの私にとって、フルスケールのドイツ客車は手の届かない存在でした。
ところが確か1989年、ROCOがDBのフルスケールの急行型客車を発売しました。
これが出たときには、初めて手に入るフルスケールだったので嬉しかったです。
しかし、最初はなかなか入手困難で、特に日本の模型屋では2等車が手に入りませんでした。
また、当時私は1/100をそれなりの両数持っており、今のように中古市場が整理されていなかったこともあり、初めて入手したのは今から30年前になります。
それから長い年月をかけて、今では結構な両数になりました。
これから少しずつ紹介して行きたいと思いますが、何しろ情報が少ないので、写真中心の記事になってしまうと思います。
どうかよろしくお願いします。
2021/10/3 入線
2022/2/5 記
2022/2/26 標記説明追記
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