FO Ge 4/4 III 82 Uri (Bemo 1260/2) ジャンク品 再生大作戦

 先日のDB BR V 20 (LIMA)に続き、またまたジャンク品を再整備しました。


※購入時の状態

 このところ30年ぶりにHOmに少し興味が出て、種々物色していたところ、2両のジャンク機関車が出ておりましたので、急ぎ入手してしまいました。

 決して安くはありませんでしたが、まあまあの価格でしたし、何よりもこのところHOmの出物がネットや中古店には殆どありませんので。


※購入時の状態

 しかし、結論から言いますと、2両とも相当程度の悪いジャンク品でした。

 まあ、ジャンクですから当然と言えば当然なのですが。

 正直なところ、競合しそうな人が居たので、説明文や写真をよく見ないで、急いだのが失敗でしたね。

 明らかの出品されている方の持ち物ではなそうでしたから、注意しなくてはならなかったのに。

 まあ、あの状態では中古模型専門店ならば買取1両500~1000円、委託でも3000~5000円でしょうね。

 いずれにしても、模型界の永遠不滅の金言「急いては事を仕損じる、急がば回れ」でした。

 そうすれば、他の方に買われてしまったかもしれませんが、結果から見るとその方が良かったかもしれません。

 とは言っても自分で判断して買ったのですから、出来る部分はなんとかしようと思い、2両のうち、まだ程度が良かったFOのGe 4/4 IIIの再生を行いました。

 というのも、本機ですが、届いてから試走したところ、全く走りません。それも、うんともすんとも言わないんです。

 ということで汚いまま我慢するというわけには行かなくなり、勢い、再生工事が必要となってしまいました。

 ともかく電極を当てても全く無反応です。ライトさえつきません。

 裏返してみると、車輪は相当走っている感じです。おまけに車軸にすごい量の毛埃が付いてました。

 でも、毛埃は模型鉄道の不調の最大の原因の一つで、下手すると壊れます。

 この時点で前の持ち主があまり模型に知識がないか、大切にされていなかったことはよくわかりました。

 となるとこの時点で相当問題があることは長年の経験でわかります。

 これではどうにもならないので、ボディを外してみることにしました。

 しかしこれも一筋縄では行きません。

 FO Ge 4/4 IIIには、ヨーダンパーが取り付けられていますが、片方はボディ、片方はシャーシーの床下部品に接続されています。

 従って、どちらかを外さないとボディが外れないのです。

 ところが何を思ったのか、前の持ち主は両方とも接着してありました。これでボディが外れません。

 最初から整備することを考えなかったのかとも思いますが、これは明らかにメーカーの設計ミスですね。

 こんなもの、ヨーダンパーをボディ下部につける、あるいははめ込むだけであとから取り外せるようにすれば、何ら問題ない話ですので。

 Bemoはこういうところがだめですね。

 ヨーダンパーのボディ側は、がっちり接着してあるように見えましたので、ヨーダンパーと床下部品の接合部を外しましたが、3箇所はうまく外れたものの、案の定、1個のピンが折れてしまいました。

 これで物理的にはボディを外せるようになりましたが、ボディ側のヨーダンパー基部は、相当内側へはみ出しており、簡単には取れません。

 シャーシー自体は4箇所の爪で留められておりますので、KATOのプラドライバーでボディを広げて外すことしました。

 ボディに遊びがなく、シャーシーとの隙間が殆どないため、外すのは本当に冷や汗モノでした。

 特にボディ内側にはみ出しているヨーダンパーが、破損しそうになりましたが、なんとか外れました。

 でも、ヨーダンパー1箇所はボディから外れてしまいました。部品自体が破損しなかったのはラッキーでした。

 ともかく持つところがないので、ボディを外しにくいなんてもんじゃありません。

 何度も床下機器のヨーダンパー取付部を壊しそうになりました。

 それで大事してシャーシーを外して、各部を点検すると原因がわかりました。

 なんと切り替えスイッチが架線側になっていたのです!!

