ドイツ連邦鉄道 DB 重貨物用電気機関車 BR E 50 032号機 (ROCO 63711)

 今回は長きに渡り、地味な活躍を続けた重貨物用電気機関車 BR E 50について、紹介します。 

 ドイツ連邦鉄道 DB BR E 50は、戦後DBの技術委員会が決定した標準型電気機関車の一つで、勾配線区での重貨物用機として開発されました。

<BR E 50主要諸元>

 バッファ間距離:19.49m、運転重量:126.0/128.0t*、軸配置:Co'Co '、軸重:21.0t、時間出力:4,500kW、電動機:6基、吊り掛け式駆動(E 50 001-025)、クイル式駆動(E 50 026-194*)、動輪径:1,250mm、最高速度:100km/h

 1957年から1973年までに194両が製造されました。

 その開発の経緯は、Wikipedia 日本語版 「西ドイツ国鉄E10形電気機関車」によりますと、

「ドイツ連邦鉄道の主務部署委員会は、標準化された部品で製作する、二つの基本形式電気機関車の開発を決定した。その形式はE94形機関車に似た6動軸の貨物機関車と、E44形及びスイス製BLS Ae 4/4形の影響を受けた、4動軸の一般機とされた。」

とあります。

 しかしこの6軸機の開発に関する記載はなく、

「(中略)機関車開発時の形式は、1940年代にはE46形とされていたが、設定最高速度が125 km/hから130 km/hに上げられたため、形式はE 10形に変更された。機械部品製造と電気機器のメーカーは、1952年に4両の試作車を製作した。その試作車では連邦鉄道(Bundesbahn-Zentralamt)の要求した性能、例えば動力伝達装置・電気設備・台車等はクリアされていた。しかし試験の結果、多目的機関車とまでは言えなかった。そのためプロジェクトを修正し、急行列車用機関車としてE 10は完成した。本機をもとに、歯車比変更で軽量貨物機関車であるE 40形、軽量中距離列車用機関車であるE 41形、6動軸の重量貨物機関車であるE 50形が生産可能とされた。」

とあります。

 この記載からは、DBはE 10.0を当初、すべての用途に使おうとしたように取れます。

 ドイツ語版のWikipedia DB-Baureihe E 50もほぼ同様な記載であり、6軸機についての記載はなく、BR E 10.0からの発展型という記載になっています。

 一方、Bundesbahn Zeitの記事 ”Bauartunterschiede Baureihe 150”(これは正直すごいです)には、開発の経緯は詳しく触れられておりませんが、「DBの標準形電気機関車計画では、E50シリーズ(1968年から:BR 150)は、特に勾配線区での重貨物列車運用を目的としていた。当時の最先端技術によれば、6軸機しか使用できなかった。」とあります。

 Wikiにも基本形式電気機関車の一つは「E 94に似た6軸機」とありますから、E 50は最初から6軸機として計画され、その実現に際し、E 10.0の運用結果を反映した上で標準化されたと考えた方が良いかも知れませんね。

 いずれにしても、私はドイツ語は全くわかりませんし、詳しいことはわかりませんので、詳しい方のご指導をお願いします。  

 上記、Bundesbahn Zeitの記載では、DBは当初、クイル式に対し自信を持てなかったため、吊り掛け駆動を採用し、26号機以降にクイル式を採用したとありました。

