オーストリア連邦鉄道 ÖBB 支線用機関車 Reihe 93 1441 (Liliput 131406)

 今回はオーストリア国鉄 ÖBB で最後まで活躍した蒸気機関車 Rh 93について紹介します。

 Rh 93は戦前のオーストリア連邦鉄道 BBÖが開発した機関車です。

 1920年代に道路交通との競争に勝つため、近代的な支線用蒸機の導入が望まれました。

 これを受け、フロリスドルフ機関車工場で設計された過熱式蒸気機関車がRh 378です。

BBÖ 378 主要諸元

 型式:1’D1’ h2t、バッファ間距離 11.96m、運転重量 66.0t、軸配置 1D1、軸重:不明、動輪径 1,140mm、過熱式二気筒、出力 700馬力、ボイラー圧力:14atm、最高速 60km/h

 優れた設計だったのでしょうか、1927年から試作機を経ないで生産が開始され、1931年まで167輌が製造されました。BBÖ 378.01-167

 また1941年にスロバキア国鉄 SZ向けにバルブギア等一部が異なる25輌が、そして1944年に私鉄WLBが1輌追加されています。

 アンシュルスにより、DR 93.1301-1467となりました。

 戦災により11輌が廃車、28輌が戦時賠償でユーゴスラビアへ渡り、残りの128輌がオーストリア連邦鉄道 ÖBB へ継承されました。

 ÖBB 93.1301-1467 (上記機種の欠番あり) ですが、強力すぎるためÖBB 92.2256と交換されたWLBの機種が93.1468となりました。 (後に93.1500)

 1958年 ÖBBは、うち78両にギースルエゼクター取付け、ボイラーパイプスロットル、更に6両にはマイクロスパークアレスターの取り付けを行いました。

 これらの改善により、約30%の性能向上が見られたそうです。

 生産に伴う形状変化は車輪で、当初鋳造式のディスク車輪でしたが、後にスポークに変わったそうです。

 本機はオーストリア蒸機の最後の機種となりました。

 用途廃止後も1982年まで保管されました。

 現在でも動態機を含め、複数の保存機が残されています。

 さて、Modelbau-Wiki によりますと、こちらのLiliputの製品は、2007年の発売になります。

 Bachmannになってからのものですね。 

 ほぼ同時期に発売されたBR 84によく似ています。

 Modelbau-Wikiの記載ではÖBB、DRなど4種類が発売されたようです。

 見ての通り、大変繊細な出来だと思います。

 オーストリアの蒸機は真っ黒なので、ドイツ型を見慣れた目ではなにか地味ですね。

 金のアクセントがいいと思います。

 1D1機ですが支線機だけあって、小さいです。

 前面形状がドイツ機とは全く違うオーストリア機らしさを醸し出しています。

 これよりも前の世代は煙室扉が2枚でしたが、こちらは丸型の一枚です。

 良い出来だと思いますが、欧州型では常識の範囲かもしれませんね。

 ギースルエゼクター、面白い形です。

 ドイツ型とは全く違う先輪や動輪も面白いですね。

 動輪径が小さいです。

 よって最高速度は60km/hと相当低めです。

 レタリングはきれいですね。

 ドイツの蒸機はシリンダと煙突がほぼ一直線になっていますが、オーストリア機は煙突が前にありますね。

 サイドタンクがすごく高いです。

 キャブ形状も独特ですね。

 日よけがありませんが、支障はなかったのでしょうか?

 はしごや排障器もいい感じです。

 走りの方は、スムーズですが、走行音は高めです。

 また、この当時のLiliputだけに、パルスとの相性があまりよくないです。

 恐らくはコンデンサーの位置が悪いのだと思いますが、詳しくはわかりません。

 本機に関しては、在来型のパックの方が良いかもしれませんね。


 オーストリア機はよくわかりませんが、本機は重要な機種なのでしょう。

 面白いことにLiliputの翌年の2008年にRh 93はROCOからも発売になりました。

 ÖBBオリジナルの蒸機の模型は殆ど出ていないのに、バッティングしてしまったことになります。


2021/10/24 入線 


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