東ドイツ国鉄 DR 重貨物用電気機関車 BR E 95 02号機 (BRAWA 0210)

 今回はドイツ国鉄の初期の大型貨物用電気機関車 BR E 95を紹介します。

 BR E 95は、ドイツ国鉄DRG がシュレージェン地方で使用するために開発した重貨物用電気機関車で、主に石炭列車を牽きました。

<DR BR E 95 主要諸元>

 バッファ間距離:20,900 mm、運転重量:138.5t、軸配置:1'Co + Co1'、軸重:19.8t、連続出力:2,418 kW、最高速度:70 km/h、動輪径:1,400mm


 1927~28年にAEG、SSW(電気部品)により、01-06の6両が作られました。

 1920年代、上シュレージェンの石炭をベルリン、ドレスデン地域へ輸送する主要ルートでるBreslau-Brockau?Liegnitz?Arnsdorf?Gorlitz線が電化されることになり、1924年、ドイツ国鉄 DRGはAEGに対し、このルートで巡航速度45km/hで2,200トンの石炭列車と530トンの旅客列車を運ぶことができる電気機関車の開発を依頼しました。

 機関車は小さな鉄道基地でもメンテナンスが可能なように、それぞれがトランスと制御装置を持ち、分割可能な設計とされました。

 開発の時代からして当初ロッド駆動が検討されましたが、やがて、吊り掛け駆動に変更されました。

 1926年3月、DRGは、吊り掛け駆動式1'Co + Co1 '機関車として、6台の機関車用の機械部品と3台の機関車用の電気部品の配送をAEGに委託しました。

 残りの3両の機関車については、ジーメンス・シュッカートが電気機器を引き継ぎました。

 そして1927年12月から1928年6月までに、6両が製造されました。(E 95 01-06)

 テストの結果は大変良好であり、1929年、すべてのシュレージェンの電気貨物機関車の中で最高の走行距離を記録しました。

 更に運炭列車の減少により、客車列車も牽きました。

 1930年にはDRGの最も強力な電気機関車として、見本市で展示されています。

 このように高性能を発揮したBR E 95でしたが、1933年に、より軽量で強力、かつ構造の簡単なBR E 93 (軸配置Co'Co'、117.6t、2,214kW)が登場したため、それ以上の生産は行われませんでした。

 BR E 95は終戦までずっとシューレンジェン山岳鉄道で使用されました。

 第二次世界大戦の敗戦後、6両全機をソ連が接収しましたが、1952年11月までに東ドイツに戻りました。

 DRは6両のうち3両を復旧し、残りはスペアパーツ源として残しました。

 しかしながら老朽化による故障、DRでは電化が進展しなかったこと、また新型機の充当により、最後の1両E 95 01が1970年10月に引退しました。

 その後、列車暖房用の移動式変圧器として使われていたE 95 02が保存されることになりました。

 本機はDB Museumの保存機であり、2015年にはさらなる修理が行われ、動くようになったそうです。

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 95 より、引用、参照いたしました。

 上記のように、本機はドイツ国鉄がシュレージェン地方の運炭列車用に開発した機種ですが、1車体の大型電機の登場以前、シュレージェン(プロイセン邦有鉄道)では、本機のような2車体、あるいは3車体の大型電機が採用されておりました。 

EG 538 abc- EG 549 abc DRG BR E 91.3 B+B+B ジャック軸付ロッド駆動 1915-21年製造 12両 3車体 1943年までに引退

EG 551/552 ab - EG 569/570 ab DRG BR 90.5 C+C ジャック軸付ロッド駆動 1919-22年製造 10両 2車体 1956年引退

EG 571 ab - EG 579 ab  DRG BR E 92.7 Co+Co 吊り掛け駆動 1923-25年製造 9両 2車体 1962年引退

 これらの電機はアナクロと言うか、大変興味深いスタイルをしておりますので、この機会に見てみるのも面白いと思います。

 これらはDBには引き継がれなかったため、あまり良く知られておりませんし、模型もMetropolitanやWestmodellと言った超高額で、入手が極めて難しいKleinserienしかないのが残念です。

 BR E 95はこれらシュレージェンの複車体電機の集大成といったところでしょうか?

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、全部で6両しか作られず、DBでは使われなかった機関車のためか、HOの量産品はこちらで紹介するBRAWA製品が唯一の存在のようです。

 1998年に初回発売されましたが、同社の常にて、一度の生産量が限られる分、DRGのグレー、茶、DR(DBAG)の保存機仕様など、バリエーションが多数発売されております。

 こちらで紹介するBR E 95 02は、初回発売製品で、東独時代のようです。

 Ep. IIIのようですが、私は今回調べるまで、EP. IIの保存機だとばかり思っていました。

 ご覧のように、近年のBRAWAらしく大変細かいディテールです。

 一方、現在の製品のようなダイカストボディにはなっていません。

 足回りもとても細かいです。

 反面手摺など細かすぎて曲がっているものがあるのはマイナスですね。

 レタリングも美しいですが、先輪上の検査日の印字など細かすぎて見えません。

 パンタも部品数がとても多く、また繊細というか少々貧弱です。

 写真では少し曲がっていますので直しました。折れそうで怖かったです。

 日本製の高級ブラス製品のパンタが、細すぎて曲がってしまうという話をもう20年以上前に聞きましたが、架線集電を旨とする欧州型にこんな繊細で壊れやすいパンタは不要だと思います。

 屋上の碍子も複雑な形状を再現しているようですが、反面壊れやすいです。

 この機種は1997年頃、ある方に個人輸入してあげたことがあるのですが、前面上の緑の碍子が折れてなくなっており、部品を送ってもらったことがありました。

 DB機に比べると表記類は少ないですね。

 軟質プラの足回りや手摺は上記のように曲がりやすいのが欠点です。

 しかし、普通のプラだと折れやすいですし。

 イメージとしては、PRRのGG1を角ばらせたような感じでしょうか。

 Wikiの説明ではBR E 95は分割できるようにトランスや制御装置をそれぞれの車体に装備していたようです。

 もっともそのせいかどうかわかりませんが、本機は2人乗務だったようで、このことも引退を早めたようですね。

 蒸気機関車ばりに視界の狭い運転室窓です。

 ワイパーなどよく出来ていますね。

 こちら側が機関士側になるのでしょうか?

 バタフライスクリーンも薄くていいですが、強度が心配です。

 反対側の窓もこのように再現されているのがすごいです。

 汽笛も真鍮の挽き物なのがいいですね。

 本機はそれぞれの車体にモーターを装備している2個モーター機です。

 走行音はかなり高く、走りは重いですが、実車らしいかもしれません。

 でも、E 77などよりは高速なのですよね。

 ただし、BRAWAなので、車軸ギアの割れが心配です。

 上記のように、ある方に個人輸入してあげたのですが、自分でも欲しくて仕方ありませんでした。

 でも、BRAWAの常でこの機種は高いですし、そもそも売っていません。

 ようやく念願かなって、こちらを入手したのは2006年のことになります。

 もちろん中古ですが、アナログでもなんと26,000円もしました。

 今では買えないですね。


 ようやく手に入れたE 95ですが、昨年、DRGの石炭貨車 OOt ザールブリュッケンを入手したので、牽かせて楽しもうと思います。


2006/12/21 入線


2021/3/3 記

 

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