ドイツ連邦鉄道 DB 中側無蓋車 Omm 32 803 457 (Liliput L221601)
今回はドイツ連邦鉄道 DB の中側無蓋車 Omm 32について紹介します。
DB Omm 32 は、元々ドイツ国鉄DRG が開発した戦時型中側無蓋車 Gattungszeichen (分類記号) Omm Gattungsbezirk (分類都市名) Linz です。
第二次世界大戦前におけるドイツの標準型貨車開発は、大きく分けて、下記の通りになります。
Normalie 1878~1920
プロイセン王国邦有鉄道の下、定められた標準図面。車両のみならず、施設類も定めたもの。他の邦有鉄道でも貨車等に採用した。この標準が後々使われることになった。
der Verbandsbauart 1920~1924
ドイツのすべての邦有鉄道が属していた、Deutschen Staatsbahnwagenverband (DWV)(邦有鉄道協会)による貨車の標準設計
der Austauschbauart 1924~1933
互換設計。Allgemeinen Waggon-Normenausschuss“ (Awana)により、DIN規格による貨車の構成部品の共通化を図った。また貨車の形式を集約した。リベット構造。
der geschweißten Bauart 1933~1945
それまでリベット構造だった貨車が溶接構造になった。
der Kriegsbauart 1942~1945
戦時型。第二次世界大戦の軍事輸送に対応するために作られた貨車。積載重量UPと簡素化、占領地での生産が考慮された。
なお、上記区分はWikipedia Güterwagen-Bauarten-Übersicht bis 1945 によりましたが、これには諸説あります。
また上記は設計区分であり、実際には、Om Königsberg、Gr Kassel等、同じ形状でリベット構造と溶接構造が作られています。
また訳文には多々間違いがあると思いますので、よろしくお願いします。
こちらで紹介するOmm Linz は、上記のうち、溶接構造設計に属す Offener Güterwagen
(無蓋車)であり、戦時の軍事輸送用に開発されました。
よって溶接構造ではなく、戦時型に分類している資料もあります。
それまでの無蓋車は積載荷重が20tでしたが、24.5tと大幅にアップされており、中には25tの積載荷重のものありました。
先日ご紹介したドイツ戦車輸送貨車のブログには、この性能を活かし、三号戦車を搭載している写真が掲載されています。
また、従来4.5mのホイールベースが、有蓋車 Gs Oppelnと同様、6mになりました。
ただし、Oppelnのロングホイールベース化は、最高90km/hの高速化対応ですが、Linzの最高速度はわかりませんでした。
他の無蓋車に比べると側壁が1mと低く、また取り外すことが出来ます。
実際に取り外されて戦車や軍用車両を運んでいる写真が多く残されていますね。
Linzは1937年に開発されましたが、生産開始は1939年からでした。
製作年次で、下部の補強形状が異なります。こちらのモデルは、一般的なトラス形状なので1941-43年製造型と思われます。
Linzには、ハンドブレーキの有無がありました。
ところで分類都市名 Linzですが、Linzはオーストリアの都市です。
1938年3月12日にオーストリアがドイツに併合されたので、採用されたのだと思われ、これ以外にもVillach、Klagenfurtなどが命名されています。
なお、こちらによりますと、生産量は約 25,000輌 (手ブレーキ有・無)、1952年 約 6,000 輌、1939 – 1978年まで使用とあります。
また、1958年より、DBはOmm 32の1,900両に対し、UIC規格の車体へ載せ替える大規模な更新工事を実施しました。(Omm 42)
この改造は下部のトラス構造も一変する、もはや新造と言っていいものであり、Linzの面影は全くありません。
それで模型の方ですが、頼みの綱のModellbau-Wikiには、LiliputのOmm Linzの記載はありませんでした。
私は1997年にドイツから個人輸入しましたので、恐らくその頃に発売された製品と思います。
ダイカストシャーシー、スプリングバッファー装備、別付け部品有の、昔のLiliputとは違う当時としてはレベルの高い製品だったように記憶しています。
なお、部品は取り付けていません。
ただし、実車は側壁がすべて撤去できるのですが、こちらは構造上出来ないのが、残念です。
こちらはEp. 3仕様です。レタリング等も1990年代のレベルになっていますね。
1997/2/27 入線
2021/5/22 記
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