 でもパンタのシューにはそんなに傷がありませんでしたが。

 こんな状態で架線集電を行っていたのでしょうか? さっぱりわかりません。

 それはともかく、切り替えスイッチを線路側にすると、幸いなことにスムーズに動きました。

 まずは不動の自体は免れました。ほっと一安心です。

 さて、改めて写真撮影を行うとこんな感じでした。

 こちらの側面は、左側運転室下白線部に傷が入っているくらいですが……、

 反対側は、Bemoの共通問題である塗装被害が各所に見られました。

 発泡スチロールに含有される溶剤成分により、コルゲート部の塗装が痛み、ボディ各部に発泡スチロールが張り付いてしまっています。

 それでもGe 4/4 IIIはコルゲートなので、まだ助かっていますが。

 それよりも何よりもひどかったのは、車体各部、なかんずく後付部品の取付部に接着剤の付着やはみ出しが顕著でした。さらには周囲に相当広がってしまっています。

 これがゴム系ならいいのですが、どう見ても瞬接なんです。

 私も下手ですが、はっきり言って模型鉄道の完成品には、よほどの例外以外は瞬接を使うことはありません。

 中古模型で瞬接を多用しているのは、大概状態の悪いものが多いです。

 そして今回入手した2点も、まさしくその例外ではありませんでした。

 はっきり言います。

 模型鉄道には絶対に瞬接を使ってはいけません。

 特に初心者の方や腕に自身のない方は絶対にやめて下さい。大切なコレクションを台無しにしてしまいますよ。

 接着剤を使うのなら、Gクリアに限ります。

 シャーシー 公式側

 こちらには大きな破損は破損はありませんでした。

 シャーシー 非公式側

 床下機器の根本が曲がっていることくらいでしょうか?

