ドイツ国鉄 DRG 旅客用電気機関車 EP 3/6 20104号機 (Märklin 26537)

 今回はドイツの黎明期の電気機関車 EP 3/6 について紹介致します。

 DRG EP 3/6は、元バイエルン王国邦有鉄道 K.Bay.Sts.B. のEP 3形電気機関車です。

<EP 3/6主要諸元>

 バッファ間距離:12,450 mm、運転重量:78.8トン/82.3トン[1]、摩擦質量:43.4t/51.3t[1]、最高速度:時速80kmm、連続出力:56 km / h時 480kW、動輪径:1100 mm

[1]暖房用ボイラー搭載時

 バイエルン王国邦有鉄道は、南部の保養地として知られるベルヒテスガーデンとフライラッシンヒの間の路線を電化しました。

 本機はその際、発注された各種の機関車12両のうちの一つで、1914/1915年に4両が作られました。

 EPですので旅客用ですね。

 機関車の完成は、同線の電化完成にはやや遅れましたが、1914年8月3日から試運転を開始し、走行性能は概ね良好だったようです。

 ただし輸送量の増大に伴い、出力不足が顕著になり、1927年にはミュンヘンへ移動しました。

 更に1930年代の終りにガルミッシュに移動し、同じベルヒテスガーデンとファライラッシンヒ線用に作られたBR E 62(EP 5)と一緒に、終焉までガルミッシュ-ロイテ線で使われたそうです。

 最終的に1941-43年に引退しました。


 なお本機は型式EP 3/6→EP 3となり、DRG発足後にBR E 36となりました。

 当初、暖房用ボイラーを搭載していましたが、第一次世界大戦の影響で、同線の電気運転が一時休止した際に取り外され、病院列車に転用されたようです。

 こちらのメルクリン製品は、ボイラーを撤去した後の姿ですね。

 なお、その後電気運転再開時には、暖房用としてK. Bay. Sts. B. Pt 2/3(DRG BR 70.0-1)が連結されたとの記載がWikipediaにありました。

 面白いのは、2両が廃車後にKlima式除雪車(ラッセル類似形)に改造されたことです。

 こちらのEP 3/6 20104号機は、DRG E 36 04となりましたが、ヘンシェル社によって除雪車 Mu 6452 (974 3027)に改造されました。

 1983年にスクラップになったそうです。

 もう一台の Mu 6453 (974 3032) (元 E36 02)は少し早く、1979年に引退しましたが、1986年にネルトリンゲンのバイエルン鉄道博物館に売却され、現存しています。

 以上、Wikipedia 独語版 Bayerische EP 3 より、引用、参照いたしました。

 それで模型の方ですが、4両しかなかった黎明期の電気機関車なので、量産品ではこちらで紹介するMarklin/TRIX製品が唯一のものです。

 こちらはTRIXの開発によるもので、Modellbau-Wiki によりますと、初回発売は今から36年も前の1985年になります。

 同社の常でK. Bay. Sts. B. EP 3の緑、緑/クリーム、DRG E 36灰色など多数のバリエーションが発売されました。

 最近ではK. Bay. Sts. B. EP 3の緑/クリーム(mfxフルサウンド、暖房ボイラー発煙装置設置可能)が2015年に発売されております。

 こちらのEP 3/6 20104は2008年の発売です。

 以前紹介した”Personenzug Gruppenverwaltung Bayern” の一両です。

 上写真左側の屋根にモニターが付いている部分に、ボイラーが設置されていたようで、他のモデルにはこの部分に煙突がついています。

 こちらは電気暖房対応車なので、塞がれていますね。

 流石に2008年のものなので、初期製品に比べると塗装やレタリングの質が大幅に向上しております。

 車輪も黒染めです。

 ただし、基本的構造は変化していないように感じます。

 いかにも旧TRIXらしく、ごついながらも感じが出たモデルのように思います。

 車輪は初期の分厚いものとは変わっているようですね。

 上記の通り、本機はボイラーを撤去した後の姿になっています。

 運転室後方にボイラーを設置してありました。

 メルクリンのHPには電暖仕様とありましたが、Wikipedia には暖房車として蒸気機関車を連結して使われたとあります。

 恐らくですが、客車の方が電暖対応になっていなかったのでしょうね。

 ただし、同梱の客車のサボにMunchen-Rosenheim-Salzburgとありますので、メルクリンのHPにある1925年頃の仕様というのは、間違っていると思います。

 WikipediaによるとRosenheim-Salzburg間の電化は、1927年完成とありましたので。

 本機はボイラー搭載の関係でパンタが2基偏って設置されているのが変わっています。

 初期から金属車輪でしたが、いい感じです。

 コストアップになってしまいますが、引き物の鐘や汽笛、バッファーはプラに比べますと、真円感や質感に優れますね。


 だいぶ前に見た資料では、DRGの電機の塗装は不明だそうですが、本機は茶色に塗られています。

 模型ではDRGの茶色は、他にもEP 2 (E 32)、EP 5 (E 52)、EG 4/4 (E 70)がありますね。

 古いモデルですが、走りの方は悪くないと思います。

 ただし、ギア駆動なので動作が確実な分、走行音がかなり高いので、サウンド化には向かないかも。

 なお私は、給脂しようと思い、裏板を外したところ車輪が外れてしまい、位相を合わせるのに苦労しました。

 もし整備される際には十分ご注意下さい。

 こちらは2019年に閉店してしまったEGSで買いました。

 まだメルクリンデジタルを始める前のことで、最初見つけ、気になったのですが、他を見ているときに他の方が手にしたのです。

 これはまいったと思ったのですが、後でその方が棚に戻したので入手することが出来ました。

 その後、全く見かけないので、ラッキーでした。

 当時としてもかなり安かったように思います。

 なお、TRIXのEP 3/6ですが、今まで2回中古を見ましたが、そのいずれも程度が相当悪いものでした。

 本機の中古を買われる際には、キャブ下のステップが紛失しやすいようですので、ご注意下さい。

 私が見たものは2回ともステップが1個もなかったので。

 もしかしたら同じものが回っているのかもしれませんね。

 初期の機関車なので、牽かせるものに迷ってしまいますが、面白いスタイルの本機、是非コレクションに加えてみてはいかがでしょうか?


2021/2/6 記

 

 

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