ヴュルテンベルク王国邦有鉄道 K.W.St.E. 有蓋車 Nm 33 874 (ROCO 47050)

 今回は、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道 K.W.St.E. 有蓋車 Nm 33 874について紹介します。

 とは言いましても、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道の車両についての資料は入手できませんでしたので、この車の詳細はわかりませんでしたが、実はこの車は、Verbandsbauart (協会設計貨車) A 2なのです。

 と言うことで、当方のA2シリーズの続きの記事となります。

 話を戻しまして、でも、ちょっと見にはわかりませんよね。

 そうなんです。

 ドイツの貨車についてあまり知らなかったこともありますが、今回、色々調べるまで、私はこの車のことをバイエルンとヴュルテンベルクの固有の有蓋車と思っていました。

 だって全然、A2らしくないんです。

 その理由ですが、まずは下のメルクリンの2000年代製品と見比べてみて下さい。

(数あるG 10の中では、BRAWAが一番良く似ているそうですが、あいにく持ち合わせておりませんので、手持ちの中では似ている方のメルクリンを使います。)

 おわかりになりますよね。

 そう、メルクリンに比べると、ROCOのA2は相当背が高くなっているのです。

 貨物ドアの形なんか縦横比が全く違うのがよくわかりますよね。メルクリンはドアを開閉するために、上が狭くなっているにしてもです。

 シャーシや軸受の形はROCOの方が正確だそうですし、ランプホルダーや各部のディテールも細かく、また塗装やレタリングもきれいですが、私にはこの両者が同じ車両には見えませんでした。

 端面形状も屋根はもう少し曲率が大きいとの記載がありました。

 と言うわけで、似てない原因はわかりました。


 でも……、それって単なるドイツのHPの受け売りですよね。

 今回のケースでは、私としても同じ車両とは思っていなかったので、この際、きちんと測って比較してみることにしました。

 その結果が、こちらです。

 比較しやすいように、左側の赤字が模型の実測データ、右側の黒字は図面に記載されている数値を87で割ったものです。

 何しろ素人採寸ですので、誤差は相当あるものと思っていただいた方が間違いないと思います。

 まず、一番気になっていた高さですが、ROCOは確かに高いですが、実物との差は案外、少なく1mm程度でした。

 でも、見た感じ、異様に高く感じます。

 そこで、一番気になる車体側面の高さを比較することにしました。

 しかし、参照した図面には、踏面から床天面、及び床天面から雨樋下までの寸法しか出ておりません。

 模型の床の天面の位置はわかりませんし、実際には床天面から下の側面の長さを測らないと、側面が高いのかどうか判断できません。

 そこで、車体側面の高さを求めるために、床の厚さ55mmを加え、車体側面下面から雨樋下までを比較してみました。

 その結果、実物に比べ、スケールで約2mm高いことがわかりました。

 2mmと言えば、実物で176mmの差ですので、やはりこれが似ていない最大の原因だったようです。

 このあたり、G 10は案外いい写真がなく、車体下面がどうなっているのか、いまいちよくわからなかったのですが、こちらの復元中の写真を見ますと、フレームの上に55mmの床板が張られていて、フレームから出た小梁に車体の元となる鉄製の骨組みが取り付けられていることがわかります。

 この構造、かつ図面や他の写真を見ますと、骨組みの下枠の下面から床板が飛び出していないように見えたので、床板の下面と下枠の下面は同一であると考えました。

 それからROCOは、レール踏面から車体側面下面までの高さが、実物に比べると0.6mm低く、これに合わせバッファーの高さも同様に0.6mm低くなっておりました。

 これも実車と似ていない要因かもしれませんね。

 なおこの点は、上のメルクリンも全く同じでした。

 ただし、メルクリンのバッファーは何故か高い位置にありましたが。


 一方、屋根の曲率はよくわかりませんでした。

 車幅も僅かに広いです。

 ただし、その他の寸法には、破綻を来すような誤差はないように感じられました。


 ということで、ドイツのHPは概ね正しいことがわかりました。

 なおこの製品は、現地では非常に評判が悪かったらしく、10ユーロ以下で叩き売られていたようです。

 ただし、上記のように部品やフレーム等はよく出来ているので、車体は物置として使って、部品取り用に買った方がいいなんて記事もありました。

 以前も記したように、ドイツの有蓋車で最も作られたG 10は、HOでは多数製品化されておりますが、BRAWA以外には満足できるものがないそうです。

 上のメルクリンも悪くないと思いますが、なぜか単品販売されていないのだとか。そう言えば、うちのもセットです。

 しかし、BRAWAは40ユーロ!もするので、簡単に数を揃えられません。

 そんな中、ROCOのG 10の車体を切断し、外板一枚分短縮するという荒業を披露しているHPがありました。

 これはすごいですが、レタリングが入手できないし、第一、素人が真似できるような代物ではありません。

 G 10は数が必要ですので、ぜひROCOには、BRAWAのようなスーパーディテールでなくて良いので、本製品の部品を転用して、車体を新設計した安価な商品を開発して欲しいです。

 とは言っても難しいのでしょうね。


2003/5/17 入線


 

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