 写真右にヨーダンパーが残っています。

 あと写真ではわかりませんが、ゴムタイヤが2本とも経年劣化で失われています。

 近年のBemoはゴムタイヤを廃止しているようですが、80年代製品にはゴムタイヤがあったのですね。

 それでゴムタイヤの溝は結構深いので、ゴムタイヤなしではうまく走りません。

 ゴムタイヤの取り付けには車輪を外す必要があります。おまけに上述のように車輪は埃だらけなので、思い切って台車から車輪を外すこととしました。

 ところがこれがまた難儀でした。

 Bemoの車輪は台車枠で留められていますが、この枠はネジ止めではなく台枠にしっかりとはまっているのです。

 これがまたぴったりすぎて実に外しにくいんです。おまけに外す際、台車枠に車輪が干渉しますので、なおさらです。

 台車枠や台枠が壊れるんじゃないかと、またしても冷や汗モノでした。

 ようやく台車枠が外れました。

 80年代のBemoは、現代のものからすると極めて性能の低いマブチのキャラメルモーターを搭載しておりますが、走り自体は驚異的とも言えます。

 少なくとも当時の日本のナロー車両とは天と地の差がありました。この主たる原因の一つは、全8輪からまんべんなく集電していることです。

 そしてもう一つの理由は、十分すぎるほどの減速比です。

 これにより低性能モーターでも、結構な走行性能を引き出しているのです。

 車輪を外し、手持ちのゴムタイヤを取り付けた図。

 Bemoにピッタリ合うゴムタイヤがないので、ROCOを使いましたが、幅が僅かに大きいため、車輪の溝にピッタリとハマりません。

 おかげで走行時揺れてしまいます。

 あと注目すべきは車軸の埃です。

 これでも少し取れていますが、まあひどいこと。

<注意事項>

 Bemoの1980年代製品は、普通の模型鉄道とは異なり、車軸が真鍮製です。普通の鋼製車軸に比べ、強度が遥かに低いので、取り扱いには十分注意して下さい。

 非常に曲がりやすく、無理な力を加えると曲がったり、折れたりしてしまいます。

 上記のゴムタイヤ取り付けも車軸を傷めないように慎重に行いました。

 ともかく無理な力は絶対に禁物です。

 Bemoは同一車種で、9mm/12mmの両方を出しておりましたが、上写真のように同じ部品の車輪幅を変えることにより対応しています。

 よって簡単に改軌できそうに思いますが、とても危険です。特に嵌合している非絶側は。

 当方の過去記事にもありますように、BemoのWismarレールバスの非絶側車輪を改軌しようとして車軸を折ってしまったことがあります。

 これの完全リカバーにはなんと25年もかかりました。

 各部の埃を除去し、再組み立てしました。

 この際、ゴムタイヤの位置がネット情報と異なっていたので、正しいと思われる位置に変更しました。

 また上の写真で1箇所だけ残っていた、破損の危険が高いヨーダンパーを取り外しました。なんとか無事外れました。

 なお、ヨーダンパーですが、写真では一つの部品に見えますが、実際には複数の部品から成っています。

 ヨーダンパーは、この時点ではボディに3箇所取り付いたままになっていました。

 うち1箇所はボディ基部の右側の平の部分が欠けて無くなっていたので、この際プラ板で自作しました。

 それも、ただ接着しただけでは、またすぐに取れてしまうので、薄いプラ板で裏打ちしました。

 車輪もきれいにしてあります。

 なお、シャーシーの床下機器の前後に傷がありました。

 ペンチで咥えたような深い傷でしたので、もしかしたら前の持ち主が架線集電SWを切り替えるためにボディを外す際に、ここを咥えたのかも。

 こんな乱暴なことをするのも、模型をあまり扱ったことのない方でしょうね。

 その割には架線集電ですから妙に知識があるという。

 それはともかくとして、ボディを取り付けることにしました。

 しかし……、ボディに残った3箇所のヨーダンパーが邪魔をして、どうにもシャーシーがはまりません。

 なんとかはめようとしましたが、どうにもなりません。それどころか、苦労して作った自作部品が、シャーシーに引っかかって取れてしまう始末です。

 これではどうにも埒が明かないので、ボディからヨーダンパーを取り外すことにしました。

 ところが2箇所は簡単に外れましたが、1箇所はしっかりと接着してあり、なかなか取れません。無理に剥がせばボディが割れたりしてしまいます。

 時間をかけて慎重に作業した結果、ようやく外れました。本当、ヒヤヒヤの連続ですね。


 公式側

 こうして組み上げ、最後に外しておいたヨーダンパーを取り付けました。

 3箇所は穴にはめるだけですが、1箇所はピンが折れてしまったので、Gクリアで仮接着しました。

 これならば万一の際には外せます。

 また同様な理由でボディには接着しないことにしました。

 ボディを掃除したので、汚い側も多少は見られるようになったでしょ?


 非公式側

 これで走らせましたが、ゴムタイヤが車輪の溝からはみ出している分、揺れますが、Bemo特有のギア音はあるものの快調に走りました。

 これで土日だけ開業する12mm線で運用に入れて、楽しんでおりました。

 結構力もあってなかなかでしたよ。

 

 それで、めでたしめでたし……、とは行きませんでした。

 それはなぜかと言いますと、側面の写真ですが、よく見ると公式側の床下機器が小さいですよね。そして、非公式側が大きいんです。

 どうにも気になったので、Webの写真を漁りますと、床下機器が見事に逆向きなんです。

 こんなにヒヤヒヤものでようやく組み上げたのに……。がっかりしました。

 私は一番上の購入時の状態に戻したんですが。

 原因として、前の持ち主が前後逆につけていた、あるいは床下機器を逆につけたかのいずれかです。

 いずれにしても、直すにはまたボディを外すという苦行が待っています。

 前回は幸運にも無事外れましたが、何しろとても外しにくいのです。今度は壊れてしまうかもしれません。

 しかし、こういうことは気になりだすと止まらないのもまた事実。

 ここは意を決して、正しい方向へ修正することにいたしました。

 ところで今回作業するにあたり困ったのは、資料がないことでした。

 欧州型の模型の写真は、オークションや店のメーカー写真しかないと行っても過言ではなく、分解写真などにはあまりお目にかかることはありません。

 ましてBemoはマイナーな存在なのでしょう。

 FO Ge 4/4 IIIについては、日本のHPに小さな分解後の写真があるだけでした。

 で向きの修正にあたり、何が困ったかと言うと、シャーシーの前後がわかる写真がどこにもないのです。

 悩んだ挙げ句、RhB Ge 4/4 Iの写真を見つけました。

 これによると、架線集電切替SWは2位側にありました。

 しかし分解時には、FO Ge 4/4 IIIの架線集電切替SWは1位側となっていました。

 そこで、状況証拠しかありませんが、前の持ち主が前後逆に取り付けたと断定し、ボディを取り付けることにしました。

 逆向きの下側写真です。

 内側車輪の位置にボディとシャーシーをはめている爪がありますが、ヨーダンパーが邪魔をしているのがよくわかると思います。

 赤枠部分に爪があります。

 ヨーダンパーを外した図。

 これで爪が見えるようになりました。

 ちなみにボディ。

 前後で有意差はありませんので、逆向きにも取り付けられます。

 ご覧のようにフラットな構造で、爪以外は引っかかる場所はないはずですが……、実際にはボディを広げただけではシャーシーはなかなか抜けません。

 でもおかしいですよね。引っかかりがないのに。

 抜けけにくい原因の推定ですが、シャーシー前後端に取り付く運転台部品ではないかと思われます。

 現在のもののような再現はありませんね。

 それはともかく透明なものがわかりますか? これは接着剤のはみ出しです。

 要は接着剤のつけすぎで運転台部品がシャーシーよりはみ出していたのかもしれません。

 また幅部分は窓ガラスを押しますので、たしかに遊びは皆無です。

 その方が実感的でしょうが、分解が極めてやりにくいのは破損の危険があるため、こんな見えないところは隙間を設けるべきと私は思います。

 ともかく組んだシャーシーが外れずに悪戦苦闘しましたが、なんとか外し、上記運転台部品の接着剤を取り除き、再組み立てしました。

 今度は床下の向きは正しいです。

 前の持ち主は、シャーシー逆向きでヨーダンパーを取り付けていましたので、きちんと入るかイマイチ不安でしたが、なんとか入りました。

 また分解があるやもしれないので、はずせるようにしています。


 以上、ほんと疲れましたよ。

 丸3日間かかりました。

 教訓として、やはり「安物買いの……」というやつでしょうかね。

 あと焦らずにやったので重大なミスがなかったのはラッキーでした。

 模型界の永遠不滅の金言「急いては事を仕損じる」を守れたのは良かったと思います。

 決してきれいではありませんが、貴重なHOmの機関車を再生することが出来ました。


2021/11/26 修理完了

 

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