 BR E 50は、それまでの戦前製6軸大型貨物機BR E 94を置き換えました。

 また有名な勾配線区である南部ドイツのGeislingerSteigeとSpessartランプでの後補機としても使われました。

 結果的に1957年から1973年までの16年間、合計194両が製造されました。

 約900両も生産されたBR E 40に比べれば少ないとは言え、少なくない数字と思います。

 1968年からはコンピューターナンバー化により、BR 150となりました。 

 標準型電機の例に漏れず、雨樋の撤去、換気グリル、側面窓、分離式前尾灯など製造途中で形状や仕様が変更になっております。

 また腐食の原因となった雨樋は、初期生産型も後に撤去されています。

 このあたりの記載はBundesbahn Zeit の記事に大変詳しい記載がありますので、ぜひ参照してみてください。

 余談ですが、このような形態を追った資料は日本型では見ますが、ドイツ型では全く見たことがなく、大変貴重なものと思います。  

 しかしながらBR E 50には、時速80km/hを超えると急激に牽引力が低下するという欠点があり、BR 103の貨物版と言えるBR 151が開発されました。

 一方、BR E 50の起動牽引力は438kNと非常に大きく、英語版Wikipediaよると、この数値はネジ式連結器の強度とほぼ同じとありました。

 BR 150は、老朽化、そしてBR 152、BR 185などの軽量、高性能な4軸機の登場により、2003年に引退しました。

 貨物機の宿命で多くが解体される中、091号機がエポックIII仕様、186号機がV.Rot塗装で共にDB Museumの保存機として残っています。

 186号機は、スイスへ乗り入れことができる仕様で、パンタシューが交換され、また無線も装備しているそうです。 

 以上、Wikipedia 日本語版 西ドイツ国鉄E10形電気機関車、独語版 DB-Baureihe E 50、英語版 DB Class E 50Die Bundesbahnzeit より、引用、参照させていただきました。

 ありがとうございました。

 それでBR E 50ですが、地味な貨物機だからでしょうか、模型の方は同じ標準型機であるBR E 10やE 41に比べると、決して多くありませんでした。

 Modellbau-Wiki によりますと、HOでもっとも古いのはTRIXで、1959年だそうです。

 1971年まで作られたこのモデルを私は見たことがありませんが、写真で見る限りでは、大時代的な出来と思います。

 次に発売されたのは、ROCOの初代製品 4140Aです。

 1984年から1989年の間、生産されたこの製品は、雨樋ありで、前尾灯分離となっているタイプ機を模型化しておりますが、正直なところ、あまり良い出来ではありませんでした。

 私も以前持っていましたが、何よりも、ライトが巨大でイメージを壊しているように感じました。実物の2倍くらいあるようにさえ見えたくらいです。

 評判が悪かったのが原因かもしれませんが、得意のバリエーションは、1990年にEp. 3仕様(43584)が一度作られただけです。

 それからしばらく入手難が続き、次に発売されたのは同じROCOの089-1号機(63635)でした。

 何故か欧州製品が毛嫌いする1970年代から1990年代の一般的なスタイル、すなわち雨樋なし、前面手すりなしという、私にとって待望の仕様でした。

 こちらは発売当時に個人輸入したので、またの機会に紹介したいと思います。

 そのバリエーションモデルとして、2003年に発売されたのが、こちらで紹介するE 50 032 (63711)です。

 ご覧のように欧州では人気が高いEp. III仕様になっております。

 不思議なことに、BR E 50は、ここから急に模型化が進行しました。

 すなわち2007年にMarklinから雨樋ありの原型機、2008年には雨樋なしのタルキス、2016年には、Pikoから両方の仕様が発売されております。

 三社ともカラーバリエーションを多数発売しておりますので、結構な種類が発売されました。

 それで本題のROCO製品ですが、63685のボディを新作したものと思います。

 しかし、シャーシーや台車はそれ以前の4140Aのような気がしますね。

 もしかしたら原型機のボディは、旧製品4140Aの金型改修かもしれません。  

 4140Aは、前尾灯分離型でしたが、こちらは初期の大型ライト(前後進切替式)になっています。

 そう言われてみると、この製品のライトも大きめに感じなくもありません。

 というわけでスーパーディテールではないですね。

 あくまで一般的な出来と思います。

 ただし、塗装やレタリングが2000年代仕様になっています。

 同社の古い製品の酸化クロムグリーンは、黒っぽい割には透けて見えて、感じが良くないです。

 こうして見ると台車は古いままですね。

 パンタは新しくなっています。

 やはりライトは大きいですよね。

 特に上部ライトは大きいような気がしますが、実車の写真を見ると案外、大きいことがわかります。

 運転室ドアの手摺は金属製です。

 標準型機だけにBR E 40とよく似ています。

 実際、主力電機の部品が共用化できるというのは、大変合理的な考え方でした。

 こうして見ると、黒の部分がずいぶん高いのですね。 

 走りもごく一般的なものです。

 走り装置も昔のものを改良しているのかもしれません。

 登場当時のEp. IIIbのスタイルです。

 BR E 50のこの姿は、生涯の僅かな期間でしたが、先にも記したように、この時代はドイツでは最も人気が高く、貨車が割と入手しやすいので、その点はいいかもしれません。

2005/9/5 入線

2021/2/6 記

2023/8/11 写真追加 



 

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